海外の競合を日本から調査する限界|現地に行かないとわからないこと

デスクリサーチのイメージ
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「日本にいながら海外の競合リサーチってどこまでできるの?」

海外進出を検討する上で、将来的に現地視察にいくにしても日本での事前リサーチは必要ですよね。

むしろ事前のリサーチである程度商機があるのかを判断しないと、現地視察も無駄になるかもしれません。

そこで今回、日本にいながら海外のリサーチをする私が普段やっている具体的なデスクリサーチ方法を紹介したいと思います。

私は日本企業や自治体のシンガポール進出をお手伝いするシンガポール法人Vivid Creationsの日本支社に勤めている、日本在住者です。

なので、普段から日本にいながらどのように調査をしているのか、実際にやっている手法を具体的にお伝えしていきます。

もちろん、現地でしか分からないリアルな情報はたくさん存在します。

そこで日本のデスクリサーチではどこまでが限界なのか、という点にも触れていきます。

シンガポールのケースをもとにご説明しますが、他の国でも応用はきくはずです。

海外進出に向けて調査をされる際のご参考になればうれしいです。

 

日本からでもできる海外市場のデスクリサーチ方法

今回は日本から海外市場(シンガポール市場)のリサーチを行う手法を具体的にお伝えするべく、和食には欠かせない調味料「味噌」を例としてご紹介したいと思います。

私が「味噌を製造販売している日本のメーカーに勤めている、海外販路開拓担当者」という設定で、シンガポール市場への進出を考えるにあたり、デスクリサーチをしていると仮定してみます。

ちなみにシンガポールでは「日本食」には根強い人気があり、熱狂的とも言えるほど日本食付きなファンも多いです。

和食屋さんで味噌汁が提供されることも多く、コロナ前と比較すると自炊に興味を持つ人の割合も格段に増えているため、日本食のレシピなどもインターネットに出てくるようになりました。

1:「シンガポール版のGoogle」を使って調べる

まず、インターネットで検索することになりますが、その際には基本的に英語で検索するというのが必須になります。

でなければ、現地に根ざした情報を仕入れることができないからです。

基本的な内容ではありますが、Google検索ではリサーチしたい国のエリア設定をして検索してください。

例えば、シンガポールの場合はシンガポール版のGoogleを使います。

通常、日本にいながらいつも通りの検索をしようとするURLが「https://www.google.co.jp/」となっていて、左下に「日本」と表示させているケースが多いと思います。

日本版のGoogle検索画面

【出典】日本版の「Google」検索画面

これを「https://www.google.com/webhp?gl=sg&hl=en&pws=0&gws_rd=cr」に変更します。

すると、「gl=sg(シンガポールの国コード)」「hl=en(英語)」となり、シンガポール版のGoogleからリサーチができるようになります。

シンガポール以外の他の国コードと言語コードについては、こちらの記事で詳しくご紹介されています。

他の国でリサーチされたい方は参考にしてみてください。

シンガポール版のGoogle検索画面

【出典】シンガポール版の「Google」検索画面

また、「Google」にこだわらずとも、進出先の市場で人気のポータルサイトがあれば、そちらのサイトを使って調べてみましょう。

シンガポール市場に関する調査の場合はシンガポール版のGoogle」に加えて「Yahoo! Singapore」でも調べることがあります。

こちらも日本版のYahoo!ではなく、シンガポール版を使うところがポイントです。

現地に根ざした情報をより調査しやすくなります。

 

2:シンプルなキーワードで一旦検索をしてみる

まずシンプルなワードを検索し、Googleの検索画面に出てくる「関連ワード」や「よくある質問」を手掛かりに調査するキーワードを広げていきましょう。

たとえば、今回は「味噌の販路拡大・シンガポール市場への進出」がテーマなので、以下のように「miso」と試しに検索してみました。

miso の検索結果

【出典】シンガポール版の「Google」検索結果

すると「よくある質問」の部分に

「What exactly is miso?(味噌って結局なんなの?)」

というものがあったり、検索結果であがってくる情報にも、味噌そのものの知識に関する記事などが多くみられました。

misoで検索した際に上位表記される記事【出典】シンガポール版の「Google」検索結果

このことから「miso」というキーワードは(当然ですが)競合のリサーチにはあまり結びつかなそうだということがわかります。

ちなみに「関連ワード」をみても、どこで買えるのか、レシピ、味、種類などの情報が多く、競合リサーチにはあまり役立ちそうにありません。

miso を検索した際の関連ワード【出典】シンガポール版の「Google」検索結果

 

