超富裕層の実態とは|効果的なビジネス展開ならシンガポール市場から学べ!

超富裕層のイメージ
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シンガポールにて富裕層マーケティングの研究をしている私たちですが、最近は特に富裕層の中でも資産を多く持つ「超富裕層」に関する情報がないかをよく聞かれます。超富裕層の実態や超富裕層向けサービスの情報は一般にオープンではないことも多く、その真相を探るのがなかなか難しいかと思います。

そこで今回は実際に超富裕層にヒアリングしてわかったシンガポールで話題の「超富裕層向けサービス」の事例もご紹介していきます。ぜひ参考にしてください。

超富裕層とは誰?どこにいる?

野村総合研究所のレポートによると、日本における「超富裕層」は純金融資産5億円以上を保有する世帯と定義されています。一方、国際的には3,000万ドル(約46億円)以上の資産を保有する「Ultra High Net Worth(UHNW)」層が多く存在し、特にアメリカのニューヨークなどが代表的な集積地と報じられています。

そんな中注目されるのはシンガポールです。

人口約600万人の小国ながら、シンガポールはUHNW層の数で世界第8位にランクインしています(出典:ナイトフランク『The Wealth Report 2024』)。同レポートによれば、2022年には4,500人だったシンガポールのUHNW層は、2028年には5,535人に増加すると予測され、約15.7%の成長が見込まれています。絶対数だけを見ればアメリカやヨーロッパ主要都市が依然として多いものの、人口比や増加率を考慮するとシンガポールは世界有数の富裕層集積地であるといえます。

さらに、英系コンサルティング大手ヘンリー&パートナーズ(Henley & Partners)の「Global Citizens Report」によると、資産100万ドル以上の移住者がシンガポールに流入する動きはアジア圏で特に顕著とされています。また、シンガポール金融管理局(MAS)の発表では、資産家向けのファミリーオフィス設立件数が2020年に約400件だったものが、2022年には1,000件以上へと急増したとの報道もあり(出典:Bloomberg)、富裕層や超富裕層が資産拠点としてシンガポールを選ぶ事例が多数出てきています。

シンガポールの風景

超富裕層が各国からシンガポールに集まっている

なぜこれほどシンガポールに集まってきているのか?

その背景には、税制優遇措置やビジネスに適したシンガポール政府による規制環境が大きく影響しています。

たとえばシンガポールでは2025年3月現在、相続税、贈与税はかからず、株の売却益などのキャピタルゲインや配当などのインカムゲインに対しても非課税となっています。香港含む周辺諸国よりも政治的にも安定していることもあり、資産運用や管理をシンガポールの「ファミリーオフィス」に委託する富裕層も増えています

シンガポールのファミリーオフィス

【出典】EDB Webサイト

「ファミリーオフィス」とは超富裕層のニーズに合わせ、超富裕層のためだけに資産運用から会計税務、相続税対策など、家庭の資産運用に関するあらゆるサービスを提供してくれる専属のサービスです。

株式・債券・投資信託などの金融商品を中心に扱う「プライベートバンク」とは異なり、超富裕層の家族専用で長期的な不動産・事業投資などに関する資産運用をオーダーメイドで取り扱うのが特徴です。

The Wealth Report 2024」によると、シンガポールはこの10年間でファミリーオフィスの数を約100から1,100以上へと増加させ、現在では約700兆円以上(4兆米ドル以上)の資産が管理されているとのこと。これを受けてアジアの富の中心地とされてきた香港から、近年シンガポールへの資産流入が加速しているそうです。

香港も流出を食い止めるために、ファミリーオフィス向けの優遇措置や、3,000万香港ドル以上を投資する個人向けの特別プログラムを導入しているのですが、シンガポールの成長速度には及ばず、多くの資産家が香港からシンガポールへと拠点を移しているというのが近年のトレンドになりました。

シンガポール金融管理局(MAS)は、ファミリーオフィスによる国内投資を促進するために、地元のローカル企業や環境関連プロジェクトへの投資優遇策を強化。今後も富裕層の移住と投資の流れは続くと見られるので、シンガポールはますます超富裕層の移住先として注目を集めていく可能性があります。

超富裕層のイメージ

シンガポールでは超富裕層向けビジネスが急増!ここから学ぶべきこと

シンガポールで富裕層が増えていることにともなって、富裕層向けのビジネスが増えています。今回改めて調査してみたのですが、日本にはないビジネスばかりで目からウロコでした!

