大阪万博をインバウンド誘客の好機するために抑えたい4つのポイント
万博が近づいてきて、関連ニュースの数も増えてきました。
前回の万博開催はドバイでしたが、約半年でなんと2,400万人もの人が来訪。
新型コロナウイルス感染症による国境の制限が残っていた中でこの規模の来場者を記録しました。
コロナ禍前の2019年、日本を訪れた訪日外国人数は年間3,188万人。
渡航制限がほぼ撤廃された後に開催される「大阪・関西万博(以下大阪万博)」では、ドバイ万博を上回る来訪者数が期待がされています。
このブログでは、たくさんの訪日観光客が訪れるであろう「大阪・関西万博」をフックに、訪日観光客の誘客を目指すエリアが「準備しておくべきこと」をまとめてご紹介しています。
内容はずばり、最も肝心と言える「アクセス」と「日帰りの行程」の情報発信です。ぜひ参考にしてみてください。
過去の万博(ミラノ・ドバイ)から読み解く傾向
世界的に注目を集める催事の一つである「万博」。
関係者の来訪が多く予想されるので、イメージ的に開催前後で流入元となる国のバラエティが増えるのではと想像する方も多いと思います。
しかしながら、2015年に開催されたミラノ万博と、2021年に開催されたドバイ万博の、過去2つの万博での流入元の国の変化を調べてみると、実際は出発地域の順位や、流入上位の国はあまり変わらないことがわかりました。
このことから、アジアからの流入が多い日本の場合は、万博前後での流入もこれまでと変わらず、アジア地域からの流入が伸びる傾向が予想されます。
以下はミラノ万博とドバイ万博のデータです。参考にしてみてください。
2015年に開催された「ミラノ万博」
万博の開催前年(2014年)・開催する当年(2015年)・開催後の翌年(2016年)の3年間のデータを比較してみると、前年と翌年の差は400万人あり、国外からの旅行者の数は増えていることがわかります。
一方で流入してくる地域はどの年もヨーロッパが圧倒的に多く、割合にはほとんど変動がありませんでした。
2021年に開催された「ドバイ万博」
当初2020年に開催予定だった「ドバイ万博」は新型コロナウイルスの影響を受けて開催が1年延期となり、2021年10月から翌年2022年の3月まで開催されました。
流入国のランキングにも当然感染拡大の影響が現れており、当初の開催予定年の前年にあたる2019年に、流入元の国として第5位にランクインしていた中国が、万博開催の当年(2021年)にランキングから抜けているのは、ゼロコロナ政策を実施していた時期が重なっているためだと考えられます。
一方で、1位のインド、2位のサウジアラビアは、2019年(当初予定されていた開催前年)と2021年(実際の開催年)のデータを比較しても変わりはありませんでした。
【出典】Government of Dubai Department of Economy and Tourism Dubai Annual Visitor Report 2019 & 2021
「アクセス」と「日帰りの行程」の発信で大阪万博をチャンスにしよう
大阪万博は、2005年に開催された愛・地球博に続き、20年ぶりに日本で開催される国際博覧会です。
ここで改めて概要をおさらいしたいと思います。
- 開催期間:2025年4月13日(日) – 10月13日(月) ※184日間
- 開催場所:大阪 夢洲(ゆめしま)
- テーマ:いのち輝く未来社会のデザイン
- サブテーマ:
- Saving Lives(いのちを救う)
- Empowering Lives(いのちに力を与える)
- Connecting Lives(いのちをつなぐ)
- コンセプト: People’s Living Lab(未来社会の実験場)
- 展示をみるだけでなく、世界80億人がアイデアを交換し、未来社会を「共創」(co-create)。
- 万博開催前から、世界中の課題やソリューションを共有できるオンラインプラットフォーム
- 人類共通の課題解決に向け、先端技術など世界の英知を集め、新たなアイデアを創造・発信する場づくり
大阪万博の開催年である2025年は、国連が掲げる「SDGs(持続可能な開発目標)」達成の目標年である2030年まで残り5年となる年になります。
そのため、実現に向けた取り組みを加速するのに極めて重要な年と位置付け、大阪万博では「SDGs」にかなりの比重が置かれています。
2025年というとまだ少し先かな、という感覚になるかもしれませんが、実際に「大阪万博」がスタートするのは4月なので、実はもうすでに2年を切っています。
あと2年もない中で、訪日観光客の誘客に大きなアピールチャンスとなる「大阪万博」に向けて、何をしたらいいか?
