海外の焼酎事情ガイド|シンガポールはアジア市場を狙える登竜門
【更新日】2023.12.25
いま世界では「焼酎」に注目する酒類業界関係者が登場してきています。
日本だと「安くて強いお酒」というイメージがある焼酎ですが、海外で評価される魅力や市場の状況が全く異なり、シンガポールでは高級レストラン・高級バーでのお取り扱いが主流です。
数年前にオープンした焼酎専門のバー「RPM by D.Bespoke」が人気を集めており、焼酎を使ったおしゃれなカクテルを提供することで全く焼酎を知らない方々への認知度向上に貢献されています。
世界市場で日本が誇れるお酒は「日本酒」だけではないのです!
この記事では「焼酎の海外進出」を検討する際の参考となるように、シンガポール市場における焼酎事情をまとめました。
市場規模や流通している場所に対する弊社独自の市場調査結果や、人気焼酎バー「RPM by D.Bespoke」のバーテンダーへの独占インタビューを含む、現地在住者ならではの情報が満載なので、「焼酎の海外事情ガイド」としてご活用ください。
海外・シンガポールの「焼酎市場」は?
成長する世界のスピリッツ市場、シンガポール市場にポテンシャルはある
結論から言うと、世界的に日本文化・日本産酒類への注目度や、蒸留酒への人気が高まっていることから、日本の焼酎の輸出拡大の可能性も高まっているといえます。
令和4(2022)年の日本産酒類の輸出金額は、1,392 億円(対前年21.4%増)となり、初めて1,000 億円を突破した令和3(2021)年に引き続き好調に推移しました。
一方で、品目別に2020年の海外輸出額をみると、ウイスキーやリキュールは30%以上拡大し、ワイン、日本酒なども増加しています。ビールは37%、ジン・ウォッカは40.7%、焼酎は23%前年比で落ち込みました。ちなみに焼酎は国税庁によると、国内の市場も1999年をピークに縮小傾向にあり、2018年はピーク時の9割にも落ちています。
一方で、日本酒の総輸出額は約241億円となり、過去11年連続で過去最高を記録しています。焼酎の総輸出額を比べると、日本酒の1/20程度にあたる約12億円。同じ日本文化の看板を背負う代表的なお酒でありながら、かなりの差があります。
日本酒はワインと同じ「醸造酒」ですが、焼酎は「蒸留酒」でスピリッツの一種。焼酎は世界市場で戦えないのでしょうか?
無論、そんなことはありません。焼酎にも世界市場で伸びしろが十分あると考えられます。
【出典】 国税庁, 酒類の輸出金額の推移について(2021年2月)
世界的な市場統計を公開しているStatistaによると、2021年のスピリッツ市場の規模は約52.5兆円(481,107百万米ドル)にのぼり、2025年まで毎年6.89%の成長が見込まれています。
また、世界のスピリッツ市場をリードするのはジンとウイスキーですが、アルコール市場全体で大きな割合を占めるのはアジアが最大で、次いで北米とヨーロッパとなります。アジアでは特に中国やインドで国内消費が増加しているため、世界のスピリッツ市場で中国とインドが大きな割合を占める可能性が見込まれています。
Persistance Market Researchによると、中国ではスピリッツの輸入売上が過去10年間で4倍に成長しています。中国では、白酒(ホワイトスピリット)と紹興酒が最も人気のあるアルコール飲料です。また、インド国内のアルコール消費者の約88%はスピリッツを消費しているとのこと。
実際に2020年の日本酒と焼酎の輸出国上位6か国を見ると、アメリカを除き5か国すべてがアジアの国々です。
【出典】国税庁, 酒類の輸出金額の推移について(2021年2月)
アジア地域でスピリッツ市場の拡大が見込まれるということは、日本のクラフトスピリッツ「焼酎」には輸出額を伸ばし続ける日本酒を追うほどのポテンシャルがあると考えられます。
焼酎は、市場を追い風と掴むことができれば、存在感を世界に発信することができ、市場拡大を狙えそうですね。
焼酎にとってシンガポール市場は「アジアへの登竜門」となる
成長著しいアジア地域、特に中国やインドでの販路拡大を目指すには、シンガポール市場がおすすめです。
