シンガポールのインフルエンサー活用事例と注意点|実践ガイド
シンガポールでは、インフルエンサーを活用したマーケティング活動は欠かせない手法です。
なぜなら、シンガポールには諸外国にはいるような芸能人やセレブリティーがいないため、インフルエンサーが広告塔の役割を果たしているからです。
そこで今回は、シンガポールのインフルエンサーをテーマに、シンガポール市場で実際に実施された事例をご紹介します。
実際にインフルエンサーに依頼する際の注意事項もあわせてお伝えし、シンガポールでSNSを使ったマーケティングを行う際に知っておくべき情報を網羅的にご紹介しています。
ぜひご活用ください。
シンガポールのインフルエンサーは「芸能人」と同格
シンガポールでは、インフルエンサーマーケティングは無視できない情報発信の手段になっています。
なぜなら、他国では当たり前にいる「芸能人」と呼ばれるような人がおらず、代わりにインフルエンサーがその役割を担っているからです。
シンガポールの人口は560万人で、そのうち国民は350万人程度しかいないため、そもそも芸能人と呼べるほどの認知力がある存在が生まれにくい環境です。
実際に、テレビをはじめ、エンタメ業界は他の国と比べて盛んではありません。
そのため、多くのグルーバルブランドやローカルブランドは、シンガポールでの情報発信にインフルエンサーを活用したキャンペーンを展開しています。
なかでもSNSのフォロワー数が10万人に満たない「マイクロインフルエンサー」はたくさんいて、国が狭い分、マイクロインフルエンサーでも十分効果のある拡散力を発揮しています。
以下では、シンガポール市場向けにインフルルエンサーを活用している事例を紹介します。
シンガポールの代表的なインフルエンサーを起用したキャンペーンをご紹介しているので、自社のキャンペーンを考える上で、参考にしてみてください。

キャンペーン事例と起用されたインフルエンサー
「クロッカンシュー ザクザク」の初店舗オープンキャンペーン
エッグタルトが有名なBake社の新商品で、日本でも大人気の「クロッカンシュー ザクザク」に特化したシンガポール第1号店がシンガポールにオープン。
そのオープン数日前に、シンガポールのインフルエンサーとメディアを招待するメディアイベントが実施されました。
会場はザクザクのブランドカラーのブルーで統一され、メディアイベントには、シンガポールの飲食業会をテーマに活動するインフルエンサーやメディアが60名以上参加。
実際に商品を試食をしたり、自分でオリジナルのクロッカンシューを作れる体験コーナーや、写真映えするフォトスポットがたのしめました。
イベント当日は参加者のInstagramストーリーズなどで情報が拡散され、イベント後にはSNSの投稿や、オンライン記事で内容が詳しく紹介されました。
日本ですでに人気のスイーツがシンガポールに初上陸する、ということもあって注目が集まり、オープンまでにたくさんの反響が寄せられました。

キャンペーンで起用されたインフルエンサー
Nicolas Tanは、シンガポールで人気の飲食業回に精通した「フードインフルエンサー」と呼ばれるインフルエンサーのひとりです。
グルメに対する熱い想いがあり、常に新店舗や新商品に関する投稿をしています。
メニューや価格まで、フォロワーが知りたい情報を詳しく投稿しています。
ニュージーランド観光局による観光再開キャンペーン
2022年3月16日、シンガポールからニュージーランドへの海外渡航が、5月から解禁となると発表がありました。
すでにその当時、シンガポールでは、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリア、アジアへ旅行ができる状態になっていました。
ニュージーランド観光局は、これら競合他国との差別化を図り、シンガポールからニュージーランドへ誘客するために「#NZMemoriesキャンペーン」をSNS上でローンチ。
ニュージーランド旅行の思い出と、なぜニュージーランドに行きたいのかを投稿すると応募でき、当選者にはニュージーランド行きの航空券が当たるという内容でした。
