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[Interview] Vivid Creations 齋藤 真帆 × 株式会社CINRA 杉浦太一

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シンガポールに移住をして7年、Vivid Creationsを起業して5年。
数々の日本企業のシンガポール進出が加速する中、沢山の経営者の皆様にお会いする機会をいただきました。

みなさんそれぞれの思いや目的、そして夢を抱えてシンガポールでのビジネスを行う様を見て、日々刺激を受けています。
そんな中、海外だからこその出会いも沢山ありました。

今回は私が大好きなサイト『CINRA. NET』を運営するCINRAの杉浦社長をお呼びして対談を設けさせていただきました。
社長自ら海外に渡り、東南アジアでのビジネス拡大を図る、その思いと実情を聞き出したいと思います!

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_____なぜシンガポールに来たか?

齋藤真帆(以下、齋藤):初めてお会いしたのが、去年の8月でしたね。

杉浦太一氏(以下、杉浦):そうそう。社員旅行で来た時に、僕だけちょっと社員から外れて、Vividのオフィス来て、緊張してました(笑)。そうしたらマホさんがもうものすごく楽しそうに色々シンガポールのことを話してくれて。あぁ、なんかいいなぁとテンションが上がり(笑)。もともと新しいことにチャレンジしたいと思っていたタイミングだったのと、近い将来、海外でも仕事がしたかったので、これは今かな、と思って。その社員旅行の間に8割は決心していましたね。で、帰って、役員や社員を説得するための資料を作って、で許可を得て(笑)、シンガポールに来ました。説得はわりかしすんなりいったというか、「いいんじゃない?」くらいなかんじで、ありがたかったですね。

齋藤:それで社長自らがシンガポールに来るって、結構外から見ても衝撃だと思うんですけど…。

杉浦:ねーおかしいですよね(笑)

齋藤:社員旅行から決心して、半年でこっちにきてるってことですよね?

杉浦:すぐにでも来たかったんですけど、やっぱり半年は準備が必要だなと思いました。引継ぎから、会社全体の業務の整理とかまで、考えたらやっぱり半年は必要かと。

齋藤:半年は準備期間として十分でしたか?

杉浦:どうなんでしょうねぇ。まぁでもどれだけ準備してもしきれない部分ってあるじゃないですか。大体これくらいお金かけていくよって決めて、とりあえず一年行くよって伝えて、結果出なければ戻るし、何か継続できそうなことがあったら何らかの形で残るか、半々にするとか、何か考えようかなって思っていたら…もう半年が経ってしまいました(笑)。

_____シンガポールに来てみて

齋藤:実際にシンガポールに来てみてどうですか?

杉浦:住み始めてからですか?やっぱり楽しいですよね。新しいところだし、色んな方にお会いできたのは良かった。僕個人が感じたのは、こっちにくると当然日本人が東京より少ないので、逆にお会いできる方の範囲が広いんですよね。東京にいるとなかなかお会いできないような社会的地位のある方とか、刺激的な経験をされてる方を、次々に紹介いただいたりして、とても密度の高い出会いがある。おまけに皆さんオープンなので、「また新しいのが来たから会ってみようか」みたいに思ってくださるんですよ。業種も幅広いです。自分の関わっているアートや音楽などの文化事業をしている方や、広告、ネット系、金融系…あとはNUS(シンガポール国立大学)の日本人の先生や、そこに習いに来ている省庁の方とか、なかなか東京では聞けない話を聞けたりするので、それだけで楽しいです。

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齋藤:衝撃的な出会いってありました?

杉浦:それはもう、真帆さんですよ(笑)。お世辞とかでなく、ほんとに。やっぱり自分で会社をやっていくなかで、分岐点というかキーパーソンになってくれた方ってこれまでにも何人かいて、その中に真帆さんは確実に鎮座していらっしゃいます(笑)。あとは、シンガポール人の友達ですかね。こっちに来て、できるだけ現地の方とか別の国の方と仕事をしてみたい、少なくともその雰囲気を感じてみたいと思っていたので。

_____海外で会社を経営する

齋藤:こっちに来てみて、思った以上によかったことってありますか?

杉浦:こっちにきて実験的に新しいウェブサービスを始めたんです。そのサービスのコンテンツ集めのために、プレスリリースをもらいたかったのですが、こっちの人はポイポイとメール一言で情報をくれるんです。とても効率もいいし、気持ちが良いですね。これが日本だと、どこぞのメディアだと言って、色々聞かれたり、やりとりが何度も必要になる。

齋藤:確かに、私も日本よりもシンガポールは営業がしやすいと思います。外国人でも仕事がしやすいってところは、外国人慣れしてるところはシンガポールならではですかね?

