海外の展示会で結果を出すなら知っておいてほしい心構え
「海外に自社の商品を売りたい」と考え、その一歩として展示会に参加する企業様は多いと思います。弊社も相談をたくさんいただきます。
海外進出の足がかりとして展示会を活用することは素晴らしいことだとは思います。しかし、「まずは展示会にでる」という横並びの海外進出をするケースが多々あり、それでは非常にもったいないです。展示会の期間は限られていますが、そこでの心構えの違いで何倍も何十倍も結果が変わってきます。
これから海外進出を見据え、展示会出展や商談会などを考えている方に向けてぜひ知っておいてほしい心構えをお伝えしたいと思います。
現地の「生活者視点」を正確に捉えよう
自社商品を海外市場展開する場合、その多くがすでに日本市場でビジネス展開をしていて、その後、海外市場へ展開するという流れになります。
すでに商品に熱い思いがあることはもちろん、「海外で販売するんだ!」という夢を胸に計画される方がたくさんいらっしゃいます。
ですが、実際は日本で売れていたとしても、海外市場でも同様に受け入れられるわけではありません。
現地で受け入れられるためには、現地市場に対する理解やニーズ、文化背景などの「生活者視点」で捉えた際の特徴を踏まえて、戦略を練ることが欠かせない要素となります。
「生活者視点」とは、商品の消費活動のみではなく様々なサービスや体験も含めてニーズをもっている人のことで、海外市場展開においては、展開する先の各国に住み、現地の文化背景を基盤に生活している方々のことです。
どれだけ自社の商品に自信があっても、現地市場の特徴を理解していなければ、成功する可能性があっても上手く軌道に乗ることができません。
ではどうやって生活者視点を知るの?という点ですが、参考までに私たちはこのような方法をとっています。
現地の生活者視点を知る方法の一例
- シンガポールでビジネス展開をする日系企業の訪問
- 商品に対するシンガポール国内の消費者へのグループインタビュー
- シンガポールで活躍するバイヤーやシェフとのネットワーキング
- 情報収集方法・EDB(シンガポール経済開発庁)からのマーケット情報
- シンガポールのF&Bで活躍する方や、飲食事業以外で活躍される方によるパネルディスカッション
こちらの内容はシンガポール進出を見据える企業様すべてに再現いただけるよう、研修化も行いました。JETRO様主催で中小企業向けに人材育成研修として開催実績もあります。
研修では、消費者からは「(現状のような)大きなパッケージでは使えないけど小さいパッケージなら買う」というような具体的なフィードバックもありました。
現地の生活者視点は、インターネットでは到底得られません。直接、生の声を集めるしかないと私たちは考えています。
これから展示会や商談会に参加するという方は、滞在期間をフルに活用してぜひ生の声を集めてください。きっと売れるための新しいアイデアが見つかるはずです。
英語や現地の言語で説明できるようになろう
海外市場展開にあたって、「商品説明を英語や諸外国語で行うこと」は必須条件です。
ご担当者の中には「英語全然できません!」とおっしゃる方もたくさんいます。
ですが、完璧でなくとも頑張って英語で実際になんとかやってみると、相手に伝わることが多々あります。
むしろ、担当者が直接自分の言葉で説明する機会は、良い気付きを得られる絶好のチャンスとなることもしばしば…。
特にシンガポールは多民族国家なので、いわゆる米英のネイティブな英語を話す方よりも、それ以外の方の方が圧倒的に大多数を占めています。
たとえ間違っていたとしても、自分の英語力で一生懸命伝えれば、相手が汲み取ってくれようとしてくれる文化もあります。
もちろん細かい商談や交渉には、それなりの水準の語学力は必須ですが、商品についての市場理解を深めるために必要な、生活者からの声を聞き出すフェーズや、さまざまな関係者とコミニュケーションをとる段階においては、自分自身の言葉で挑戦することをおすすめします。
そのような一生懸命な姿勢があるのかないのかは、当然相手にも見抜かれます。
