ターゲット調査から海外旅行社の招聘まで実施した「OTERA STAY」支援事業

ファムトリップ実施中の風景
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株式会社シェアウィングは、「OTERA STAY」というブランド名で、日本各地でお寺が運営する宿泊施設(宿坊)など、寺社に特化した滞在体験・コンテンツ企画・運営をされています。

山梨県身延山エリアでは複数の拠点を手掛けられており、今回は身延山エリアでシンガポール市場に限らず海外市場全般に向けた訪日観光の促進を図るために、調査と戦略策定を実施。

弊社では調査と戦略の策定に加え、それらに基づいて海外の旅行会社・ランドオペレーターを招請するファムトリップの企画催行をご支援させていただきました。

結果、3社全ての旅行会社担当者からぜひ送客をしたいというポジティブなフィードバックを得ることができ、海外市場の新しいチャネルが開拓できる可能性を見出せました。

この記事では、そこに至るまでどんな活動をしていたのかをまとめます。

訪日観光に関する調査をご検討されている方はぜひ参考にしてください。

 

山梨県身延山エリアで実施されている宿坊観光コンテンツ「OTERA STAY」の、シンガポールをはじめとした海外向け調査、戦略策定、ファムトリップの企画・催行をご支援させていただきました。

より魅力的にかつ効果的に海外市場に「身延のファン」を増やすための施策を調査

身延町に日本人だけでなく、海外からもすでに観光客が訪れている理由は大きく3つあります。

ひとつは、山梨県身延町には、2024年4月現在の千円札裏に描かれた富士山の風景のモデルになっている本栖湖があり、日本らしさを感じられる場として有名であること。

ふたつめは、身延山は鎌倉時代に日蓮聖人によって開かれた日蓮宗の総本山「久遠寺」を擁する長い歴史を持つ場所で、周辺には今も多くの宿坊があること。

日蓮宗信者の方をはじめたくさんの日本人や外国人がすでに訪れています。

さいごに、新宿から身延山まで直行バスがあり、東海道新幹線が通るゴールデンルート側からも静岡駅や富士駅から身延駅まで特急が走っていること。

このように、名所も魅力的な滞在先もあり、利便性が高い身延町は、一定数の外国人観光がOTA(インターネット上だけで取引を行う旅行会社:以下、OTA)などを通して滞在しやすい好条件が揃っていました。

しかし一方で

  • 海外市場からより多くの誘客を行うには、どんなターゲットやどんなチャネルを強化したら良いのか?
  • 外国人旅行者に対して、身延エリアをさらに魅力的に見せ、宿坊へのさらなる誘客を図るにはどうすれば良いのか?

などの、より魅力的にかつ効果的に「身延のファン」を海外市場に増やすための基礎的な戦略や、具体的な方法が検討されていない状態でした。

OTERASTAYのHP

【出典】OTERA STAYウェブサイト

調査による仮説の洗い出しから検証まで包括的に実施

より魅力的にかつ効果的に身延のファンを海外市場に増やす「最適な打ち手」を見出すために、本事業では以下4つの取り組みを実施しました。

  1. 定量調査:OTAのWebサイト、自社のWebサイトの分析による仮説検討
  2. 定性調査:弊社スタッフによる実地視察
  3. 設定したペルソナに合う顧客を持つ国内・海外旅行会社へのファムトリップ参加交渉
  4. 身延へのファムトリップの企画催行

定量調査:OTAのWebサイト、自社のWebサイトの分析による仮説検討

身延の魅力を海外市場により効果的に伝えるためには、すでに来てくださっている訪日観光客のことをまず徹底的に知ることが重要です。

彼らが

  • どのような経緯で訪れたのか?
  • どのように情報収集したのか?
  • 実際訪れてどのように感じたのか?