杉浦:そうでしょうね。シンガポールは外国人がすぐ溶け込める社会になっていますもんね。何か新しいことを外国人が始めたって、日本では珍しいことですが、こっちでは当たり前だし、皆協力的だしおおらか。英語が完璧じゃなくてもがんばって聞こうとしてくれますし(笑)。

齋藤:恐らく色んな国の英語を聞きなれているからですかね?英語に対する理解力が半端ないと思います。

杉浦:ほんとに、英語に関して寛容ですよね。知人に聞いたところ、ニューヨークでは敷居が高くて、英語も早口だったり、情報くれなかったりだとかあるそうなので、そういった点では、いい意味での東南アジアのいい加減さもある一方で、きちんと経済がまわるようなシステムがあるんだろうって…素敵!(笑)

齋藤:でもたまにそれに慣れてしまって、その素敵さも忘れてしまいそうになる。他の国や日本に行くとシンガポールの良さを再認識できて、「ありがとう!シンガポール!」って思います。こんなに恵まれている環境でビジネスをさせてもらえてラッキーなんだということを言い聞かせるようにしてます。

_____シンガポールのカルチャーについて

齋藤:こっちに来て困ることってありますか?

杉浦:快適だし安全なので、個人的な生活レベルでは何もありません。ただ、もともとのカルチャーが希薄なのかな、という感じはします。まだまだ見れてない所は沢山あると思うけど、なかなかディープな部分に触れられませんね。だからこそいろんな外国人が来てもオープンで許容力があるんだと思いますが。日本だと、日本人は自分の文化を持っているから、外の異質なものが来ると気にしちゃうんですよね。シンガポールではそれが少ない、というかほぼない。それが文化、表現力、考え方に直結するんだろうなぁ。シンガポールのオリジナリティに触れたくて、ストイックに色んなところに行ったりもするんですが、驚くようなことはあんまりないですからね。あくまで日本人の感覚から見たときに、ということですが。

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齋藤:今後のシンガポールのカルチャーってどうなっていくと思いますか?クリエイティブとかアートとか最近は盛んになってきていますが。

杉浦:きっと外に行くんだろうなと思います。たとえば写真家のレスリー・キーも、シンガポールよりも日本での方がずっと知名度があるんです。そういう風に、活躍しそうなエッジのきいた人は海外に行くのかなぁと思います。シンガポールは、まだそうした人々への受け皿が少ない気はするので。だからみんな、出て行く。出て行けば、自分たちの表現を認めてくれるマーケットがありますからね。だから、シンガポールが国として、そういう流出をどうやって防ぐのか、それとも防ごうともしないのか、気になります。もちろん他人事じゃなくて、その中で自分がどうしようかっていうのは考えます。やっぱりこっちに来て強く感じるのは、アートそのものってすごいグローバルだっということです。作品自体は言語を必要としないので。だとしたら、インターネットとアートの可能性はもっとありそうですしね。


_____シンガポールから見た日本の文化


齋藤:日本の文化って、海外にはどう映りますか?

杉浦:シンガポールで何かを始めるっていうときに、日本で培ってきたものをこちらに応用していくのか、それともオリジナルで新たに日本という枠組みなしではじめるか、迷いました。でも、日本という視点に引きずられて「ほらこれいいでしょ!」って盲目的に発信するよりも、フラットな視点でやってみたかったので、初めは「日本人」ということを気にせず動いていました。でも実際にやってみると、日本の文化に興味を持ってくれている人はすごく多いし、日本人としてのアドバンテージって、ぼくが思っている以上にあるんだと思います。最初は、日本の文化はすごく特殊だからあまり通用しないと思ったんです。それはK-popかJ-popかみたいな話に近くて、やっぱりエンターティメントといったらこちらでは圧倒的に韓国なので。食とアニメは日本ですけど、それ以外となると難しいのかなと。でも最近、特にデザインの分野で、感度が高いものが人気があるような気がします。オシャレなものとかお店を作ろうとしてる人が多いし、実際にお店も増えているし、そういうところに、日本のデザイン商品や雑貨が置かれていたりもして。

齋藤:確かに。以前までは、デザインが好きでなければ日本のものってただ高いだけだと思われていましたよね。でも最近は、デザインがいいから多少高くても買おうってマインドを持ってきた人が増えてきた気がします。今までは、派手なものとか分かりやすいデザインが人気でしたが、その中でも最近はもっとクオリティやシンプルなものを好む人たちが増えてきたと思います。多分、こちらの商品は基本輸入品だから、現地の人は何製だとか必ずチェックしてる。以前お手伝いしたイベントでも、高くても日本製だから信用できるといって3,000ドル(日本円で約24万円)の洋服を買っていくローカルの方もいらっしゃいました。良いものであれば、お金を出すんだってすごく感じましたね。日本のものだから買わないっていうのは聞かないし…。

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杉浦:そうですよね。よく、シンガポール人に言われるのは、日本人は見せ方がへたくそだから、韓国を見習えって。悔しいですね。

齋藤:日本だと良いものは良いと言うと何か胡散臭く聞こえる。言わない方が分かるっている方が奥ゆかしさの方が日本の美ですから。それは素敵なんですけど、海外の消費者はそういった視点を持っていないことを前提にしていないといけないので、やはり「良いものは良いよ!」って自信を持って言葉で発するるコミュニケーションが一手間必要なんですよ。それが日本は下手くそ。「良いものは良いよ!」っていうと押し付けがましく聞こえるようで悪い気もするし…。