シンガポールには中華系の華僑やインド系の民族も在住するので、シンガポール市場に進出することによって本格的に中国やインドの市場に進出する前のテストマーケティングが実施できます。
外務省のデータによると、2021年3月現在で中華系のシンガポール人は、全体の76%。また、インド系は人口比率としては7.6%です。2020年の焼酎の輸出金額トップは中国なので、シンガポール在住の中華系の生活者にも焼酎の魅力が伝わり、受け入れられる可能性は大いに考えられます。
インド系は人口比率としては7.6%と小規模ですが、居住区も文化圏も「リトルインディア」と呼ばれている区域を中心に生活している方がほとんどなので、この特徴を生かし、リトルインディア地区を舞台に、インド市場進出に向けた試験的な取り組みが実施できる可能性があります。

リトルインディア地区にある超巨大インド系スーパー「Mustafa Center」は、シンガポール在住のインド系生活者はほとんどが訪れる場となっています。
シンガポールの酒類市場そのものも拡大する予想で、スピリット市場は、2021年から2025年まで毎年平均4.1%の成長が見込まれるという報道もあります。
また、シンガポールにはミシュランで高い評価を得るレストランやバーが多く、世界的に注目が集まる市場となっています。
William Reed Business Mediaが主催するアジアにおけるバーの最高クラスの格付け「Asia’s 50 Best Bars」では、ランクインしているアジアの上位50軒のバーのうち、12軒がシンガポールにあります。
「シンガポールで実績を積むと近隣のアジア諸国に認められ、ビジネスチャンスが拡大する可能性が広がる」とも言われており、世界中からスピリッツ企業が市場開拓を狙って市場進出しています。
余談ですが、シンガポールのお酒に関するトレンドは以下の記事で詳しくご紹介しています。若年層を中心に巻き起こっていた「クラフトビール」や「クラフトジン」のブームなど、焼酎以外の種類関係の情報がたくさんあるので、気になる方はぜひご覧下さい。
参入障壁になりうるボトルネック「酒税」は要チェック
シンガポールの酒類事情において注意しなければならないポイントは「酒税」です。
シンガポールでは住民税がなく法人税も低いのですが、酒税が高く取られるため、お酒の販売価格が全般的に高いという特徴があります。
また、シンガポールではお酒の度数が課税額を決める基準になるため、度数が高い焼酎は必然的に酒税が高くかけられてしまいます。
そのため、焼酎は日本の市場価格と比べてかなり小売価格が高くなり、シンガポールの焼酎価格は日本の約4倍で販売されているという調査もあるほどです。
実際に私が住んでいる地域で販売されている『いいちこ(720ml)』は約3,750円(SGD$46)ですが、日本では1,000円程度で販売されています。

NovenaのColdstorageにて、陳列棚の様子。
また、シンガポールでは日本酒も焼酎も、日本食の飲食店で消費される傾向があり、その理由は大きく以下の3つです。
- シンガポールでの焼酎の流通量は日本に比べて極端に少ないから
- 焼酎を知らない上に、韓国のSoju(そじゅ)と発音が似ているため、同じものだと思われているから
- そもそも知名度が低いので、味や飲み方が分からず、家庭消費用に購入されることが少ないから
実際のところ、シンガポール国内の焼酎の消費者はシンガポールに在住する日本人が主要で、現地のシンガポール人にはまだまだ焼酎の知名度は低いというのが現状です。
一方で、酒類市場の拡大は見込まれており、また近年では業界関係者が焼酎に注目していたり、焼酎専門のバーが人気を得ているのも事実です。
この追い風を受けて、地道な認知度向上施策とファンづくりを続けることで、焼酎の市場拡大が見込めるとも考えられます。
特に、シンガポール国内の人口7割を超える華僑をターゲットに展開を模索することで、日本酒に次ぐブームを巻き起こす可能性が秘められていると、現地に住んでいて感じます。
シンガポールで実際に焼酎を楽しめる場や業界内の動きについては、以下でより詳しくご紹介しますのでご参考にしてみてください。
シンガポール市場独自レポート:飲める場所・買える場所は?