どんな点が富裕層に支持されているのか現地でヒアリングもしてきたので、富裕層向けにビジネスを展開したいと考えていらっしゃる方の参考になると嬉しいです。

マリーナベイ・サンズにある招待制の「The Chairman Suite」

シンガポールの代表的な観光スポットのひとつにもなっている「マリーナベイ・サンズ」で最も高級なお部屋「The Chairman Suite」への宿泊は、実は誰でもできるものではなく紹介制となっています。ホテル側の審査が通った人でないと予約を取ることができないのです。

5つ星ホテルの総客室数は2,560室あり、ほとんどの客室が一般客でも予約が可能なのですが、The Chairman Suiteは別格。ベッドルームは3部屋(520m2)、もしくは4部屋(630m2)の2パターンがあり、

  • 専用のチェックイン
  • 専用の到着エリア
  • 専用のエレベーター
  • リムジン送迎サービス
  • 24時間体制の専属バトラーサービス

などの、まるで映画のような「THE ラグジュアリーサービス」が提供されます。

ちなみにホテルに隣接する高級ショッピングエリアにも超富裕層向けのサービスがあり、モール内の案内や送迎を専用カートで行う「VIPショッパー」というパーソナルショッピングサービスを展開しています。

シンガポールには超富裕層に対してこのような「パーソナルショッピングサービス」を提供しているデパートは数多くあり、特に専属ショッピングスタイリストをアサインすることはよくあります。

マリーナベイ・サンズでは、超富裕層のニーズを事前に伺った上で、ショッピングエリアにある各高級ブランドから専属スタイリストをアサインするという徹底ぶり。VIP対応の次元が異なります。

The Chairman Suiteの内容

【出典】マリーナベイ・サンズ Webサイト

「ファミリーオフィス」と呼ばれるプライベートバンク拠点の急増

シンガポールには超富裕層のニーズに合わせ、超富裕層のためだけに資産運用から会計税務、相続税対策など、あらゆるサービスを提供してくれる「ファミリーオフィス」が多く存在します。

「ファミリーオフィス」には1つの家族にサービスを提供する「シングルファミリーオフィス」と、親族などの意味合いで複数の家族にサービスを提供する「マルチファミリーオフィス」があります。シンガポールには約1,400の「シングルファミリーオフィス」があり、東南アジアの50%のオフィスがシンガポールに集中していると言われています。

日本人の超富裕層を対象にしたシンガポールの「ファミリーオフィス」もあります。

PAN ASIA ADVISORS Webサイト

【出典】PAN ASIA ADVISORS Webサイト

会員制プライベートクラブ(The Tanglin Club)

シンガポールにはさまざまな富裕層向けの会員制のプライベートクラブがあり、中でも、1865年に設立された「The Tanglin Club(タングリンクラブ)」は老舗として有名です。

70カ国以上から会員が集まるシンガポールを代表するプライベート会員制クラブで、130を超える世界有数のプライベート会員制クラブと相互提携を結んでいる由緒あるコミュニティです。

シンガポールのど真ん中のオーチャードエリアにあり、レストラン、バー、カフェはもちろん、ヘアサロン、図書館、ダーツ場、屋外プール、屋内テニスコート&スクウォッシュコート、多目的ホールなど様々な施設を提供しています。

会員数は約4,000人で、入会希望者はタングリンクラブに在籍して3年以上となる正会員(Ordinary/Lifetime)2名からの推薦が必要となります。入会希望者はまず推薦者同席の元、「タングリンクラブに入会するのに相応しいのか?」タングリンクラブの職員と30分〜1時間程の面接を受けなければなりません。