などの情報から、今後取り組むべき施策のヒントを得ることができるからです。

本事業では定性・定量両方の側面から身延エリアの実態を知るための調査を実施しました。

まずはデスクリサーチで実施した「定量調査」では、以下の内容を調査しました。

  1. 身延エリアの宿坊のOTAや、ブッキングシステムのデータ分析
    1. 国籍、口コミ、サイト内遷移、カゴ落ち調査等
  2. Googleビジネスプロフィールの口コミ分析
    1. OTAのデータと全く異なる結果が出る可能性もあったため、「1」の結果の確度を向上させる目的で実施

具体的な分析結果をお伝えすることはできませんが、たとえば宿坊別にどのようなOTAを経由して、どの国から流入しているのかを調査した結果、以下のようにそれぞれにかなりの差があることがわかりました。

【参考】身延エリア某宿坊のOTAごとの国籍別割合

定性調査:弊社スタッフによる実地視察

より精度の高いペルソナ設定のため、弊社スタッフが実際に身延山を訪問し、宿坊での宿泊等旅行者と同じ目線で視察を行いました。

弊社独自に開発している以下の「評価シート」を用いて現地の宿坊を分析し、周辺の視察について特筆すべき事項と合わせてレポートにまとめ、最終的な検討段階に活用しました。

弊社独自の訪日観光滞在先の評価シート

【参考】弊社独自の訪日観光滞在先の評価シート

設定したターゲットにあう国内・海外旅行会社へのファムトリップ参加交渉

調査結果を踏まえ、最終的に身延町のターゲットとして選定した対象は以下の2つでした。

  1. その土地ならではの歴史・伝統文化など自国では絶対にできないディープな経験を好む「欧米からの個人旅行者」
  2. 市場を問わず、特別な目的があり好きなものであれば投資を惜しまず、マインドフルネスに高い関心を持つ「少人数グループ」(経営者グループの親睦旅行、リトリート好きのコミュニティなど)

弊社はシンガポールの会社ですが、これまでの訪日インバウンド事業の中でランドオペレーターなど様々なコネクションがあります。

その中で、今回設定したペルソナに合う顧客を持ち、身延エリアに最適だと考えた海外旅行会社やランドオペレーターに直接ファムトリップの参加交渉をしました。

身延へのファムトリップの企画催行

参加交渉とあわせて、ファムトリップ時の行程作成を含む企画全体のご支援をさせていただきました。

身延エリアは都心やゴールデンルートからのアクセスが非常に便利なので、参加いただく旅行会社にも体感していただくため、

  • 往路:
    • 欧米の外国人旅行者の利用が特に多いと考えられるゴールデンルート(静岡側)
  • 復路:
    • 甲府から特急で新宿に戻るルート

での実施を図りました。

また、久遠寺周辺や宿坊だけでなく身延町及び周辺のコンテンツも体験してもらうために、本栖湖への立ち寄りを加えるなど工夫もしました。

海外の旅行会社やランドオペレーターに直接身延町へのファムトリップへの参加を交渉した結果、

  • 海外の富裕層を取り扱う旅行会社(フランス、シンガポール)
  • 欧米を主なターゲットにしているランドオペレーター

から、合計3社の招請を実現することができました。

いずれも本調査で設定した顧客ターゲットに最も近い立場の企業を選出し、招聘することができました。

弊社では招請当日も同行し、現地での視察サポートを実施しました。

ファムトリップ実施中の風景

ファムトリップ実施中の風景

参加者全員が「身延エリアの旅行商品開発をぜひ検討したい」

ファムトリップでは、参加した3社の担当者全員から

(自社が抱える顧客のニーズにあうので)身延エリアの旅行商品開発をぜひ検討したい

というフィードバックを得ることができ、調査の仮説がおおよそ正しいことを証明することができました。

ファムトリップ参加者からのアンケート結果

【参考】ファムトリップ参加者のアンケート結果

さいごに

元々宿坊などの魅力的なコンテンツがあり利便性も良いことから、訪日観光客が訪れていた身延。

本事業での取り組みを機に、より一層主体的に訪日観光誘客を仕掛ける側に立ち、地域を盛り上げることができる足掛かりとなったのではないかと感じています。

身延エリアおよび同エリアの宿坊の魅力が、これからも世界中の旅行者に広がっていくことを心から願っています。