シンガポールの美容展示会「Beauty Asia 2025」現地レポート|東南アジア市場トレンド

Beauty ASIA Singapore 2025の様子
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「東南アジアで、いま最も注目が集まっている美容トレンドは?」

そんな疑問に答えるヒントが、先日シンガポールで開催された東南アジア最大級の美容展示会「Beauty Asia 2025にありました。

今年で開催27回目を迎えるこの美容展示会には、21カ国から出展者が集まり、45カ国から約4,600人の来場者が集まります。美容好きな私は情報収集を兼ねて毎年この展示会に行くのですが、今年は特に成分へのこだわりや処方の進化、認証マークの並ぶ製品や男性不妊治療デバイス、生理用品といった「ケア領域」の製品も目立っていました。

これから東南アジア進出を目指す日本ブランドにとって絶対に押さえておくべき課題と可能性を考察する良い機会になったので、今回は現場レポートとして現場で見聞きした情報や出展者の様子について詳しくご紹介します!

東南アジア市場への進出をご検討されている方はぜひ参考にしてください。

なぜ今、Beauty Asiaが注目されているのか?

実商談が生まれる「意思決定の場」

Beauty Asia 2025」は、マリーナベイ・サンズで開催される東南アジア最大級の美容専門展示会。27回目を迎える今年は、2月17〜19日の3日間、21カ国から100以上のブランドが出展していました。

スキンケアや美容機器、アロマ、香水、健康食品など、多彩なカテゴリが並び、主催者の事後レポートによると約4,600人の業界関係者が来場。今年は45カ国以上から出展していたそうですが、ポーランドなどの新規出展国や、男性不妊治療デバイス、生理用品といった「ケア領域」の製品も目立ちました。

メンズ美容の市場拡大はすっかり一般的と言えるほど日常で感じるようになりましたが、美容の定義が広がりつつある今、会場を歩いているだけでその変化をまさに体感できるような展示会でした。

ポーランドのブースの様子

【参考】ポーランドのブースの様子

また、主催者の事後レポートによると来場者の57%が「意思決定権を持つキーパーソン」とのことで、会期中に実施された商談は230件以上。来場目的の内訳を見ても、

  • サプライヤー・ブランド訪問(54%)
  • 情報収集(26%)
  • 代理店探索(11%)
  • 実際の発注(6%)

となっているので、まさに「実商談をしに展示会に参加している」というレベル感のビジネスの場となっていることがわかります。なかには「次回の出展を検討しているので様子を見に来た」という方もいたようで、東南アジアの美容業界に関わる関係者が一堂に集まっているということが「Beauty Asia」の特長だと感じます。

会場の様子

【参考】商談実施中の会場の様子

テストマーケティングの場としてのシンガポールでは「OEM」が鍵

シンガポールは、多民族・多文化国家。東南アジア諸国を代表する多様性の高い市場なので「Beauty Asia」にはマレーシアやタイ、インドネシア、ベトナムなどの周辺国からの来場者も多くいらしていました。

一方でシンガポール市場自体は規模としては小さいので、「Beauty Asia」への出展はシンガポール市場展開というよりは、むしろ東南アジア市場全体に向けたテストマーケティングの場としても機能しています。

弊社では実際に今回の「Beauty Asia」に出展されていた日系企業様のブース運営をサポートさせていただいていたのですが、会場で商談の様子を観察していると、製品そのものの魅力だけでなく「OEMとしての展開が可能か?」という点に注目するバイヤーが目立ちました。商談を目的としたキーパーソンの来場が多いというデータを裏付けるかのような具体的な質問ばかり。

製品をそのまま仕入れるのではなく、OEMとして、その製品を「自社ブランドのパッケージや仕様で販売できるかどうか?」という視点で柔軟な提携を模索する姿が印象的でした。

具体的な例を挙げると、ある日本の化粧水をそのまま日本ブランドとして輸入するのではなく、中身は同じでも、自社ブランド名やパッケージデザインを変えて販売したいといったニーズです。このような要望を受けて対応できる企業にとって、「Beauty Asia」は成約に直結する場になりうるだろうなと強く思いました。

韓国ブランドの出展の様子

【参考】OEM展開を強みにした韓国ブランドと会場の様子

主催者の事後レポートによると、今年は出展企業の約8%がOEM・ODM企業であり、なかには処方・成分の提案だけではなく、ブランド設計やパッケージ開発まで一緒に企画検討するような協業を提案している企業もありました。

どういうことかというと、例えば処方・成分の提案だけの企業だと「この美白成分を使った化粧水を作れますよ」という中身の提案だけで商談が終わるケースがほとんど。

ですが、もっと踏み込んだ協業も含めて提案ができる企業は「その美白化粧水を、働く女性向けの朝用ケアブランドとして展開しませんか? パッケージは爽やかな白とブルーで、ブランド名は〇〇にしましょう」というように、より具体的に「誰に対して」「どう売るか」「どんな世界観にするか」まで商談の中でディスカッションしていました。

新しい商品やコラボできる企業を探して来場しているバイヤー側にとって「最終的に自社ブランドとして展開できるかどうか」という点が重要な判断基準のひとつになっているようです。

実際に特に東南アジアの市場では、気候の違い、嗜好の違い、宗教や文化的価値観の違いから香りやテクスチャなどのローカライズの対応が求められる傾向もあります。宗教によっては特定の香料や成分がNGだったりすることもあります。

そのような背景もあり、来場者がOEMパートナーを選ぶ際に、どれくらい柔軟にローカライズへの適応力があるかを問われているような印象を受けました。ただ良い製品を作ってPRする場として「Beauty ASIA」を利用するのではなく、現地仕様への対応力を持つOEMパートナーシップの構築ができるか否かが、東南アジア市場への進出にあたって鍵になりそうです。

