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[Interview] Vivid Creations 齋藤 真帆 × ST.MARC CAFE 三宅 隆文

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前回のCINRAの杉浦社長に続き第二弾となりましたシンガポールで活躍する日本人経営者の方にインタビューするこの企画。

今回は、シンガポールでも進出が著しい日本のF&B企業。ラーメン屋さんからお寿司屋さん、フランチャイズ型のファーストフードまでシンガポールで日本食が気軽に食べれるようになりました。

同時に競走も激しいと言われるシンガポールの外食産業。その秘密にも迫るべく、日本ではサンマルクカフェでお馴染みのサンマルクホールディングのシンガポール法人、Saintmarc South East Asia Pte LtdのManaging Director 三宅隆文さんにお話を伺いました。

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齋藤真帆(以下、齋藤):個人的に色々とお世話になっておりますが、一番最初にお会いしたときは、ポッカフードにいた時でしたよね。是非、その前のご経歴をお伺いしても宜しいでしょうか?

三宅 隆文(以下、三宅):まず、神戸のフランス料理店で4年間、ワインの勉強をした後、フランスのシャンパーニュと、ブルゴーニュに勉強をしに旅立ちました。そしてその後4年間の勤務先となる「Four seasons Hotel」の上司に出会いました。シェフソムリエの彼の下でアシスタントとして働きました。

その間は、大きな組織の中で、どのように人の能力を最大化するか、そして自分が組織の一員としてどう動くべきなのかを深く学びました。
また、この頃に多国籍のスタッフと一緒に仕事をする環境を経験したことが、海外への興味を持ったきっかけになったと思います。

そこで、当時のホテルのお客様であった資産運用会社「レキシントン」の経営者と出会い、彼の秘書として働くようになったんです。そこでは、金融のイロハを叩き込まれました。その中で、彼の会社と大手生活雑貨企業が50%ずつ出し合って、ホテルの投資会社「SEVEN SIGNATURES」を立ち上げたので、ホテルを証券化する仕事に携わりました。
ホテルコンドミニアムの一室一室に区分所有権を付けて販売。

完全なエクスクルーシブなマーケティングプランに基づき、購入したホテルを日本の富裕層の方に半年で売り切りました。しかし順調だった事業も、サブプライムローン問題が発生し、プロジェクトが無くなってきました。そこで、 また一から勉強し直すために、ニュージーランドにホスピタリティマネージメントを学び行きました。

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_____そして来星


三宅:その後、2008年にシンガポールに移住。不動産会社で3ヶ月働き、その後1年間「ポッカフード」で飲食店のオペレーションマネージメントを行いま した。そこで、シンガポール人とどうやって働くべきなのかを、最短で学ぶことができたと思います。その後、イタリアレストラン 「L’Operetta」の立ち上げを行いました。

齋藤:「L’Operetta」は、オープニングパーティをお手伝いさせて頂いたので、弊社Vividとしても思い出深いです。オープンしてか ら目を見張るような人気ぶりですが、1年間に何店舗増たのでしょうか?

三宅:4店舗は増えましたね。

齋藤:狭いシンガポールで4店舗ってすごいですよね!

三宅:「L’Operetta」を退職後、サンマルクに入るわけなんですが、最初は、駐在だった代表のサポートをしてほしいと言われました。 しかしそんな間もなく、着任と同時に日本に3ヶ月程研修に送り込まれました。それからずっと日本で、朝から夜まで経営理念を叩き込まれました。

まさか30代半ばで日系の会社に入ると思わなかったので、僕にとってはとても新鮮な経験でした。

その後シンガポールに戻り、店舗オープン。新店舗もすぐに人気が出たので、本当に良かったです。戦略は日本にいる間に描いていましたが、それが帰国後にスムーズに実施できたのは、上司のおかげです。

その後、代表取締役(サンマルク東南アジア代表)になると同時に組織編成を行って、新しいメンバーで再度スタートをしました。


_____海外に来てから、日本人のプレミアムさを実感


齋藤:飲食業界の日本と海外との違いとは?

