シンガポール市場へのチャレンジ!佐賀県食品事業者5社の販路開拓プロジェクト
こんにちは!Vivid Creationsに入社したばかりの新人、アリサです。今回は、弊社の代表である真帆さんが佐賀県の食品事業者のシンガポール進出を手掛けたということで、自分の学びのためにも詳細を深堀りしていきます。
このプロジェクトの概要や成功のポイント、課題や今後の展望について聞いていきたいと思います。
プロジェクト概要
まずはプロジェクトの概要を教えてください。
クライアントの佐賀県様では県産食品を海外に広めようとされていて、東南アジア市場の第一歩としてシンガポール市場での販路開拓を私たちがサポートしました。
海外で事業となると勝手がわからない部分も多いという状況だったので、事前セミナーの開催からテストマーケティング、実施後フォローアップまで一貫して関わらせていただきました。まとめるとこんな感じです。
Vivid Creationsの主なサポート内容
事前セミナーの企画・実施
シンガポール市場の特徴や海外輸出の基礎知識を解説し、参加企業の課題抽出と目標設定をサポート。
補助事業者(県内食品事業者)および商品の選定
佐賀県の事業者を訪問し、海外展開の意欲や商品の強み・課題をヒアリング。5社の選定や出品商品決定のアドバイスを行い、それぞれに合わせた市場戦略を提案。
商品サンプルの輸出・現地での保管・管理サポート
輸出に必要な手続きや現地での保管方法などを事業者と連携しながら実行。トラブルを未然に防ぐためのフォローアップや現地連絡体制を構築。
テストマーケティングの企画・運営支援
シンガポール市場でのライブコマースや小売店のテスト販売、店頭サンプリングをコーディネート。視聴者や消費者からのリアルな声を収集し、商品改良や価格設定などの改善点を抽出。
ライブコマースの実施・フォローアップ
ロイヤリティの高い現地配信者を起用したライブコマースを企画。商品紹介や調理シーンなど、視聴者を引き込みながら購買へつなげる演出をサポート。配信後は売上データや視聴者コメントを分析し、次の施策に活かすための提案を実施。
現地バイヤーへのヒアリング・商談サポート
シンガポールのバイヤーへの商品紹介や商談機会を設定。語学面・取引条件面での調整や書類作成など、事業者がスムーズに取引を進められるようバックアップ。
テストマーケティング結果に基づく課題抽出~分析~改善プランの提案
ライブコマースや店頭販売の結果データを踏まえ、各社の商品・パッケージ・価格などの改善案を具体的に提示。継続的な輸出につなげるための中長期的戦略をアドバイスし、事業者ごとに最適化したプランを策定。
参加事業者(5社、敬称略)
理研農産化工株式会社、株式会社末崎園、有限会社西岡醤油店、株式会社みろくや秀麺工房、恵味香
佐賀県産品を試食販売したブースの様子
ライブコマースで商品のほとんどが数十秒以内で完売!
では結論からお伺いします!
プロジェクトでどんな成果が出たか教えてください。
佐賀県の食品をシンガポールのライブコマースに出品し、ほとんどが商品紹介して数十秒以内で完売となりました。売上目標を大幅に上回る結果です。

左)みろくや秀麺工房様:九州の旅ラーメンシリーズ、中央)西岡醤油店様:辛口味噌だれ、右)恵味香 megumika様:味香 贅沢果汁
ライブコマースは、日本でいうテレビショッピングのSNS版という感じで、Facebookなどのライブ中継を通じて商品を売っていく手法です。シンガポールではとても人気で、購買意欲の高い消費者が集まっています。今回の県産食品販売と親和性が高いと感じ、ライブコマースでのテストマーケティング実施を決めました。
数十秒以内で完売はすごいですね。どうしてそんな結果が出たのでしょうか?