面接を受けた後も、施設内の掲示板に入会希望者の氏名、国籍、年齢、役職、会社名、配偶者氏名、推薦者2名の氏名が1ヶ月間張り出され、その間にクラブ会員から反対意見がない場合、晴れてメンバーになることができます。

正会員になるには、2024年1月現在で入会金が約1,100万円(100,000SGD)、それにプラスして月会費が個人で約11,000円(107SGD)、夫婦・家族で約23,000円(214SGD)が発生し、会員権の譲渡はできないとのこと。また、期間限定でも入会は可能で、会員資格の有効期間は1年間。1年ごとに更新され、最長5年まで有効とのこと。

ちなみに施設内のサービスは会員もしくは会員の同伴者しか利用できないのですが、レストランやカフェなどは割とリーズナブルな値段となっています。

以下の記事ではシンガポールのプライベートクラブを紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

シンガポール富裕層が集う「会員制プライベートクラブ」を潜入調査!

シンガポール富裕層のプライベートクラブイメージ写真

高級コンシェルジュサービスQuintessentially(クインテッセンシャリー)

Quintessentially」は、2000年にロンドンで創立されたイギリスに本社を置くラグジュアリーライフスタイルマネジメントグループ。

  • レストランの予約
  • VIP対応の移動手段の確保
  • 旅行・個人ショッピングのアレンジ
  • 日々の雑務
  • 緊急の依頼

など、あらゆる超富裕層のあらゆるニーズに対応するコンシェルジュサービスを提供しています。

シンガポールでの「Quintessentially」の利用者が急増しているとCNAで報じられています。全世界の利用者の平均年齢は45歳なのですが、シンガポールのメンバーの平均年齢は40歳。「Quintessentially」独自のネットワークや利用者による交流があるため、シンガポールでは比較的若い企業家がそうしたネットワークを得る目的でメンバーになることが多いそうです。

Quintessentially Webサイト

【出典】Quintessentially Webサイト

高級医療を提供するMount Elizabeth Hospital

シンガポールは「Medical Tourism」という方針を掲げていて、東南アジアの超富裕層の間でシンガポールは高水準の医療を受ける拠点の一つとしても知られています。「Budget Direct Insurance」のデータによると、パンデミック以前は毎年約50万人(全体の旅行者の4%程度)が「Medical Tourist」として医療目的でシンガポールを訪れていたそうです。

超富裕層向けの医療機関としてシンガポールで知られている高級医療機関のひとつが「Mount Elizabeth Hospital」。1979年に開院した私立病院で、心臓病学、腫瘍学、神経科学などの専門的なサービスを提供し、多臓器移植の専門病院としても知られています。

40年以上にわたる実績と信頼はもちろんですが、20以上の都市に国際オフィスを設置し、海外からの患者に対して、ビザや航空券、ホテルのアレンジ含む、シンガポールまでの旅行の手配や、通訳サービスなどのサポートを提供しています。

Mount ElizabethのWebサイト

【出典】Mount Elizabeth Hospital Webサイト

さいごに(現地視察でより深く知ろう)

シンガポールには超富裕層に限定した商品やサービス、特別な空間やおもてなしを提供する事業者が他にも数多く存在しています。

超富裕層からの支持を得ている商品やサービスに共通しているのはもちろん「圧倒的なVIP(特別)感」ですが、海外市場の超富裕層向け事業を展開しようとされている日本の方にとって、これらの基準値や水準は実際に触れない限りなかなかわからないポイントだと感じています。

弊社ではより詳しく個別のご状況を伺った上で、シンガポール市場の超富裕層向けビジネスについて意見交換をすることが可能なので、ご相談をご希望の方はぜひお気軽に以下のフォームからご連絡ください。

本記事が日本企業の海外市場進出にとって、参考になることを心から願っています。