三宅:日本人がこれだけ素晴らしいってことは日本国内にいると分からない。世界人口60億人の中の1.2億の日本人が、希少な人種であることを国内で意識する機会がない。海外に来てから、日本人のプレミアムさを実感しました。

日本人は、ニュートラルポジション(基本姿勢)が笑顔ですからね。例えば、お客様を待っている時、日本人はいつも笑顔。ニュートラルポジションがしかめっ面で、お客さんを利益と捉えたら笑顔になるっていうのが、世の中の大半。でも日本人は待ち姿勢が笑顔で、お客さんが来たらビッグスマイルになるという感じ。それは教育ではなく、もっと生まれ育ったものに起因してると思うんです。

日本に帰るとそれがとても気持ちよく感じます。それを海外でも伝えていくのが日系企業としての使命なんじゃないかと思います。

齋藤:つまりシンガポールでも実施されているのですね?

三宅:それは予想以上にすごく大変ですね。基本的に人はなかなか言っても変わらないと思っているので。ただ、変わらないからやらないというのでは話が終わってしまうので、変わるかは分からないけど、とりあえず伝えてみることが大事。

そして意識しているのは”教える”ことと、”伝える”ことの違いで す。その二つの違いは僕たちの中できちんと精査して、何を”教え”何を”伝え”るのかを整理する。”伝える”ということは心に刺さらないといけないから、”教える”プロセスとは全く違う、ということをマネージャーは全員認識しています。

その二つを別けてハンドリングしていかないと、会社が決めた基準を全員が網羅できないし、伝えているだけだと仕組みができないので、従業員のスキルにムラが出てきて事業として成り立たなくなる。だから、どちらも大事で、両方必要だと思う。

齋藤:人材教育以外での苦労は?

三宅:賃料!今のところは明るい兆しがありません。

またシンガポールはビザの関係で非常に縛りがある。Employment Pass(就労ビザ)もまた厳しくなりますし。でも僕は、それに関してポジティブに捉えていて、厳しくなることで、効率性の追求を強いられるようになるのではないかと思ってます。もし、外国人雇用し放題ですよ、という環境ならやっていなかったことを実行できると思う。例えば、「今6人でやってることを5人だったらどうやる?」とか。このように考えるきっかけをもらったのは、シンガポール政府の政策のおかげです。

効率性の追求のためにも、僕は定期的にお店に入るようにしています。お皿を洗いながら「これ要らんなぁ」とか「ここは重要だから、絶対機械化したらあかんなぁ」とか、考えているわけです。こういう考えは、切羽詰まった時しかしないので、僕は変わるきっかけをもらったと感じますね。 例えば、うちは3、4人で出来るオペレーションの効率性が強烈に機能してるから、他の国に行っても、とにかく楽です。10人の従業員入れて月給$300よりも5人で$600の方を優先する。

恐らく、そういう考えが加速するとシンガポールみたいな国になるんでしょうね。このような国 の政策は僕の力では変えれないから、その中で自分たちのお店のあり方、事業の展開の仕方、効率性を考えますね。

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_____「Quality ・Service・cleaness」という独自の基準


齋藤:「サンマルク」の独自の経営理念があるとお聞きしたのですが、それをシンガポールにも反映されているんですか?

三宅:日本本社の経営理念は世界中のどこの国でも変わらないですが、戦略が変わります。経営理念は経営者の本音だと思うんですね。経営理念に反することはしない。それを達成するために戦略があって、それを行うために一つ一つの行動にブレイクダウンしていく。僕たちは「Quality ・Service・cleaness」という独自の基準を持っていて、これらの3つを最大化することで経営理念に近づくよう、日々精進しながらやっています。

齋藤:では、経営者としてタカさん個人が大事にしていることとは?

三宅:“こだわらない”ということにこだわるようになりました。僕のなかにあるのは、経営理念の達成だけ。

“お客様にとって最高のひとときを創造”することができれば、なんだっていいんです。いろんなところに展開しててもその理念を達していなかったら、意味はありません。”最高のひとときとは?”ということを常に考えています。


_____シンガポールを起点に、その後の展開


齋藤:今後の海外展開についてお聞かせください。

三宅:まず、世界第一位の6億人の商業圏が出来上がったときに、良いポジションにいる為に、今、種まきをしているという感じですね。

齋藤:シンガポールに進出してから1年半。現在シンガポールでは4店舗目がオープン予定ですよね?シンガポールをどのような市場として捉えていますか?