3:競合情報に辿り着くキーワードを連想していく

続いてシンプルなワードから派生して連想することで、どんどん検索するキーワードを広げていきます。

今回は日本から進出しているメーカーが分かりそう、という理由で

“miso paste from japan in singapore”

(シンガポール国内にある日本から来た味噌)

というキーワードを選んでみました。

するといくつかECサイト、取り扱いのある現地のスーパー、また数件サプライヤーの情報も出てきました。

Fair PriceのWebsite

【出典】FariPrice Webサイト

シンガポールで有名な大手ローカルスーパー「Fair Price」のWebサイトでは、どんなブランドの味噌が取り扱われているかが分かりました。

現地のサプライヤー「MAKOTO-YA」のWebサイトも見つけました。

MAKOTO-YA Webサイト

【出典】MAKOTO-YA Webサイト

進出しているブランドや価格感について、ある程度把握できました。

一方で、このようなWebサイトに掲載されている商品の中で、

どの商品の売れ行きが良いのか?

他の日本発の調味料と比較して味噌は売れているのか?

というような点については把握できません。

 

ここまでくると、検索キーワードをより一層「ビジネス寄りのキーワード」で調査する必要性を感じるかと思います。

また、ここまでの検索結果で「現地サプライヤー」の情報が出てきたことから、現地のサプライヤーの情報から競合の情報が掴める可能性があると仮説を立てて

“miso paste suppliers in singapore”

(シンガポール国内の味噌を扱うサプライヤー)

に変更してみます。

すると「サプライヤー」というキーワードを入れたので、以前よりもたくさん「味噌を取り扱っているローカルのサプライヤー」の情報が出てきました。

味噌を扱うシンガポールのサプライヤーを検索した結果

検索結果から出てきた情報は、シンガポール市場に進出する際の卸先候補として、商談を実施できる可能性がある現地の企業を洗い出すのには役に立ちそうです。

しかし、やはり先ほどと同様、進出しているブランドや取り扱いがあることは分かるものの、売り上げの規模感や売れ行きなどの詳しい情報は掴めません。

最新トレンド調査は 有力メディアでサイト内で検索する

現地の最新トレンドを知りたい場合は、現地の有力メディア内で関連するトピックスが出ているかどうかは、有力な情報収集結果に結びつきやすいのでおすすめです。

例えば今回は「シンガポールで味噌はどんなふうに注目を集めているのか?(そもそも注目されているのか?)」ということを明らかにする目的で、シンガポールで有力メディアの1つ「The Straits Times」を事例として挙げて調査してみます。

The Straits Timesのトップページ

【出典】The Straits Times Webサイト

The Straits Timesの場合、トップ画面の右上にある「虫眼鏡マーク」をクリックすると、キーワード検索ができます。

今回は「miso」と検索すると同時に、並べ替え条件のところで「Newest(=最新の情報)」を選択してみます。

The Straits Times内での検索窓の位置

【出典】The Straits Times Webサイト

すると、私が検索した2024年2月時点での「最新」に当たる記事として「2022年3月」のニュースが出てきました。

The Straits Times内での検索結果

【出典】The Straits Times Webサイト

2年以上前の記事が最新として表示されるということは、シンガポールで「miso」は最新のトレンドにはなっていないことが予想できます。

もちろん、他のメディアでは最新トレンドとして情報が発信されている可能性はあるので、さらに深掘りして調べる必要はあります。

ですが、このようにして現地のメディアで売りたい商材がどのように注目されているのかを知っておくと、ターゲットとする顧客層への理解が広がったり、販路拡大に向けたPR施策を検討する際の材料や、卸先を選定する際に大変役に立ちます。

