シンガポール・タイ・香港の訪日比較 | ターゲットを見直すポイント
2022年、日本でも一部の外国人観光客の受け入れが再開し、街でも外国人を見かけることが増えました。
コロナ禍を経た今、今後の訪日旅行需要の回復に向けて「どの市場をターゲットにすべきなのか」を改めて見直す良いチャンスです。
特に、訪日旅行業界では欧・米・豪が注目されていますが、日本政府観光局(JNTO)の統計データによると、やはりアジア圏からの訪日は根強いことがわかります。
【出典】日本政府観光局(JNTO), 日本の観光統計データ1
このブログでは、アジア圏でシンガポールとよく比較される「香港」と「タイ」をあわせた3つの市場を比較し、シンガポールの訪日旅行市場に可能性がある理由をご紹介していきます。
訪日旅行のターゲットとする市場について悩んでいる方にとって、お役に立てたらうれしいです。
3か国のなかで「シンガポール」に注目すべき理由
日本政府観光局(JNTO)の統計によると、3か国ともコロナ前の伸び率は10%を超える伸び率の年が多く、順調に推移していたことがわかります。
特にタイは2017年に少し落ち込んだものの、全体の推移としては他の2か国よりも順調に訪日旅行客数を伸ばし、2019年はシンガポールからの訪日旅行客数の2.5倍以上を記録していました。
【出典】日本政府観光局(JNTO), 2022年 訪日外客数(総数)
それでも「シンガポールの訪日旅行市場に可能性がある」と考えられるのは、以下の3つの理由からです。
- シンガポールの訪日旅行市場は成熟しきっていないためポテンシャルがあり、リピーター増も期待できる
- 1日あたりの消費額が、タイ・香港と比べて1万円以上高い
- シンガポールの富裕層市場はこれからも伸び、海外旅行に需要がある
以下では、それぞれについてより具体的にご紹介していきます。
【1】市場が成熟しきっていないためポテンシャルがあり、リピーター増加も期待できる
シンガポール市場は成熟しきっていないので、訪日旅行客数を増加できるポテンシャルがあるだけでなく、その後のリピーター造成も期待できます。
なぜなら、日本政府観光局(JNTO)が公開している2019年の統計データによると、香港は約9割もの訪日旅行客がリピーターであるのに対し、シンガポールやタイは7割程度です。
シンガポールやタイからの訪日環境客のうち約3割は初めて訪日する層であり、香港とは倍以上差があります。
香港は訪日旅行市場が成熟している一方で、シンガポールとタイは香港ほど成熟しておらず、初訪日の旅行者も一定数存在しています。
【出典】日本政府観光局(JNTO), 訪日旅行データ2021年1
成熟しきっていないので、訪日旅行客数を増加できるポテンシャルがあるだけでなく、その後リピーターの増加も見込める可能性が高いです。
実際に、シンガポールにはコロナ禍以前から「毎年日本に行く」というリピーターが結構いらっしゃいました。
目的は、季節ごとに本場の旬を味わうグルメ旅行を楽しむ、ウィンタースポーツをするために北海道や長野にいく、などさまざまです。
コロナ禍を経つつあるいま、このようなシンガポールのリピーターの動きは再び活発化してきています。
渡航再開のニュースが出たときには、予約や問い合わせが爆発的に増加しました。
シンガポール国営の国際ニュースチャンネル「CNA」では、少なくとも2つのシンガポールの旅行代理店で900名以上の予約があったと報道されました。
【出典】CNA, Local tour agencies see more than 900 confirmed bookings to Japan | Video
また日本政府観光局(JNTO)シンガポールでは、2022年に「おかえり」というキーメッセージを打ち出してプロモーションを実施しています。
3割が初めての訪日旅行客なので、初来訪したシンガポール人が毎年来るようなリピーターがまだ増やせる可能性があると考えられます。
【2】1日あたりの消費額が、タイ・香港と比べて1万円以上高い