三宅:シンガポールは、ヒトとお金が集まる場所と捉えています。ASEANの物流拠点としては良いポジションにいるので、モノを集約していこうと思っています。また優秀な人材もここに集まるので、ヘッドクォーターを置いている意味があると思います。優秀な人材の獲得と税制優遇ができるのは大きいですよね。

齋藤:シンガポールを起点にその他の国への展開は?

三宅:フィリピン、クアラルンプール、バンコク、ジャカルタの4つは確定しています。その次にベトナム、カンボジアなどを計画しています。

齋藤:海外展開していく中で、一番チャレンジングだと思うことはなんですか?

三宅:それぞれの国でみんなのストライクゾーンが違うことです。どの商品に反応し、どの商品にはあまり興味を示さないなど。それらを理解しようと、現地に行ったら頭を切り替えるようにしています。宗教上の問題などがある中で、経営上の理念を彼らの心にいかに”伝える”ことが出来るか。それがチャレンジングなことですね。


_____さらっとしてるけど、諦めない


齋藤:経営する上で一番大事なことはなんですか?

三宅:「しつこさ」です。

齋藤:「こだわることにこだわらない」と言ってたけど、しつこさは大事なんですね?

三宅:そうです。「さらっとしているけど、諦めない。」このしつこさは経営者に取って大事だと思います。ちまたの本に、経営のノウハウがさらっと書いてありますが、優良企業の社長さんって、あんなにさらっとしていない。経営の第一線はそんなにかっこいい世界じゃないんです。もっとどろっこい感じですよね。

齋藤:それぞれそのどろっこさが違うと思いますが、たかさんの譲れないポイントはありますか?

三宅:パンクチュアリティー(時間を守る几帳面さ)ですかね。「ここは譲れない」ってところは、しつこく「なんで?」で追い続ける。とにかく諦めない。成功するまで諦めなかったら、失敗はしません。絶対その過程で失敗はしますけど、そこで終わらずに成長し続けたら、結果、失敗にはならない。

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_____「君は今ものすごく価値ある仕事をしているんだよ。」と言い続ける


齋藤:そのモチベーションはどこから来ているんですか?

三宅:ホスピタリティ事業が好きだからですかね。プライベートと仕事の境界線がない。だから日本に帰った時もずっと観察している。アンテナ立てて、妄想して考え 続けている。正に「飽くなき」って感じです。(笑)

なぜ飲食が好きなの?と聞かれても分からないですね。恐らく、僕の原体験から来てると思います。小さいころ、母親に連れていってもらったレストランの思い出が強く印象に残っていて、ここ(飲食店)は「大人の社交場」なんだと子供ながらに胸が高鳴ったのを覚えています。

多分、生まれ変わっても、また飲食をやると思います。そのくらいホスピタリティに関わっていたいと思っています。
例えば、もしもこの世に外食産業がなかったら味気ない世の中になる。その意味では、我々の事業というのは、世の中の円滑油としての働きをなしていると思うんです。「Restaurant」の語源は、ストレスをリリースするという意味から来ています。外食は3Kだとか色々議論する人もいるけど、サンマルクで働いてくれる人には「君は今ものすごく価値ある仕事をしているんだよ。」と言い続けています。

僕は社長になりたいと思って、今まで頑張ってきたわけではなく、とにかくここまではレストランが好きという気持ちだけで走ってきました。しかし気が付けば今の組織で自分以上に、他に早く走れる人がいないので、その「社長」 という役割を担ってるだけです。

この先は不確定ですが、自分たちが行っている事業が世の中にとって尊いものであるということ言い続ける責任があると思っています。




公私ともに仲良くさせていただいている三宅さんですが、前職の時から今も私が知っている限りいつも全力投球で仕事に取組まれている姿を拝見していました。

Saintmarc South East Asiaの社長になられてからは、会うたびに経営者としての貫禄が増していているので、とっても刺激になる存在です。
彼のホスピタリティに掛ける思い、そして現地のスタッフに理念を伝えながら、現地に合った戦略を実施している、これは並ならぬ苦労があっての話だと思います。今後東南アジアを中心に急展開をされるはずですので、目が離せません!

おなじみのチョコクロだけでなく、シンガポールのサンマルクでは日本には無いメニューもあるそうです。シンガポールのスタッフが考えたメニューなどもあるので、是非お試しください。


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