比較的簡単にできることでぜひご提案したいのは「アクセス」と「日帰りの行程」を意識した発信を行うことです。
近年外国人の間でも知名度が高まっており、個人的に大ファンで何度も行っている香川県高松市を例に考えてみます。
アクセスは所要時間だけでなく、路線の頻度や乗り方も一緒に発信する
「高松までどうやっていくのか?」と聞かれた際、特に関西・中国・四国エリアにお住まいの方は迷うことなくパッと答えられると思います。
しかし土地勘のない外国人観光客の方だとどうでしょうか?初めて訪日する方や関西・中国・四国方面に詳しく無い人だと皆目見当もつかない、という方も多いかもしれません。
「大阪駅からの所要時間●時間●●分」、という情報は距離感をつかむには間違いなく有用ですが、同じ所要時間でも
- 1時間に何本も出ている路線を利用しての所要時間なのか
- 1日に僅か数本しか路線がない場合での所要時間なのか
では旅行の計画の仕方は全く変わってきます。
特に、滞在日数が少ない傾向がある東アジアからの訪日観光客にとっては「移動時間のロス」は死活問題です。
「移動にできるだけお金をかけたくない人」と「お金がかかってもとにかく早く移動したい人」でも選択肢は変わってきます。
また、特に欧米の方に多いですが環境に優しいからという理由で「電車利用を好む方」や、「重い荷物を持って動くのが面倒だから乗り換えは極力避けたいという人」もいます。
特に訪日観光客の方の場合は、「Japan Rail Pass」や「JR-WEST RAIL PASS」など地域を限定したお得なチケットなどを購入するケースも多く、それらが使えるかどうかも重宝される情報です。
例えば「大阪駅から高松までの移動」については、以下のような細かさで情報を記載することが好ましいでしょう。(※2023年5月22日時点)
新大阪・岡山経由で「新幹線+快速マリンライナー」で移動する場合
- 経路と目安の所要時間:約2時間(乗り継ぎ待ちがない場合)
- 山陽新幹線(新大阪→岡山): 約50分(1時間に7本程度)
- 快速マリンライナー(岡山→高松):約1時間(1時間に2本程度)
- 乗り換え:1回
- 費用:8,420円 ※「Japan Rail Pass」を利用しない場合
大阪駅から直接高速バスで移動する場合
- 経路と目安の所要時間:約3時間20分
- バス会社が複数ありどちらもそれぞれ1時間に1本程度
- バス会社によって乗り場が異なるので要注意
- 「JRバス」:大阪駅JR高速バスターミナル
- 「フットバス」:大阪駅桜橋口(チケットは車内で購入)
- 乗り換え:なし
- 費用:4,500円 ※「Japan Rail Pass」を利用しない場合
「Japan Rail Pass」を利用して移動する場合
- 電車:のぞみ・みずほ以外の新幹線に乗車する
- バス:「JR四国バス」を利用する
単に「所要時間」と「移動手段」だけを情報発信するのではなく、パターンごとにより詳細な情報があると、情報を受け取った訪日外国人はより臨場感を感じながら実際の旅行を想像したり、具体的な旅程への落とし込むことができるようになります。
アクセス情報を掲載する際は、ぜひ気をつけましょう。
図や動画を用いて、抜け漏れなく情報が得られる環境整備をする
発信する情報は、できる限り英語などの外国語で表記することはもちろんですが、図や写真を用いてパッとみるだけでも分かりやすくまとめておくことが重要です。
特に、アクセスに関する情報は、乗り場が変わるなどの急な変更がある場合もあるので、以下のような情報に辿り着けるリンクをまとめて記載しておくことは非常におすすめです。
- 最新の時刻表が確認できるURL
- バス停の場所を示すGoogleマップ
- ルート案内のQRコード
- 困った時に尋ねられる案内所の情報
例えば、高速バスの予約やツアーを紹介しているメディア「WILLER」では、神戸の「神戸三宮高速バス」の待合所までの道のりをわかりやすく説明するために、動画を埋め込んで紹介しています。
また「バスターミナル東京八重洲」は、目印になるお店が入っていたり、地上から行く場合と地下から行く場合で異なるため、日本人でさえも非常に迷いやすい状況になっています。
以下のウェブサイトでは道のりと順序を英語で説明し、図を交えて解説しています。
アクセス情報がきちんと把握しやすく環境整備さすることで、不安の解消し、安心感を与えられるので、旅行者の「行きたい」という意欲喚起にもなります。
また、スムーズに移動してもらえれば到着遅れなども防げるので地元の宿泊施設さんなど受入先の余分なオペレーションの手間を省くことにも繋がるので、まだ環境整備ができていない地域は早めに着手することをおすすめします。