すごい結果だと思います。一つの要因は、佐賀県の事業者の方がシンガポールにきてくださり生出演したことですね。
生産者の方の顔が見えると消費者からの信頼度はぐんと上がります。ラーメンやお好み焼きをその場で調理し、試食する様子を配信。商品紹介だけでなく、食べ方や調理方法を説明することで、スーパーマーケットの棚に並べるだけでは伝えきれない商品理解を深めることができました。
実は、元々は佐賀県事業者の方の出演予定はなかったのですが、佐賀県の補助金が出ることになり、これが叶いました。
もう一つの要因は、ライブコマースの主催者に掛けあって「佐賀県スペシャルイベント」というタイトルのライブにしてもらったことですね。通常、ライブコマースではいろんなところからいろんな商品を集めて販売するのですが、佐賀県の目玉商品として販売する日にしてもらいました。そうすることでさらに購買意欲の高い消費者が集まったのかなと思います。
ライブコマースのキービジュアル
シンガポール現地で新たな商談につながる動きも
ライブコマース後、新たな商談にもつながったと聞きましたが、詳細を教えていただけますか?
はい。シンガポールに渡航した事業者には、バイヤーと対面する機会を活用いただきました。現在もディストリビューターと連携して、卸先と具体的な交渉を進めている事業者や、レストランでのコースメニューへの導入が決まった事業者などもあります。
弊社が代行して商談した事業者は、商品紹介までにとどまったのですが、その後、海外向けの商品開発に取り組まれているそうです。
よく海外進出の第一歩として現地の商談会に出展するという話をよく聞きますが、ただ参加するだけでその後に商談がまとまるケースは少ないのが現状です。私たちはそういった無意味な商談会への参加はやめようという考えがあり、「いかに将来的な商談につなげるか」を重視しています。今回もつながりを作れてよかったです。
シンガポールと佐賀県、双方の関係者が一丸となり取り組んだ様子
「日本産だからといって売れる時代ではない」
最初に応募された県内の食品事業者の中から5社を選定したとお伺いしましたが、どうやって選んだのですか?
このようなあらゆる観点から選定しました。
- 市場のニーズ
- シンガポールで人気のある商品か、または人気がでそうな商品か
- 輸入規制
- シンガポールに輸入できるないものだったらNG
- 海外の輸出経験
- 今まで全く輸出したことがあるかないかで、支援のフェーズが変わるため
- 経営状態
- 海外事業が動き出しそうになった際に、組織として動いたり、またある程度の期間コミットできる資本力があるか
- 競合商品の流通状況
- シンガポールに流通している他社の類似商品に勝てる競争力がありそうか
- 輸送のしやすさ
- 冷蔵や冷凍となると、取り扱いが少し難しくなるため
- 賞味期限の長さ
- あまりに短いと他の事業者との事業を進めるスピード感でバランスが取れるか。また賞味期限が短い冷凍などとなると支援の難易度が上がる。
佐賀県に直接訪問し、商品理解を深めた
食品事業者を選定後、どうやってシンガポール進出の戦略を立てたのですか?
そうですね、色々アプローチはありますが、まず私が大事にしたのは直接事業者さんにお会いすることですね。商品だけいただいても、いい売り方は見つかりません。
シンガポール向けに少し工夫を加えたいケースや、開発のストーリーをお伺いしたいケースなど直接密なコミュニケーションが必要だと思っています。Zoom面談でも良いのですが、それだと画面上の限られた時間のコミュニケーションになるので、本音が出づらいこともあります。だから私は、直接会社や工場に向かい、その場で話を聞くようにしています。
今回、5社中4社は訪問が叶いました。会社、商品、海外展開に向けての展望や課題などをお伺いし、商談用の試食商品の回収もそこで行いました。直接対面できたことで事業者や商品理解が深まっただけでなく、海外展開に向ける想いや意気込みを聞くことができ、個別に具体的な支援策を考えることができたと思います。
【参考】恵味香 megumika様を訪問した際の様子
効率的な事業展開サイクルを構築する必要性があった
クライアントの佐賀県様は、元々どのような課題をお持ちだったのでしょうか?
佐賀県はたくさんおいしいものがあるんですが、国内消費ではこの先限界があるので、県内事業者の海外での販路開拓をしっかりと支援したいと考えていらっしゃいました。
一方で海外市場進出を目指すとしても、テスト販売から実際のマーケティング戦略の考案、分析、商品の改善や改良といった、全体的な事業展開のサイクルを、迅速に行う仕組み作りが必要です。
今回の取り組みでは「効果的な事業展開に必要となるサイクルを回す」ために、それぞれの取り組みを一気通貫で行うことで、県内事業者が抱える海外での販路開拓という命題に向き合ったことがポイントで、このような視点でオーダーをいただいた佐賀県は、きちんと今必要な本質的な課題が何かを見据えて取り組まれているなと感じています。他の地域もぜひお手本にしていただきたいですね。
現地の人気店へ商品の提案へ
ライブコマース後の商談では具体的にどんなことをされたんですか?