拡散力を見込んで、シンガポールのライフスタイルインフルエンサーを複数名起用し、彼女たちによるニュージーランドの思い出や行きたい理由に関する投稿を実施しました。
4月12日現在、Instagram上での応募総数は3,000件を超え、インフルエンサーによる投稿も大きな反響を生んでいます。
広告感が少ない、自分自身の体験を投稿してもらう内容だったため、フォロワーに受け入れられやすさがあったことも見習えるポイントです。
キャンペーンで起用されたインフルエンサー
@heyrozzは、シンガポールで人気のライフスタイルインフルエンサー。
元々はラジオDJで、YouTubeチャンネル「Clicknetwork」のパーソナリティとして、世界中のユニークな場所を旅しています。
グルメ通で、旅人で、ハイエンドな世界観のある彼女。業界でも一目置かれる存在です。
シンガポールの海外旅行が再開してから、すでに数多くの国へ旅行をしており、フォロワーは彼女が行く先々を楽しみにしています。
@hotcheekylaceは、シンガポールで最大のライフスタイルメディア「The Smart Local」のタレントとして大ブレイクを果たしたインフルエンサーです。
現在はタレント事務所に在籍し、バラエティやドラマなどでも活躍しています。
彼女の投稿はエンゲージメントが高く、数多くのブランドのキャンペーンに起用されています。
シンガポール航空グループの新商品ローンチキャンペーン
シンガポール航空グループが運営するECサイト「Krisshop」は、著名なウイスキーブランドや日本の酒造とコラボ商品をローンチ。
男性のライフスタイル業界や飲食関連のインフルエンサーを複数起用したキャンペーンが実施されました。
内容は「Krisshop」でしか購入できないオリジナル商品を「@krisshop」「#KrisShop」「#BatikLabelbyKrisShop」をつけて、複数のインフルエンサーが投稿するというものでした。
起用した方々は、全員クオリティが高い写真を投稿する方ばかりだったため、新商品のローンチだけでなく、主催したシンガポール航空や「Krisshop」のブランディングにも相乗効果が生まれていました。
キャンペーンに起用されたインフルエンサー
@lennardyは、インフルエンサーであり、シェフでもある、シンガポールのグルメ業界で著名な方です。
グルメ好きのシンガポール人なら彼のことを知らない人はいないくらい、確固たる人気をもっています。
このキャンペーンでは、商品の紹介だけでなく、オリジナルのレシピ動画を作って、お酒とのペアリングを紹介してもいました。
日本ブランド「OWNDAYS」はインフルエンサーをアンバサダーに起用
日本のメガネブランド「OWNDAYS」は、シンガポール第一号店を2013年にオープンし、現在では32店舗を運営しています。
これほどまでにビジネスを拡大できたのは、シンガポール向けに戦略的に実施されたマーケティングの成果だと考えられます。
成果が大きく出る要因となっている取り組みが、シンガポールの美容やライフスタイル業界で活躍している、人気のインフルエンサーをアンバサダーに起用するキャンペーンです。
アンバサダーとなったインフルエンサーとプロモーション動画を制作し、SNSはもちろん、ショッピングモールの屋外広告などで活用されています。
キャンペーンで起用されたインフルエンサー
Xin Linは、シンガポールを代表するビューティー・ライフスタイル分野の人気インフルエンサーのひとり。
「OWNDAYS」のアンバサダーで、彼女のInstagramのプロフィールにも「I wear @owndays_sg」と記載されになっている。
インフルエンサーに依頼する時の注意点
(1)依頼前に目標を設定しよう
インフルエンサーを起用して、SNSキャンペーンに取り組む目的は、新商品のローンチ、ブランドの認知度向上、コンテンツ作り、コミュニティ作りなどさまざまです。
ですが、どのような目的があったとしても、インフルエンサーを起用したキャンペーンを実施する際には、目標とする数値(KPI)を事前に決めておくことが非常に重要です。