自分たちの地域から日帰りで便利に行ける場所の「具体的な旅程や楽しみ方」を提案する
訪日観光客には「できる限り長く留まってたくさんお金を使ってもらう」のがベストですが、よっぽど滞在日数が短くない限り、観光目的で訪日して「1都市だけにずっと留まる」というケースはあまり聞きません。
このようなニーズに応えられように、自分たちのエリアを拠点に「日帰りで」楽しめるスポットを、具体的な行程を含めて情報発信しましょう。
これにより、エリアでの滞在日数が短くなったとしても、旅行先の拠点となる候補地として検討してもらえる可能性を高めることができます。
例えば、石川県金沢市の場合は、実は金沢出発で以下のような多種多様な地域へ高速バスが運行されていたり、時期によってはツアーが組まれていたり、とても便利に様々な地域を観光することができるようになっています。
- 白川郷
- 五箇山
- 高山
- 能登半島
- 立山雪の大谷
これらの目的地に到達できるバスの存在やツアーがあることを、訪日観光客が主体的に調べて情報を把握しない限り、日帰り観光の可能性に気づけません。
そうなると「金沢で滞在して日帰り観光する」という選択肢は検討されず、金沢には「立ち寄るだけ」もしくは「1泊のみ」で、東京や京都など他のエリアに行ってしまう可能性もあります。
「1泊目はエリア内を存分に満喫し、2泊目以降は近隣の人気エリアでの「日帰り」行程を楽む拠点として自分たちのエリアに泊まってもらう」という提案ができれば、結果的に泊数が延び、夕食などの支出も重なりエリアに落ちるお金を格段に増やせます。
情報を発信する際には、アクセスと同様に、より具体的に提案することが重要になります。
英語に自信がなくても図や動画を活用したり、英語表記のある外部リンクに誘導したり、積極的に「伝える手段」を考えて実施してみることをおすすめします。
以下の事例は情報がまとまっていて参考になるので、ぜひご覧ください。
Visit Kinosaki
関西空港から入国して「京都を楽しんだあとに城崎に行く」場合の、全ての行程を提案しています。
【出典】Visit Kinosaki, ITINERARY LENGTH: 6 DAYS & 5 NIGHTS Winter Wonderland Adventures
小田急電鉄箱根ナビ
具体的なタイムテーブルの案も提示されているのに加えて「一人旅」にフォーカスした情報発信をしているため、非常にイメージがしやすい内容にまとめられています。
実際に最近では一人旅で日本に来る外国人観光客も多いため、こうした情報があると「一人旅でも受け入れてもらえそう」と不安が緩和されるのでおすすめです。
ホテルアソシア豊橋
日本語のみでの情報発信になっていますが、スポットの営業時間や、公式サイトへのリンク、一押しポイントなどと一緒に行程が紹介されています。
気になったスポットの情報をわざわざ自分で探しに行く必要がないため、非常に親切な情報提供となっています。
日頃からある接点を踏まえて最適な情報発信方法を検討する
情報がまとまったら、あとは「発信するだけ」なのですが、以下のように届けたいターゲット別にどのように情報発信を行うか、事前に検討されることをおすすめします。
以下では例としていくつかご紹介しているので、参考にしてみてください。
(ターゲット関係なく実施推奨)
- ウェブサイトへの反映
【一般旅行者向け】
- 現地や旅行博などで配布するブローシャーへの反映する
- インフルエンサーなどにVlogのようなかたちで紹介してもらう
【業界関係者向け】
- 出展イベントなどで使用するセールス資料やトークスクリプトへの反映
- 海外のレップ担当者向けの資料作成、展開
訪日観光客の誘客のために、日頃誰とどんな接点を持っているのかを踏まえて、情報発信の最適な方法を検討してみましょう。
さいごに
今回の大阪万博のコンセプトではないですが、万博を「未来へ実験場」として、上記を行ったことの評価を訪日外国人から得る、盛大な「調査・挑戦の機会」としてもいいのではないでしょうか。
万博は間違いなく大きなチャンスですが、観光誘客は万博限りでは終わらずその後もずっと続きますし、成功事例となれば東京など他の人気都市から誘客したい場合にも応用できます。
やってみたいけど、外国語、特に英語に不安があったり、実際に東南アジアの外国人旅行者に近い立場にいてアドバイスができる伴走者が欲しいという方は、弊社でご相談に乗ることも可能です。
弊社は「東南アジアのハブ」であるシンガポールを拠点に10年以上、日系企業や日本の各種地域のサポートを実施しており、日本語での対応ができるマーケティング企業です。
お気軽に以下のリンクよりご連絡ください。