気になる方はぜひ進出先で人気のメディアを通じて、販路拡大したい商材に関連する最新トレンドを調べてみてください。

 

一番知りたくて重要な情報は、デスクリサーチだけでは分からない

デスクリサーチを実施している過程をご覧いただけたことで「結構たくさんの情報が日本にいても調査できる」ということを感じていただけたかと思います。

一方で、私自身が日本から調査するのと、実際のシンガポールの現地に赴いて調査するときを比べて、圧倒的な差を感じるのは「結局、現地で人気やニーズはあるの?」という最も明らかにしたい点への情報収集力です。

たとえば今回の「味噌」の例で考えると、以下のような点についてはデスクリサーチのみではどうしても限界があります。

  • 一番人気のある味噌商品は何なの?
    • 豆味噌?田舎味噌?それともハラル対応の味噌?
  • 現地で味噌を買っている人はどんなルートで買っているの?
    • スーパー?それともECサイト?

このようなポイントは海外市場進出にあたり「商機があるのか?」を判断する上で最も知りたい情報であり、また知らなくてはいけない「最重要情報」とも言えます。

ですが、残念ながら日本にいるだけでは、これらの点に関する有力な用法はやはり見えないというのが現状です。

たとえば今回の「味噌」を例に。現地のニーズを掴むために実際に出張でシンガポールに赴いた場合、以下のような取り組みも可能です。

  • 現地スーパーの味噌コーナーを実際に見に行って、購入する客層の雰囲気や価格帯を実際に調査できる
  • スーパーのバイヤー担当がどういう経緯で今棚に並んでいる味噌を取り扱うに至ったのかを聞くことができる」
  • 既に市場に出回っている競合の商品との差別化ポイントを現地で考えることができる
  • 自社の商品を販売するパートナーとして最適な企業を検討することができる
  • 味噌を使っているローカルなお店のシェフに「どこの味噌使ってるの?」と直接聞くことができる
  • 味噌を使っているローカルなお店のシェフが、どんな意図でどこの味噌を使っているのかを聞くことができる

もちろん「シェフに聞く」というようなことは関係性が構築されていなかったり、通訳がいない状態だと難しいケースもありますが、現地で実際に調査することでデスクリサーチのみでは得られない情報が得られる可能性が高まります。

確かにシンガポールに渡航するのは、経費以外の面でも覚悟を持たねばならないポイントはいくつかあります。

たとえば、現地で商談を実施する場合は「ローカルルール」や現地市場の事情を加味して、自社の熱意や商品の特徴をしっかり正しく伝えられる英語力も求められます。

ですが、それらの障壁やコストを考慮しても、私自身はデスクリサーチのみでは海外市場の実情は測りきれないと確信しています。

 

さいごに(視察のご相談を受け付けています)

上記のように「デスクリサーチには限界がある」という前提に立つと、海外市場に商機があるのかないのかを調査したいだけであれば、おすすめな方法は以下の2つです。

  1. 徹底して自社でデスクリサーチを行った上で、現地にも赴いて調査をする
  2. 現地の事情に詳しい企業と調査をし、現地にも赴いて調査をする

現地事情に精通している企業に調査を依頼する場合は、依頼先がどの程度現地市場に詳しいのか、目利きが必要にはなります。

また、実際に現地に自ら赴くこと以外に最も信頼できる情報収集の方法はないので、最終的には自分の目で見て調査するということが必要にはなります。

弊社にご相談いただいた場合は、目的や海外進出に対する規模を含めてお伺いした上で、調査にあたって検証すべき仮説をご一緒に検討するところから、実際にシンガポールへご来訪いただき調査する際のアテンドまで、包括的にご支援させていただくことが可能です。

ご興味ある方はぜひお気軽に以下よりご相談ください。

この記事が、海外市場への進出を検討される際に役立つことを願っています。