観光庁の2019年年次報告書によると、香港・タイと比べてシンガポールからの訪日旅行者の消費額は、約1万円近く高いことがわかります。
【出典】観光庁, 訪日外国人の消費動向 訪日外国人消費動向調査結果及び分析 2019年年次報告書 をもとに筆者作成
特に「宿泊」と「食事」にかける金額の割合が際立っています。
【出典】日本政府観光局(JNTO), 訪日旅行データ2021年1
シンガポール人は国民性として、食事にお金をかける人がとても多いです。
シンガポール国内でも日本食はとても有名で大人気。コロナ禍中でも20件以上の高級日本レストランがオープンしていました。
「(本場の)日本食を食べるために日本へ行く」というひとも少なくありません。
弊社ではシンガポール国内の飲食業界のコミュニティと頻繁に情報交換を行なっているため、
コロナで日本に行けなくなってしまったので、シンガポール人は美味しい日本食を求めて、シンガポール国内の高級日本食レストランに行くようになった
という話をよく聞きます。
そのため、とあるシンガポール国内の日本食レストランの関係者からは「売り上げが上がっているので、日本との国境をこのまま開けてほしくない」という声まで聞きました。
シンガポール市場を訪日旅行のターゲットとすることで、実際に誘客した際には、地域の飲食や宿泊業界への経済効果を見込みやすいとも言えるかもしれません。
【3】シンガポールの富裕層市場はこれからも伸び、海外旅行に需要がある
富裕層誘致や、高付加価値のある観光体験の提供に力を入れている日本。
香港はビリオネアが多いことで有名ですが、シンガポールの方が全体の平均所得が高いです。
実際に、日本政府観光力(JNTO)の統計データによると、1人あたりの名目GDPを比較したとき、3か国のうち最も高いのはシンガポールでした。
【出典】日本政府観光局(JNTO), 「JNTO訪日データハンドブック2021年」1人あたりの名目GDP(米ドル換算)
また、今後2025年にかけて、香港よりもシンガポールの方が富裕層の割合が伸びると予想されています。
現在は、いわゆる純資産5000万米ドル以上の「超富裕層人口」は、香港に約2,100名、シンガポールに約500名と、香港の方が4倍以上多いです。
一方で、世界有数のグローバルな金融機関クレディスイスの年次レポートで公開されている2025年のミリオネア人数の変化率は、2020年比で香港59.8%、シンガポール61.9%と、シンガポールの方が増える予測がされています。
【出典】CREDIT SUISSE,『グローバル・ウェルス・レポート2021』(p.32) , 2021年6月
加えて、弊社が独自で実施した富裕層向けビジネスのプロフェッショナルインタビューによると、シンガポール人の富裕層が求めているのは「旅行」だということがわかりました。
詳細はこちらの記事をご覧ください。
シンガポール富裕層のリアル|富裕層ビジネスのプロ独占インタビュー
さいごに(まとめ)
日本政府観光局が出すレポートによると、富裕層でなくとも日本人でもなかなか行かないような場所やに魅力を感じる人が多いという結果が出ています。
地方への観光ニーズがあるため「訪日旅行客におすすめできることなんてなにもない」と感じている地域にも、見直せば十分価値になる観光コンテンツが見つかる可能性があります。
特にシンガポール市場からの訪日旅行客は、初来日した層のリピーター化が見込めます。
誘客数はまだまだ伸ばせる可能性があるので、ぜひコロナ後の日本旅行需要の増加を見越して、シンガポール市場への展開を模索してみてください。
とはいえ、実際に具体的にどのような準備をすればいいのかについて、このブログの内容だけでは具体的にイメージできない方も多いかもしれません。
弊社ではシンガポールの訪日旅行市場に長年関わり続けており、現地の動向や現地旅行代理店と関係性をもつスタッフが、ご相談を受け付けています。
ご希望の方は、ぜひ一度以下のフォームよりお気軽にご相談ください。