現地の人気店との商談を数件セッティングし、彼らのニーズに合わせた商品の提案を行いました。事後も時間をあけずフォローするようアドバイスしました。商談後のフォローアップはとても重要なアクションなので。
話が具体的に進みそうなバイヤー候補がいたので、私の方でWhatsappグループ(SNSチャットグループ)を作って、タイムリーにやりとりができるよう環境を整えました。メールになると、返事やコミュニケーションが遅くなるので、鉄は熱いうちに打てということで、時間をおかずにカジュアルなコミュニケーションでもやりとりを続けていくことが大事だと思っています。
シンガポール進出で立ちはだかった壁
プロジェクト中に立ちはだかった壁は何かありますか?
特にB to B向けパン用小麦粉はシンガポールでも他国の安価な製品が流通しているため競争が激しいというのも課題でした。差別化がかなり難しいです。
それはどうやって活路を見つけたんですか?
現地のベーカリーに飛び込み訪問してヒアリングしたところ、意外にも最近ローカルの間で流行っているベーカリーでは、もちっとした食感の出る日本産小麦粉を探しているとのこと。日本産小麦粉はメーカーの種類が少ないそうで、他社が使っていない日本産小麦粉なら使ってみたいと具体的な商談も進みました。
実際にベイカリーでヒアリングしているところ
他に何か課題はありましたか?
他には、シンガポールには輸出規制がある食品添加物が含まれている商品があり、輸出できない商品が多いというのも課題でした。それに関しては、輸入可能な商品を選定して選びましたが、やはり商品のバリエーションが限られてしまうので、中長期的に海外輸出を考える際は、どういった食品添加物を使うかも判断が必要かもしれません。
「バンドル販売」「オリジナル缶」など売り方を工夫する
成果を出すためのキーポイントはなんですか?
一つあるのは、ライブコマースでは「BUNDLE」というセット販売を提案したことですね。また、末崎園の緑茶は茶葉が入っている缶をオリジナルのラベルにカスタマイズできるのですが、これを現地バイヤーに提案したところ大好評でした。ライブコマースの人気プレゼンターであるエディーの顔にカスタマイズした限定品にしたことで通常よりも大口の注文を獲得できました。
というのも、緑茶は幅広い価格帯でシンガポールでは流通してるんですよね。真新しさがないので差別化を図るためにも限定品として販売することで、特別感を出しました。エディー本人もオリジナル商品ができて喜んでいました。真正面から既製品を販売することから少し視点をズラすことで、ニーズが見えてきた例でした。
エディーの顔をプリントした限定品の緑茶
現地を熟知した戦略を
シンガポール進出を考える日本のみなさんへ何かアドバイスはありますか?
たくさんあります!シンガポールには日本の商品はもちろん、世界各国から集まった商品で溢れています。
日本製品のクオリティーは素晴らしいのは十分わかっているので、その先のどう消費者の手に取ってもらえるかの最適解を見つけることが重要です。
提案する際のポイント
- 既存使用製品と大幅な価格高の金額設定は避け、競争力のある価格帯を提示
- 賞味期限を長くする商品改良(最低でも6ヶ月)
- バイヤーから、賞味期限についていくつかフィードバックを受けた。特に加工品については、できれば1年以上の賞味期限が望ましいとの意見が多かった。国内販売ではあまり意識する必要のない点であるが、海外販売を考える場合、賞味期限の設定が重要なポイントとなることがわかった。今回のプロジェクトでも、賞味期限の短さが課題となる商品がいくつか見られたため、今後の改善が必要である。
- ローカル料理にアレンジして使うレシピの提案
- B to B向けの業務用の可能性の模索
- パッケージの課題
- ほとんどの商品のパッケージが日本語のみで、現地消費者には内容が伝わりにくいものが多かった。バイヤーからは以下の改善点が提案された。
- 英語表記の追加(商品名・作り方・説明文など)
- パッケージデザインの改善(プレミアム感の強調)
- 内容物の見えるデザイン(中身の視認性向上)
- 出来上がりイメージの掲載(調理後の写真をパッケージに記載)