【飲める場所】リーズナブルな和食レストランやバーが主流、ハイエンドのレストランには置かれていない
シンガポールで焼酎が飲めるお店は、和食が食べられる店舗がほとんどなのですが、シンガポールの和食レストランは4つのタイプに分けられます。
- 最高級和食(1人当たりの予算:S$500〜=5万円前後)
- 高級和食(1人当たりの予算:S$300=2〜3万円)
- 和食専門店(1人当たりの予算:S$100前後=〜1万円)
- ジャパニーズ(1人当たりの予算:S$50=5千円以下)
「ジャパニーズ」とは、ファミレス風の店舗設計で、現地でアレンジされたメニューが多く、ローカルの若い世代に人気があります。
焼酎は「高級和食」か「和食専門店」での取り扱いが多く、ハイエンドのレストランにはあまり置かれていません。
「高級和食店」は、主に日本人とシンガポールの富裕層が主要顧客なので、顧客が日本料理をシンガポールで楽しむ際に「焼酎」が選択肢にある状況となっています。
【飲める場所】バーでのお取り扱いは、客単価以上の「高級路線」が最多
焼酎を取り扱うバーやレストランの客単価は、どれくらいの層が多いのでしょうか?
シンガポールにある合計77件の焼酎をお取り扱いするバー(レストランバーを含む)を弊社が独自調査し、以下の4つの価格帯に分けて分類しました。
結果、客単価SGD$40~100(約3,000~8,000円)以上のバーでのお取り扱いが全体の6割を超え、シンガポールにおける焼酎は「高級バー」でのお取り扱いが圧倒的に多いことがわかりました。
そのうち、客単価SGD$100(約8,000円)以上の店舗は全体の3割以上を占めています。

焼酎は日本では「安く飲めるお酒」というイメージがありますが、シンガポールでは高級品に近い位置付けということがよくわかります。
シンガポールへ進出する際には、このような市場の現状を踏まえて、価格設定や訴求するブランドイメージ、提供する付加価値などを注意深く検討すべきです。
また、上記の調査にも該当する主要な「焼酎」のお取扱店は以下の通りです。2021年9月現在の情報ですが、シンガポール市場に進出される際にはご参考にしてみてください。
【 主要な「焼酎」お取扱飲食店 】
- 徳 Toku Izakaya Bar Singapore
- いな穂
- つくね 一期
- 寛寿司
- Bōruto Singapore バー
- たまや
- Five Tapas Bar
- 和 Nagomi Restaurant & Bar
- 十寿司 丸佐屋
- 糀寿司
- Drink Drunk Donki
【買える場所】高価でも意外と生活に身近なスーパーでも販売されている
シンガポールの生活者ならだれもが知っているスーパー「Cold Storage」では、酒、梅酒、韓国ソジュ、中国酒とともに販売されています。
ですが、「Cold Storage」では焼酎はのお取り扱いは『いいちこ』しかありませんでした。

NovenaのColdstorageにて、陳列棚の様子。
また、国内の大型商業施設でも、焼酎のラインナップは『いいちこ』しか取り扱いがありませんでした。
日本酒の銘柄数は多数あるので、比較すると焼酎の伸びしろを感じられます。

Marinaエリアに位置するColdstorageにて、陳列棚の様子。
ちなみに以下の写真に写っているのはすべて日本酒です。
日本酒は種類も豊富で、サイズが小さいもの(300ml)もSGD$15(約1,000円)から販売されてるので、「ちょっと試してみよう」という気持ちで購入することができるようになっています。

Marinaエリアに位置するColdstorageにて、陳列棚の様子。(日本酒のラインナップは種類も量も多様)
シンガポール市場ではすでに日本酒専門店も登場しており、一部の焼酎は、日本酒専門店で販売されていることもあります。
「ライスワイン」として海外市場で躍進する日本酒ブームを追う形で、焼酎も「日本のクラフトスピリッツ」としての地位を海外市場で築く日が待ち遠しいですね。
そのほかの主要なお取り扱い店舗は以下の通りです。ご参考にしてみてください。
