シンガポールの訪日市場と相性がいい最新観光トレンド【3選】
2024年の訪日外客数推計値が発表され、インバウンド観光客数が過去最高値を記録。
シンガポールからの訪日も過去最高値を記録したのですが、昨年比で20%以上の伸び率を記録している国が多い中で、シンガポールは「16%」。
そう聞くと少ないように見えますが、実はシンガポールは人口600万人で、そのうち2024年に訪日した人数は「69万1,100人」…。
つまり、人口の10分の1以上の人が日本を訪れているという驚くべき数値なので、シンガポールでも大きなニュースになりました。
そんな訪日観光が大好きなシンガポール人にとって、どんな観光コンテンツを今後日本の観光に期待しそうなのか?
今回は、2025年に世界で注目されている観光トレンドの中で、シンガポール市場と相性がいい以下の3つについて、弊社独自の視点で選び、事例を交えてご紹介したいと思います。
- ノクツーリズム(ノクトーリズム)
- 迂回旅行
- 特色のあるホテル(体験)
ぜひ参考にしてみてください。
「ノクツーリズム(ノクトーリズム)」とシンガポールは相性がいい!
「ノクツーリズム(ノクトーリズム)」とは、「ノクターナル(夜)」と「ツーリズム」を合わせた造語で、2025年の注目トピックスとして多くのメディアやOTAで取り上げられています。
- ノルウェーやアイスランドでのオーロラ鑑賞
- ザンビアやケニアでの夜行性野生動物サファリ
- グレートバリアリーフやエジプトの紅海での夜間ダイビング
というような、夜にしか楽しめないコンテンツが「ノクツーリズム(ノクトーリズム)」としてフォーカスされがちなのですが、もう1つ別の意味も内包されています。
それは「(日中よりも)夜の方が快適なコンテンツ」という意味合いです。
たとえば日本の真夏の日中は40度を超える日もあり、屋外で快適に過ごすというのはかなりハードルが高いですよね。
夜になって少し気温が落ち着くと日中よりは快適に過ごせるので、日中にやっていた体験を夜に実施するという観光コンテンツが、「ノクツーリズム(ノクトーリズム)」としてトレンドになっているという面もあります。
普通は日中にやることを夜にできるというだけで特別感があるので、特に日本の暑い夏にはとても相性がいい観光トレンドだと思います。

暑さが苦手なシンガポール人にぴったり
シンガポールは常夏の国ですが、一般的にシンガポール人は暑いのが大の苦手。歩いてわずか10分程度の距離でもバスやタクシーに乗りたがる人が多く、私自身初めてそれを知った時には衝撃を受けました。
暑いのを避けつつ「誰もまだ知らないような唯一無二の体験をしたい」という人が多いシンガポール人訪日観光客に向けて、日本の夏の夜に楽しめる観光コンテンツは大いに需要がある可能性が高いです。
実際、パンデミックを経てシンガポールで大きく変わったことの1つとして、サイクリングやジョギングをしている人が圧倒的に増えたのですが、夕方にジムの近くを集団で走っている人を見かけることが多々ありました。
彼らはフィットネスジムのプログラムの一環としてやっているガチ勢なのですが、一般の人もマリーナベイサンズ周辺などで夜ランニングをしているのを見かけます。
そのほかにも、ウェアやシューズ、ロードバイクを持って旅先でも運動を楽しんでいる人もいます。

その土地ならではの夜の景色を楽しみながら走ることができる「ナイトラン」や「ナイトサイクリング」は、かなりシンガポール人訪日観光客向けのコンテンツとして相性がいいと思います。
海外のマラソンやサイクリング大会へのツアーや、同じ趣味の他の参加者と一緒に海外へ行くツアーを専門に扱うアクティビティ系の旅行会社もシンガポールには複数存在しているので、このような現地法人とタイアップして企画するとより需要にあった精度の高いコンテンツが検討できるはず。
また、シンガポール人にとって食も重要な娯楽なので、暑さを避けて夏の夜に収穫できる「ナイトフルーツ狩り」などのアクティビティもシンガポール市場に向いていそうです。
「ノクツーリズムとしてこういうことができるんじゃないか?」という案がある方はぜひ積極的に海外の旅行代理店の担当者と意見交換をしてみてください。

訪日滞在日数が長くニッチな情報が欲しいシンガポール人に「迂回旅行」は向いている!
観光業界のトレンドとして注目を集める観光メディア「コンデナストトラベラー」でも2025年のトレンドの1つとして取り上げられているのが「迂回旅行」です。
「迂回旅行」とは、人気の観光地に近いけれども、小さくてあまり知られていない場所でのんびり数日過ごし、人混みを避けてその地域をより深く知るというスタイルの旅行。
長期滞在や移動をゆっくりしてのんびり過ごす「スロートラベル」の一種だと紹介されています。
コンデナストトラベラーでは、主要な旅行先と対比する迂回先として以下の場所を例として紹介されていました。

