シンガポールの交通広告・屋外広告事情|現地メディアプランナーが解説
交通広告・屋外広告は「OOH(Out of Home)」とも呼ばれ、日本では電車内の広告などをイメージされる方も多いと思います。
日本にはたくさんの広告が出稿されているので、正直言って「オンライン広告よりも効果は低いのでは?」と感じられる方がいるかもしれませんが、シンガポールでは事情が異なります。
実際、シンガポールでは年々広告が掲載できるビルボードや看板などが増加傾向にあり、OOHの広告費用が増えているというデータもあります(OOHの広告費用はコロナで一時期減少しましたが、2022年はUSD157.30 millon で過去最大でした)。
一方で、相対的に日本よりもOOHの広告出稿量は少なく、国土が小さくて公共交通機関の利用者が多いという特徴があるので、シンガポールの交通広告・屋外広告は有効な広告手段の1つとして認識されています。
このブログでは、シンガポールでシンガポール在住の弊社担当者が、日本とは全く異なるシンガポールの交通広告・屋外広告事情や活用事例について詳しく紹介します。
シンガポールで一般的な交通広告・屋外広告の種類
シンガポールでは、交通広告・屋外広告(OOH)が、認知の獲得、ブランディングの側面で効果的な手段の1つです。
オンライン広告が世の中で主流になっていますが、オンライン広告は簡単にスキップできてしまうのに対して、交通広告・屋外広告(OOH)は生活動線上にタッチポイントを作ることができます。
また、公共交通機関の利用が主流となっているシンガポールでは多くの人に露出ができる媒体となっているため、短い期間で認知を獲得することができます。
シンガポールで実施されている交通広告・屋外広告には多様な媒体がありますが、以下に一部をご紹介しますので参考にしてみてください。
- 駅内広告
- 電車車両内広告
- バス停広告
- バス車両内広
- タクシー広告
- ショッピングモール内広告
- 屋外看板広告
- 空港内広告
- コンドミニアム内広告
広告掲載期間は媒体によって異なります。
たとえば、MRTの駅内広告であれば、通常4週間程度の掲載となることがほとんどです。
MRT駅内での広告掲載を行い、通勤で利用するシンガポール生活者に向けて4週間広告を掲載した場合、毎月平日20日間勤務日があるとしたら、1日の通勤往復(2回)で合計毎月40回も広告に触れる機会が提供できるようになります。
以下、シンガポールのOOHがイメージしやすいように、写真を集めました。
バスのラッピング広告例(台湾観光局)
バス停広告例(フードデリバリーサービス「Food Panda」)
ショッピングモール屋外の広告例(Chinatown Point)
【出典】Chinatown Point
交通広告・屋外広告がシンガポールで効果的な理由
シンガポール国内で、なぜ交通広告・屋外広告への効果に注目が集まるのか、4つの理由をまとめました。
日本では電車の吊り革やショッピングモールのサイネージなどの広告は、他の広告に埋もれてしまわないかと感じている方も多いかもしれませんが、シンガポールではOOHが少なく、効果的に活用すれば、認知をうまく獲得できます。
以下の5つの理由から、交通広告・屋外広告は効果的に認知拡大が図れる打ち手として認識されています。
- シンガポールにはそもそも広告が少ないため、目立つ
- 国土が小さいため、かえって効率良く露出が図れる
- 電車やバスなどの公共交通機関を利用する人が多い
- ターゲッティングをしやすい
- 最先端技術を活用した交通広告・屋外広告を実装できる
ぜひ詳細までご覧いただき、日本との違いをご理解いただけたらうれしいです。
シンガポールにはそもそも広告が少ないため、目立つ
シンガポール政府は都市の景観を非常に大切にしており、交通広告・屋外広告を掲載できる場所は、とてもきれいに整備されています。
また、タイの街中や、東京の渋谷、電車内のように、広告が溢れかえっていることもありません。
シンガポールでの交通広告・屋外広告枠は計画的に作られており、広告を際立たせることができます。
【出典】Expat Living
国土が小さいため、かえって効率良く露出が図れる
シンガポールは人口密度の高い小さな都市国家です。国土は東京都23区程度の大きさしかありません。
日本でOOHを実施する場合には、どの都市で広告を出すのか決めることから始まります。
一方、シンガポールでは国土が小さく、多くの人が多くの人々が仕事やレジャー、日常生活のために毎日国内を移動しています。
また、ショッピングエリアやビジネスエリアで人が集まる場所も決まっているため、交通広告・屋外広告を活用することで、広告主が短時間で多くの人々にリーチすることができます。
広告費用が十分にあれば、シンガポール中の交通広告・屋外広告に広告を掲載することもできてしまします。
【出典】The Strait Times
電車やバスなどの公共交通機関を利用する人が多い
シンガポールでは通勤や外出する際に、電車やバスを利用する人が圧倒的に多いです。
シンガポール政府は自動車の数を制限し、その代わりに公共交通機関が発展させているためです。
つまり、交通広告・屋外広告は、公共交通機関を日常で使用するシンガポールの人に向けて効果的に露出が図れる手段となります。
ターゲッティングをしやすい
シンガポールでは、ビジネスエリアやショッピングエリア、住宅街エリアなどが決まっています。
そのため、広告を打ちたいターゲット層や目的に合わせて交通広告・屋外広告の場所を選びやすい環境となっています。
例えばビジネス層を中心にリーチを目指すのであれば、金融街であるRaffles Place駅などはおすすめです。
この後具体的な事例をいくつかご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
【出典】lushhomemedia(URA(都市開発庁)が2019年に発表した町づくり計画)
最先端技術を活用した交通広告・屋外広告を実装できる
シンガポールの交通広告・屋外広告は、日々発展を遂げており、例えばセンサーを使ってリーチ数を計測できる媒体などもすでに稼働しています。
オンライン広告の場合、リーチ数や表示回数などが計測できますが、交通広告・屋外広告では正確な数値を確認することができません。
ほとんどの場合は、媒体社からのリーチ数の推定値を提供いただくことになります。
しかし、シンガポールの一部の交通広告・屋外広告では、リーチ数を測定できるセンサーが埋め込まれているので、媒体によっては正確なリーチ数をレポートとして算出することができす。
また、広告の成果を数値化する以外にも、オンライン広告単体では実現できないようなインタラクティブな広告を打つこともできます。
例えば、マーベル映画「アベンジャーズ」が公開された際には、シンガポール国内のバス停に「アベンジャーズ」の広告が打たれていましたが、バス停の最寄りの映画館の上映時間と空席状況が広告から確認できるように表示されていました。
【出典】Mumbrella Asia
【ターゲット別】おすすめ交通広告・屋外広告事例
【マス向け】ドビーゴート(Dhoby Ghaut)駅内の広告
ドビーゴート駅は、3つの路線が交わる駅で、シンガポールの中心エリアに位置します。1日の乗車数は約338万名(2019年、statistaの情報による)で、シンガポールで最も利用者数が多い駅の1つです。ドビーゴート駅の駅内に大型の広告媒体があり、大手ブランドが広告枠として活用しています。
マス向けに広くリーチさせ、短い期間で認知を獲得したい場合には、おすすめの交通広告です。
ドビーゴート駅の駅内広告