【 主要な「焼酎」お取扱小売店 】
■スーパー・デパート
- ISETAN
- 明治屋
- Don Don Donki
※高島屋ではPOP UPストアなどの催事で販売されることがあります
■ 日本酒専門店
■サプライヤー
■ローカルeコマース

シンガポール随一の焼酎バー「RPM by D.Bespoke」のバーテンダー・オーナーを独占取材
シンガポール随一の焼酎の取り扱いを誇るのは、「RPM by D.Bespoke」です。
シンガポール唯一の「焼酎バー」で、取り扱う種類は200品種と、他の店舗と比べ物にならないほどたくさんあります。
ただし、シンガポールでの焼酎の認知度はまだほとんどと言っていいほどありません。
そのため「RPM by D.Bespoke」は音楽をたのしめる焼酎バーとして付加価値を提供し、焼酎を知ってもらうきっかけを提供していらっしゃいます。
ここでは、実際にこのお店で勤務されているバーテンダーとこのお店のオーナーを独占取材してご提供いただいた情報を特別にご紹介させていただきます。
焼酎の認知度が低いシンガポールで、以下にして成功されているのか、現場のリアルを伺いましたので、ぜひ参考にしてみてください。

顧客層は日本人以外の若者中心!まったく新しい「焼酎」の訴求方法を体現する類まれな存在
さきほど。シンガポール国内ので焼酎消費者は
レストランでのお取り扱いは「高級和食」か「和食専門店」での取り扱いが多く、主要顧客は日本人やシンガポール在住の富裕層
とお伝えしましたが、こちらのバーにはなんと日本人のお客様のご来店が一番少ないそうです。
主要顧客は中華系やインド系のシンガポール人、欧米人のお客様で、客単価は1人あたり3杯程度のSGD$70(約6,000円)程度とのことです。
年齢層は20~35歳の若者が中心で、音楽が楽しめるバーであることから、音楽好きの方が多く来店されています。
ご来店されるお客様の8割は常連で、口コミを通じて広がっているそうです。
また、来店客の6割は女性であることから、見た目も美しく、かわいらしいカクテルも多くご提供されています。
また、提供されるメニューのうち約90%が焼酎を使ったカクテルとなっていて、種類が大変豊富です。
お客様は焼酎を目当てに来店するのではなく、音楽や一風変わったカクテルをたのしみたくて来る、というお客様がほとんどなので、日本にあるような「焼酎は、年齢層が高めの男性が好むもの」というイメージは皆無です。
むしろ全く逆と言っていいほどの、新しい焼酎文化がシンガポールのバーから発信されていると言っても過言ではないかもしれません。
【出典】RPM by D.Bespoke, Facebook投稿
焼酎を飲んだことがある人は稀で、韓国酒「Soju」や日本酒との違いを伝えるところから始まる
初めてバーを訪れる方うち、焼酎を飲んだことがある方は大変少ないそうです。
焼酎を知っているが飲んだことがない方と、焼酎を飲んだことがある方を合わせると、全体の約2~3割とのこと。
残りの7~8割のお客様は焼酎を知らない方々なので、シンガポールにおける焼酎の認知度はかなり低いことがわかります。
そのようななか、こちらのバーは「焼酎」ではなく、「カクテル」目当てで来店するお客様ばかり。まずカクテルが気に入って、それに含まれる焼酎を知る、ということになります。
そもそも「日本酒」と「焼酎」、韓国のお酒の「Soju」の違いがわかってないという方も大変多いので、日々接客の中でそれらの違いをきちんとご説明されているとのことでした。
オーナーさんが以下のようにお話ししていたのが印象に残っています。
オープンして2年半が経ちますが、お客さんがかなり増えました。
焼酎をここまで扱っているバーはシンガポール国内にないので、お客さんが増えていくにつれて「焼酎」がシンガポール市場に少しずつ広がっていると実感しています。
カクテルを通じて焼酎を知る、という方法は、全世界的に市場拡大している日本酒とは異なる路線なので、今後の広がりが大変楽しみです。
【出典】RPM by D.Bespoke, Facebook投稿