なかには「(あなたは一生懸命なので応援したいから)何かあったら連絡してね!」と言ってもらうようなケースも目にしています。
ぜひ海外市場展開のご担当者の方には、「現地の生活者の声を、じぶんで聴きに行く姿勢」を大切にぜひご自身でコミュニケーションを図ってみてください。
現地に刺さるストーリーテリングを組み立てよう
海外市場展開を見据える商品には、様々なアピールポイントや特徴などの側面があるかと思います。
その溢れるユニークポイントの中から「どの部分を、どのように伝えるのか」…。
「どのように伝えるか」という点を、弊社ではストーリーテリング(物語り)と呼んでいます。
生活者の興味喚起を働きかけるために、商品に付随する背景を含めて、包括的に商品の魅力を伝えていくということです。
日本酒プロモーションのストーリーテリング例
例えば、弊社が数多くお手伝いさせていただいている、日本酒のプロモーション。PRにあたって「商品の魅力の、どの部分を伝えるか」を検討すると、必ずと言っていいほど「(商品が)いかに高品質であるか」という点が挙げられます。
もちろん「高品質である」という点を伝えることは大切ですが、そもそも大多数のシンガポールの生活者は、日本文化そのものを深く知っていません。
【出典】チャンギ国際空港内での新潟県産日本酒プロモーション / Niigata Sake Promotion at JW360°
シンガポールにおける「日本酒」を取り巻く環境は、どのようなものなのか。
まず、日本酒関連のイベントが増えてきたり、スーパーで購入できるようにはなりましたが、日ごろから日本酒を飲む人口はまだまだ少ないのが現状です。
日常から親しまれるアルコールは、ビールやワインが一般的なのです。
たとえ日本酒を知っていたとしても、「『純米大吟醸』を選んでおけばいいでしょ」といったぐらいの知識しかない方がほとんどです。
一方で、あまりに込み入った難しいことを言っても、お客さんはすぐには理解できません。
たくさんの情報を一気に伝えることはできませんが、以下のような商品に付随する背景を伝えると、興味関心度がぐっと高まります。
- 酒蔵の歴史や変遷
- お酒造りに必要な土地・米・水の特徴
- お酒を仕込んでいる杜氏の想い
- お酒がつくられている地域そのものの特徴
- 酒蔵での日常風景や、大切に受け継がれている志
また、料理とセットで提供できる場があれば、「その日本酒が、なぜこの食事とペアリングされたか」という点をレストランのシェフからお話しする取り組みなどは、日本酒に対するより強い関心を生むことができます。
シンガポールの生活者は、普段の生活で日本酒を口にすることはほんとんどありません。また、日本酒のラベルを見てもたいてい日本語で、何が書かれているのかわかりません。
Webサイトを見てみようと思っても、英語化されていないWebサイトも多いので、海外の方が特定の日本酒に関する情報を得たいとおもっても、なかなか難しいのです。
シンガポールにあるレストラン、小売店、日本酒卸業者、酒ソムリエなどの、日本酒に関わるあらゆる関係者の方々を通じて、「日本酒の魅力」を生活者へ届けることは、「(あまたある魅力の中で)何を伝えるか吟味すること」と同様に、大切なポイントになります。
海外進出だからこそ、ストーリーテリングは重要です。
特にシンガポールは小さい国で周辺国から多くのものを輸入しており、モノであふれたくさん選択肢があります。たとえ日本のものがより高品質だとは知っていても、品質に必要性を感じない人もたくさんいます。
その中でなぜ日本の商品を選ばなければならないのか説得しなければいけません。高い品質が消費者の何を進化させるのか、どんな思いで生み出したのか、現地の消費者の知識レベルを理解した上でアピールの仕方を考える必要があります。
これから展示会や商談会があるという方は、ぜひ現地に刺さるストーリーテリングを考えてみてください。
さいごに
以上、海外市場展開を見据えて検討すべきポイントをご紹介させていただきました。
上記はシンガポールだからというわけではなく、どの国においても当てはまることでもあるので、ぜひ多くの方々に海外展開をより具体的にお考えいただくきっかけとして、ご参考になれば幸いです。