2024年速報値では、シンガポール人は東アジアエリアに比べて訪日旅行の期間が「8.4泊」と比較的長い傾向にあります。
直行便がある東京・大阪・福岡・名古屋から入国した後も、それら以遠を迂回旅行するだけの滞在日数は十分あるので、とても相性がいいトレンドだと考えます。
また、シンガポールでは「周りの人がまだ知らないけど、自分だけが知っている」という情報をとても好む人が多いので、迂回旅行でニッチな場所に行けることは市場のニーズに合致します。
具体的にどんな行動をして喜んでいるのか、以下で実際にいらした方々の事例をご紹介します。
「みんながまだ知らない日本」を求める気質にぴったり
シンガポール人は「他人に乗り遅れたくない」という気質があります。
実際にシンガポール国内出も行列ができているお店や施設には「行ってみなくちゃ!」と感じる人が多く、人気なスポットには「混んでいても一度は行ってみたい」と考える人が多いという特徴があります。
「周りの人はまだ知らないけど自分だけが知っている情報」にとても価値があると感じる気質は「迂回旅行」トレンドととても相性がいいと言えます。
それを感じた事例が、先日、日本で実施し富裕層旅行会社向けFAMトリップに同行した際のこと。
コース料理が出るレストランで、料理が出てくる度に撮った写真や動画をSNSでどこかに送っていたのです。
写真を撮ることは日本人もよくやることですが、撮る都度送るのは珍しく気になったので「誰に送っているの?」と聞いてみたところ、「家族やフーディー(美食家)な友人に送って自慢しているんだ」とのこと。
その後も食材や調理方法や自分の感想についてシェフに熱心に聞き、すぐにSNSで情報を送っていました。
また別の日には撮影した館内や客室の動画をテキスト付きで編集していました。願客のセールスで使うために撮影してるんだろうな、と思っていたのですが、なんとそれより先に家族や親しい同僚に送っていて…。
「周りの人はまだ知らないけど自分だけが知っている情報」を好み、また周りの人に自慢したいシンガポール人の気質がとてもよく伺えて、印象的でした。
親しい人からの情報とあれば信頼度も高く、それがひいては周りの人への宣伝にも繋がり得るとも感じました。
2024年に「10人に1人以上」が日本に行っているシンガポール市場なので、いかにシンガポールからの訪日観光客が「みんながまだ知らない日本」に関する情報に敏感で、またそうした情報が求められているかということがわかる経験でした。

特色のあるホテル(体験)はシンガポール人の気質にぴったり!
予約システムなどを手がける大手トラベルテクノロジー企業「アマデウス」は、2025年のトレンド発表の中で、以下のように世界中で「特色あるホテルの市場」が伸びていることを発表しました。
従来は、旅行先を選んでから宿泊先を探していたが、厳選された数少ない目を引くホテルが、旅行の目的になることで旅行のあり方をひっくり返している。
コンデナストトラベラーでも、南アフリカのワイナリーがエレガントな農業ホテルを開業し、歴史的な農場複合施設での宿泊や、鍛冶・大工仕事のマスタークラスなど、場所や施設の特徴と繋がりのある特別な体験を提供している事例を紹介しています。
このトレンドは「みんながまだ知らない日本」を求めているシンガポール市場のニーズとも相性が良く、実際にシンガポールの富裕層やセレブを顧客に持つ旅行会社の担当者の方からは
宿泊施設を自分の顧客に勧めるにあたって、担当者である自分が話せるストーリーがあるかどうかがとても重要。
富裕層が顧客だからといって、必ずしも値段が高い必要はない。
と話していたのがとても印象的でした。
シンガポール富裕層向け旅行代理店の担当者が絶賛した宿泊施設
実際に例として挙げられたのが、松本市浅間温泉にある「松本本箱」。
宿泊者なら24時間アクセスできる館内の本屋さんや、お風呂をリノベーションしてその面影が随所に残る店内、薪が燃える様子が目の前で見られるという、施設としての魅力がたっぷりな温泉です。
それだけでなく、本に囲まれながら地元の食材を使った薪火グリル料理をいただくことができるので、富裕層向け旅行代理店の担当者は
滞在中に最も印象に残ったコンテンツの1つだった
と教えてくれました。
さいごに
以上、2025年に大注目されている観光トレンドの中から、訪日観光が大好きなシンガポール人との相性がいいものについて解説させていただきました。
- ノクツーリズム(ノクトーリズム)
- 迂回旅行
- 特色のあるホテル(体験)
シンガポールからの訪日観光客は滞在日数だけでなく、滞在中の消費額もアジアの中でトップクラスなので、訪日観光による経済効果も大いに期待ができます。
海外市場への観光PRを検討中の方は、ぜひ今回ご紹介したトレンドを踏まえた上で、シンガポール市場をターゲットとする可能性について考えてみてはいかがでしょうか?
この記事が日本の訪日観光産業の益々の発展の一助となれば幸いです!