インバウンドで富裕層を狙うなら欧米豪よりシンガポールを攻略すべき

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観光庁やJNTOの事業でたくさん目にする「高付加価値旅行者」

わかりやすくいえば富裕層を指すのですが、いったいいくらの資産を持っているどんな方かには多様性があり、定義については前回のブログで解説させていただきました。

訪日インバウンド富裕層の心をつかむには|ファムトリップから見えた最新事情

世界の富裕層をターゲットにする場合、実際彼らがどこの国にいるのかご存知ですか?

訪日インバウンドの業界では「欧米豪」が注目されていますが、弊社では実際に本気で富裕層向けのインバウンドを強化するのであれば既存のターゲットに加えて「シンガポール」を追加するのが有効だと感じています。

この記事では、シンガポールを重点市場にすべき理由についてご紹介していきます。

 

富裕層の定義と訪日インバウンドのターゲットをおさらい

ひと言で「富裕層」といえど定義は様々。

「UHNW(Ultra high-net-worth)」と呼ばれる、純資産が日本円で約39億円(3000万ドル以上)の方や、「VHNW (very high net worth)」「HNW(high net worth)」と呼ばれる方など多岐に渡ります。

観光庁の報告書で紹介されている定義は以下のとおりです。

ちなみに、日本政府が定義し誘致を推奨している「高付加価値旅行者」は「HNW」にほぼ合致します。

【出典】上質なインバウンド観光サービス創出に向けた観光戦略検討委員会, 令和3年6月上質なインバウンド観光サービス創出に向けた観光戦略検討委員会「上質なインバウンド観光サービス創出に向けて報告書」 を元に弊社で作成

「ミリオネア」がいる場所をデータで把握しよう

「ミリオネア」に関しては、スイスの銀行 Credi Suisse が発行する『Global Wealth Report 2022』によると、2021年は北米アメリカが群を抜いて多く、次いでヨーロッパ、アジア太平洋となっています。

【参考】Credi Suisse, Global Wealth Report 2022 ※公表データをもとに弊社が作成

一方で、ミリオネアの数を国別で比較した場合は、1位はアメリカ、2位は中国、3位は日本となります。

また、Henley & Partnersによる『Henley Global Citizens Report 』によると、2022年の都市別の比較では、1位がニューヨーク、2位が東京、3位がサンフランシスコエリア、4位がロンドン、そして5位にシンガポールがランクインしています。

欧米豪は本当に狙い目か?シンガポールが優位な理由

データで見ると、確かにアメリカやイギリスはTop5にランクインしているものの、日本国内にも世界Top3のミリオネア人口がいることがわかります。

訪日インバウンドの業界では「欧米豪をターゲットに」とよく耳にしますが果たして本当にそうなのか、ここでいま一度考えてみたいと思います。

【1】欧米豪に比べてシンガポールはフライト時間が短い

言わずもがなですが、欧米豪は位置的に日本から離れているため、フライトに時間がかかります。

ロンドンからは約14時間、ロサンゼルスからは約12時間。対してシンガポールは約7時間で日本に到着できます。

誘致のしやすさやリピートを狙う観点から考えれば、欧米豪よりもアジア市場の方が優位だと言えるでしょう。

【2】シンガポールに流入する富裕層が増加する予測がある

また、アジアの中でも特にシンガポールは今後、より多くの富裕層がシンガポール国内に流入することが期待されています。

Henley & Partnersによると、UAE、オーストラリアに次いで、世界3位の富裕層流入増加が予想される地域にシンガポールがランクインしています。

ミリオネアの数を国別で比較した場合、世界第2位にランクインしていた中国からの流入が増える予測も報道されています。

【3】シンガポールには訪日リピーターが多く、誘客率が回復している

2023年2月15日にJNTOが発表した訪日外客数速報値のデータを元に、2022年10月〜2023年1月(FY22)と、コロナ以前の2019年10月〜2020年1月(FY19)を比較したところ、欧米豪よりもシンガポールの方が回復率が高いことがわかりました。

【参考】日本政府観光局(JNTO), 月別・年別統計データ(訪日外国人・出国日本人)※公表データをもとに弊社作成

圧倒的に回復率が上がっている韓国は距離の近さから、ベトナムは技能実習生や留学生等が多いことから結果につながっていると考察できます。

それら地域に次いでシンガポールが第3位になっていることから、中長距離の国地域においてはシンガポールが最も訪日インバウンドを回復しているという見方もできます。

実際に、2022年10月に日本国外からの渡航が解禁となったあとに、訪日旅行サイト「Japan-guide.com」でシンガポールからのアクセスが急激に伸びたというニュースがありました。

国外のニュースを中心に紹介する「クーリエジャポン」の記事でも「日本に観光客が押し寄せそうな意外なあの国」として取り上げられたのがシンガポールでした。

【4】2026年のNHW富裕層の人口増加率は、欧米豪よりもアジアが高い

シンガポールは東南アジアへの玄関口と言われ、税制面など進出のしやすいため、東南アジアの様々なビジネスがシンガポールを皮切りにスタートし、東南アジアに広がっています

シンガポールが「東南アジアのショーケース」と呼ばれる所以です。

また、経済成長の著しい東南アジア地域は人口増加が見込まれており、Credi Suisse によるとシンガポールを含む東南アジア主要6カ国における2026年の「HNW」見込み数は、2021年対比で173.1%とされています。

また。シンガポール単体では151.1%、富裕層大国アメリカで113.0%、イギリスだと164.0%、オーストラリアだと135.1%となり、米豪よりもシンガポールが高い数値となっています。

【参考】Credi Suisse, Global Wealth Report 2022 ※公表データをもとに弊社が作成

シンガポール市場を皮切りにアジアの富裕層を取り込んでいくような将来的な展望を踏まえると、欧米豪の富裕層をターゲットにした施策だけではなく、シンガポールにも目を向けることをおすすめします。

さいごに(欧米豪にシンガポール「足す」のがベスト)

上記までのことから、弊社では現在ターゲットにしている市場にシンガポール市場を「加える」という方向がベストだと考えます。

なぜなら、シンガポールの国全体の人口は兵庫県1県の人口と同じくらい、面積は東京23区と同じくらいの小さい国なので、富裕層の誘客による旅行支出額の増加には大きく期待が持てる一方、送客数はどれだけ頑張っても限界があるからです。

また、シンガポールは欧米豪と同じく主要言語が英語だったり、中華圏と同様にインフルエンサーやKOLの影響力が大きかったりと、他の市場にもある特徴を持ち合わせています。

欧米豪などの地域にシンガポールを追加する方向で検討することには、予算以外での障壁はさほどないとも考えられるので、ぜひ検討していただければと思います。

加えて、訪日旅行のピークの時期は市場毎に異なるため、訪日シーズンが異なる地域を複数ターゲットにすることでより効率よく訪日インバウンドの誘客を実現できます。

例えばシンガポールの訪日旅行のピークシーズンは、11月中旬〜12月下旬。スクールホリデーの時期で、実は中華圏の訪日が多い春節や、桜の時期がピークではありません。

訪日インバウンドで富裕層誘客を実現するために、ぜひ欧米豪だけでなくシンガポールも対象地域に検討いただけたらうれしいです。

 

弊社ではシンガポールに拠点を置いて創業14年目となりますが、これまで様々な日本の地域への観光誘客に向けたプロジェクトをご支援させていただいてきました。

富裕層や高付加価値旅行者の誘客にご興味がある方は、ぜひお気軽に以下のフォームよりご相談ください。