【ビジネスマン向け】ラッフルズ・プレイス(Raffles Place)駅内の広告
ラッフルズ・プレイス駅周辺は、ビジネス街・金融街として知られ、メガバンクやベンチャー企業、政府機関のオフィスなどがあります。
若いビジネス層からベテラン・シニアのビジネス層までリーチができるため、高級ブランドやテック系サービス、不動産や金融商品などが広告を出しています。
シンガポールのビジネス層や比較的裕福な層に訴求し、認知獲得を目指したい場合には、おすすめの交通広告です。
ラッフルズ・プレイス駅の駅内広告

【シンガポールの生活者向け】バス停の広告
シンガポールの生活者は、一般的に「HDB」と呼ばれる政府が国民に提供する合住宅か、コンドミニアムに住んでいます。
「HDB」はシンガポール国内各所に数多く点在しており、その建物の特性上、シンガポール国民しか購入することができません。
そのため戸数が多い大規模なHDBがあるエリアには、シンガポールへの観光客や駐在員よりも、シンガポール国籍を持っている現地生活者の人口が多いエリアと言えます。
また、シンガポールでは公共交通機関が主要な移動手段となっているため、HDB周辺のバス停は効果的に広告露出が図れる場所となり大変人気です。


HDBの建物自体にも、近年広告を掲載できるようなパネルが導入されている場所もあり、このパネルにも広告を掲載することができます。
【出典】nestia
【旅行者向け】空港直結の商業施設「JEWEL」
シンガポールは国際都市で、2023年7月の利用者数は527万名が利用している、世界各国への「ハブ空港」として知られています。
2019年には、空港直結の大型商業施設「JEWEL(ジュエル)」がオープンしました。
この「JEWEL」には、世界中から旅行者が毎日訪れるだけでなく、シンガポール人の旅行者や、空港近辺に住んでいるシンガポールの現地生活者が日常的に訪れている商業施設です。
シンガポール住民と、インターナショナルな旅行の両方に露出を目指したい場合、JEWEL内にある広告枠はおすすめです。
【参考】JEWEL内の広告
さいごに
この記事を通じて、シンガポールにおける交通広告・屋外広告について、日本とは違った特徴と、その活用方法について紹介しました。
オンライン広告ももちろん重要な手段ではありますが、オンライン上の広告は簡単にスキップされてしまったり、1回目にしただけでは記憶に残らないものです。
相対的に日本よりも広告出稿量が少なく、また国土が小さくて公共交通機関の利用が多いシンガポールでは、ブランドや商品・サービスの認知を高めるために有効な広告手段の1つとして認識されています。
また、広告費は、100万円程度から実施も可能なところもありますが、予算としては500万円以上、露出の大きい広告枠だと1000万円程度することもあります。
広告費を投資して最大限効果を狙うには、広告に表示するメッセージやクリエイティブ、配信時期、予算配分など、さまざまな要素への検討が必要であり、シンガポールで広告を打つ場合は、シンガポールの事情を加味した広告出稿を検討することは必須事項になります。
現地の生活者の消費者行動やインサイトをよく理解した上で広告を作る際には、シンガポールで14年以上に渡り、現地の広告やマーケティングをサポートしてきた弊社の知見を活かしてご支援することが可能です。
ご相談は以下のフォームからお伺いできますので、広告手法やマーケティングにお悩みでしたら、お気軽にご相談ください。
この記事がシンガポール国内での広告掲載をご検討されている方の参考になりましたら幸いです。


【出典】