杉浦:それは仕事の営業面でも感じます。日本だったら、信頼してもらうために、本当に相手のことを考えて営業する。自分の自慢はあと。そういうスタンスで仕事するのが当たり前だけど、やっぱり海外では、アピールしていかなきゃいけないですよね。

齋藤:それが上手なのがやっぱり韓国だと思います。

杉浦:グイグイとアピールすることに対して下品と思ってしまうけど、世界的に見ればがんがんアピールする方がスタンダードなんだと思います。どこの国に行ってもアピールしないと始まらないというか。そういうところで葛藤もするし、勉強にもなりますね。あぁ、自分のプレイスタイルを変えなきゃいけないんだな、って思います。

齋藤:売りたいんだったらプレゼン力を鍛えないとですね。

杉浦:そうですよね。それはもう、自分も、きっと国全体にとっても、大きな課題なんだろうと思いますね。

_____社長一人、シンガポール。日本オフィスとの連携で大切にしてること

杉浦:定期的にコネクトしてないとダメだっていうのはやっぱりありますね。週に2、3回くらいはスカイプしています。ただ、あまり細かい話しはしなくなった気はします。それまでは、仕事のクオリティとかコミュニケーションの仕方とかを細かく見てたんですね。でも、物理的に離れてしまうとどうしようもない。「ここはこうしないとダメだよ」とか言うだけって、言われる側も萎えるじゃないですか。だからもう言わないって決めて、行ってしばらくは黙ってましたね。

齋藤:とても我慢されていたでしょう?(笑)

杉浦:ですね(笑)。でもそうやって1、2ヶ月経っていくと、自ずとその人たちで責任感が高まっていって。「あ、こんな能力この人あったんだ」とか、自分にはない魅力で仕事を穫ってきたりとか、見えなかった部分が見えてきました。意外と社長なんて大したことないのかもしれないですね(笑)。

齋藤:それはできた社長さんだからですよ。

杉浦:いや、謙遜でもなく、それはほんとに違うんです。でも、仮にそうだとしたらきっと採用した時点で決まったいたんでしょうね。採用はほんとに大事です。

齋藤:そうだし、きちっとマネンジメントできてるからでしょう。社長がいなくてもきちんとみんなが自走できるような会社になってるっていうのはすごいです。社員教育が素晴らしいんだと思います。

杉浦:社員もそうですし、もう一人役員がいて、彼も頑張ってくれてるし、ありがたいです。でもきっと、ぼくがずっと海外に行くからさよならっていう状況だったら違ったと思います。「とりあえず1年」って言って来たから、うまくいっている部分もあるんだろうと思います。

齋藤:でも帰国して、本当にちゃんと会社が回ってたら、新しいこともできますね。やっぱり、思い切り、強行突破って時には必要ってことですよね。

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_____今後の展望

齋藤:もともとこっちにいるのは一年って決めてるそうですが、本当に帰るんですか?

杉浦:どういう形にするかっていうのはまだ未定なんですが、東京に生活の拠点を戻すにしても定期的にはシンガポールに来たいですね。そのための種まきをし始めているところです。

齋藤:もう半年、折り返し地点ですね。

杉浦:そうなんですよね。半年で、ずっと視界がはっきりしていなかったものが、ようやく輪郭が見えてきた気がします。この国のことも、東京のことも。もう少し様子を見てみて、帰る、帰らないという判断も年末くらいに結論を出します・・・ってもうすぐですね。早い!

齋藤:シンガポールは季節がないから、時が経つのは早いんです(笑)。

_____人として、経営者として、大事にしていることは?(記録係・新人大島からの素朴な質問)

杉浦:自信を持ちながら、自分自身が自分に対して最大の批評者であることだと思っています。自分自身にいつも厳しく、同時にすごいねって言えるようにするというか。だから、あんまり自分自身を信用していませんね(笑)。常に正解は自分ではなく、社会とか外部が持っていると思ってます。真帆さんは?

齋藤:世の中って知らないことばかりだから。基本、自分は世間知らずって言い聞かせてます。でも、会社をやっていく中で、だんだん感性は研ぎ澄まされていっている気が私はするんですが、そのへんどうですか?

杉浦:そうですね。ただ一方で、それを繰り返すと今度は自分の型ができてしまうことになる。仕事の仕方とか。それも壊していかないといけないですよね。

齋藤:いてててて、、ってなっちゃいますよね。

杉浦:でもその「いててて、、」のチャレンジの回数が多いと、たまに大当たりしますもんね。

 

 

というわけで、終始笑いが絶えない対談でした。社長自らが新しい地に踏み込み、見たり聞いたり体感し、日本にフィードバックをする。経営者がお互いを理解し合っているからこそなせる思い切った移住だったのだと思います。杉浦さんの会社と社員の皆さんへの思い、そして新天地シンガポールへの関心や愛情までも伝わってきて、シンガポール生活の長い私とは違う視点でアジアを見てらっしゃるところも興味深かったです。

杉浦社長のシンガポール生活が今後の日本のCINRA.Incにもどのような新しい風を吹きこむのか、楽しみでなりません!今後のCINRA.NETにも引き続き注目ですね。


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