なぜなら、KPIが明確になっていないと、結果的に起用したインフルエンサーが良かったのか判断できないうえ、インフルエンサー側にも明確に「この数値を教えてほしい」という依頼もできなくなるからです。
結果が数値的に把握できれば、次の一手を考える際に、算出された数値を参考に検討できます。
数値が測れていなかったり、事前に明確にできていないと勿体無いです。
ぜひ以下のような基本的な項目だけでも、起用するインフルエンサーに依頼する際に、情報開示可能か調整してみてください。
① リーチ数・インプレッション数
投稿が表示された回数、届いたユーザーの数のこと。
商品のローンチや、ブランドの認知度向上を目的とする場合は、リーチ数やインプレッション数を「最低●以上」といったKPIと設定するケースが多く、おすすめです。
② エンゲージメント数
あらゆるソーシャルアクション(いいね!、コメント、シェア)の数のこと。
一般的にエンゲージメント数が多いほどリーチ数も伸びます。
リーチしたアカウントが、どのくらい興味を示しているかを確認し、計測できる数値です。
③ クリック数
特定のリンクのクリック数のこと。
特定のリンクを指定し、インフルエンサーと共有することで測定ができます。
自社のサイトにどのくらい誘導できたか、その後商品を購入したか、などを計測するために使用できます。
④ コンバージョン数
最終的に狙っていたアクションを取った数のことを言います。
インストール、サインアップ、フォーム入力、購入なども含まれます。
顧客接点が多様化しているため厳密に測定することは難しいのですが、ピクセル、ユニークリンク、プロモコードなどを活用することで測定できます。
どの項目をKPIとするかは、キャンペーンの目的ごとに検討しましょう。
また当然、数値を計測したい場合には、起用するインフルエンサーから事前に情報開示への協力を依頼し、合意を取っておく必要があります。
KPIの設計は、インフルエンサーを選ぶ前の、キャンペーンを企画する段階で決めておけると、その後がスムーズに運べるのでおすすめです。
(2)契約内容を明確にしよう
インフルエンサーによる投稿を、二次利用をすることが事前に決まっている場合には、インフルエンサーとの契約時にきちんと含める必要があります。
シンガポールのインフルエンサーは、自分の投稿が他の目的に使用される場合に、追加費用を請求するケースがほとんどです。
キャンペーンの実施前に契約書を交わすようにしましょう。
その前提で、インフルエンサーの活用目的や、キャンペーンの内容に合わせて、事前に契約内容を明確にしましょう。
(3)依頼先の世界観を吟味しよう
インフルエンサーには、個々人の世界観があります。
自社のブランドとタイアップできるかどうかは、最終的にはインフルエンサーの判断になります。
選んでオファーしても断られることは実際に多々あります。
オファーを断られないようにするには、インフルエンサーの選定段階で、投稿のスタイルや内容、背景情報などをきちんと確認し、相手をきちんと理解した上で依頼するようにしましょう。
「この会社は自分のことをよくわかってくれている」と感じてもらえれば、タイアップを検討してもらいやすくなります。

さいごに(まとめ)
シンガポールでは、インフルエンサーを活用したマーケティング活動は欠かせない手法です。
依頼前に目標を設定や契約内容を明確にすることで、インフルエンサーとのトラブルを防ぐことができ、よく相手のことを理解した上で依頼をすると、断られるリスクを減らせるので、丁寧に実践してみたください。
また、上記でご紹介したような数々の事例を参考に、自社のマーケティングで実践するにはどういう方に依頼するのが良さそうか、ご検討いただくのもおすすめです。
一方で、実際にインフルエンサーへの依頼をするとなると、細かな調整なども全て英語でこまめに行う必要があるので、ご自身で手配することが難しいケースもよく耳にします。
弊社ではシンガポール市場で10年以上、日系企業の進出をご支援してきた実績から、さまざまな分野で活躍するインフルエンサーとの関係性がすでに構築されているため、お力になれることがあるかと存じます。
ご相談がある方はぜひお気軽にご連絡ください。