現地で見えた、2025年のアジア美容トレンド

今年の「Beauty Asia」に出展している企業を見て明確だったのは、エシカル消費を意識するような「クリーン&サステナブルビューティー」と、細胞レベルでの「高機能スキンケア」の2つのトレンドでした。

生理用品を販売しているSHENZHEN BINGBING PAPER LTD.(中国)は、FDA・FSC・Halalなどの認証マークを前面に掲示したブース展開を実施。イタリア産のスキンケアコスメを展開するIntegreeは、Vegan認証スキンケアに加えて、独自の肌診断技術を用いたパーソナライズ提案を展開していました。

中国とイタリアの企業の出展の様子

【参考】(左)中国のSHENZHEN BINGBING PAPER LTD・(右)イタリアのIntegree

細胞レベルでの「高機能スキンケア」のトレンドでは、注目成分としてエクソソームやNAD+、植物由来の抗酸化成分が多く見られました。

  • DOF Inc.(韓国):羊膜幹細胞エクソソーム配合の再生スキンケア
  • Dr. Realize(日本):植物エクソソームを使ったドリンク&スカルプケア
  • Cellife(豪州):NAD+による細胞エネルギー回復をうたった製品

これらの製品をPRしていた展示ブースを訪れてみて感じた共通点は「どの成分を、どのような機能目的で使っているか」を端的に伝えるプレゼン力でした。このような最先端の技術を駆使している専門的な内容を打ち出す場合は、バイヤーが短時間で比較検討できる情報整理の工夫も重要だと感じました。

また、Karson Medical(シンガポール)が展示した「AI灸ロボット」には、東洋医学とテクノロジーを掛け合わせた新しい提案として多くの注目が集まっていました。美容領域がウェルネスや予防医療と関連していく流れも今後注目したいと感じたブースでした。

AI灸ロボットの様子

【出典】Karson Medical Webサイト

これから進出を検討する日本ブランドのチャンスと課題

Beauty Asia」では各国のブランドがそれぞれの強みを明確に打ち出していました。特に韓国のブランドは高機能成分と洗練されたパッケージを打ち出すところが多い印象で、台湾やポーランドのブースでは、エシカルやテック分野で個性を見せていた点が印象的でした。

日本ブランドは品質や安全性、素材の良さを打ち出したり、実際に評価されている一方で、「訴求力が控えめ」という印象を持たれている場面も多く見られました。特に多かったのは「国産(日本産)植物由来成分」といった素材の良さを打ち出す訴求。

確かに打ち出したい売りポイントなのはわかるのですが、現在の東南アジアの市場では「良い素材であること」はすでに前提条件。その上でその素材の良さを「どう届けるか?」「どう効くのか?」といった処方や技術への魅力や説明力がないと差別化が難しいのが現実です。

実際、私が話を直接聞くことができたバイヤーは、韓国ブランドについて

「高機能成分を取り入れた上で、マーケティングやパッケージも洗練されている」

とコメントしていました。製品力と同じくらい、マーケティング設計やデザインの強さが評価されていることが感じられます。

さらに、エシカル認証の取得や、現地での販売体制の整備についても、日本のブランドに比べて他国ブランドの動きは早い印象があります。特に韓国は政府の輸出支援なども積極的に行なっているようで、各ブランドとも物流や販促まで含めた包括的な展開がしやすいようでした。

このような現状を踏まえると、今後東南アジア市場への展開を強化しようと検討されている日本ブランドにとっては、

  • 見せ方・伝え方の再設計
  • 技術や処方のわかりやすい説明
  • OEMやODMといった市場ニーズに合わせた現地での対応力

この3つの点を整えることで、評価されている品質や素材をより強く打ち出し、現場で差別化できるチャンスがあると感じました。

日本ブランドが出展している様子

【参考】日本ブランドが出展している様子

さいごに(東南アジア進出を見据えるなら)

今年の「Beauty Asia」を通して、東南アジア市場における最新トレンドとビジネスの可能性を改めて肌で感じることができました。

特に今回会場で見受けられたような細胞レベルに効く高機能性や、クリーンビューティー・エシカル認証などへの関心は年々高まっています。このようなポイントに強みを持つ日本ブランドには追い風が吹いていると言えるかもしれません。

ただし、シンガポールは市場規模そのものは大きくないので、最初から「テストマーケット」兼「東南アジア進出の拠点」としてシンガポールでの展開を検討することをお勧めします。具体的には以下のような点に対して、シンガポール市場でテストすることができるかと考えられます。

  • 高い衛生基準と明確な制度(薬事・輸入手続き)があるので、海外市場展開の足掛かりとして進出を検討するテスト
  • 多民族国家という特徴を踏まえた、多様な肌質・美容文化への対応を検証するテスト
  • ASEAN諸国への物流・税制上のハブとしての立地メリットの検証するテスト

一方で、シンガポールは物価や人件費が高く、市場に適した価格設計・販路構築の工夫も求められます。このような点も踏まえて今後の東南アジア市場への展開を模索していくには、以下のような視点にも検討が必要だと考えられます。

  • 科学的根拠に基づいた、高機能・高実感の製品設計
  • エシカル認証や成分ストーリーを含むブランディング
  • OEM・ODMを含む柔軟な取引形態への対応力

弊社ではシンガポールで開催される「Beauty Asia」のような展示会への出展支援から、シンガポール市場でのPR活動、現地販売戦略の設計、バイヤーとの商談のコーディネートまで、包括的にご支援することが可能です。シンガポール市場への進出を起点に、東南アジア進出へ向けた第一歩を踏み出したいとお考えの方は、ぜひ以下のフォームよりお気軽にご相談ください。

本記事が日本企業の東南アジア進出を検討する参考になれば幸いです。