焼酎をあつかう海外PRイベント・メディア事例
海外市場をターゲットとした焼酎に関連するイベントやメディアが、いくつか登場しています。
ぜひ以下の情報を参考にし、今後の海外販路開拓に向けた情報発信方法の参考にしてみてください。
【日本の事例】日本の焼酎・泡盛を世界のSHOCHU・AWAMORIへ
「日本の焼酎・泡盛を世界のSHOCHU・AWAMORIへ」は、2020年10月にJETROがスタートしたプロジェクトです。
日本の焼酎や泡盛の輸出を活性化することを目指し、輸出拡大の課題である「低い知名度」「弱い海外マーケティング」「焼酎・泡盛ビジネスへの参入不足」に対して、デジタル技術を活用することで「バーチャル焼酎館の創設」「海外マーケットインスキルの提供」「オンライン商談機会の常時提供」を実施しています。
日本のクラフトスピリッツ全体を世界にPRする、日本発・最大規模のオンラインプラットフォームです。
焼酎の認知度向上には、「焼酎を広めたい」と賛同する現地の業界関係者との連携を図りつつ、地道に継続的な情報発信を行うことが重要です。
特に、対顧客だけでなく、業界内の、特に顧客接点に関わるレストランのスタッフに対して、丁寧な教育や啓蒙活動を行うことは必須となります。
本プラットフォームは、現地のプレーヤーとの連携を後押しできるきっかけとなるので、ご活用されることをおすすめします。
なかでも「バーチャル焼酎館」には、製造工程や原料の違いに関する説明を詳しく英語表記されているページもあり、これから海外進出を目指す蔵元や商社の皆様にとって、今後の資料作りや営業活動の参考になります。
また、蔵元の紹介ページに掲載する情報も随時募集しているようなので、オンラインマーケティング施策の一環として掲載を検討されてもよいかもしれません。
【出典】Japan External Trade Organization(JETRO), Shochu 101
【中国の事例】焼酎と中華料理とのペアリング類型表を開発
中国では、日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO)が主催となり、中国四大料理である「北京料理」「四川料理」「広東料理」「上海料理」からそれぞれ7種類の代表的な料理と、焼酎とのペアリング類型表を開発する取り組みが2021年5月に公開されました。
科学的観点を用いて分類を整理し、現地での実証結果を基に完成されており、中国語版のものは現地の事業者が中国国内での販売活動に役立てることができるようになっています。
お酒と現地の食事とのペアリングを提案することは、海外市場展開を成功へ導く際に、非常に重要なポイントとなります。
実際、弊社でも実施したイベントの参加者や業界関係者から「良い商品ということは分かったが、どのような料理と組み合わせたらいいか?」という質問をほとんどと言っていいほど必ず受けます。
また、ワインや日本酒を採用するシンガポールのレストランでは、食事とのペアリングを考慮したラインナップが提供されることがほとんどです。
現地生活者に親しまれるためにも、現地の食文化とどのように焼酎が合うか、提案できるように検討しましょう。
【出典】独立行政法人日本貿易振興機構 JETRO, 中国における日本酒・焼酎飲用機会の拡大へ! ―日本酒・焼酎と中華料理のペアリング類型表を開発―(2021年05月25日)
【フランスの事例】コンペティション『Kura Master』
2017年から開催され、今年で第五回目になるフランスの地で行うフランス人のための日本酒コンクール『Kura Master 2021』が開かれました。
世界には日本のお酒を対象とした様々なコンクールがありますが、『Kura Master』はフランスの歴史的食文化でもある「食と飲み物の相性(ペアリング)」を重視しているという特徴があります。
また、フランスでは「提出された出品酒の総数の内、33%が受賞できる」という規定が政府によって定められているため、この基準に基づいて受賞ブランドが決定されるという点も特徴的です。
2021年度からは「本格焼酎・泡盛コンクール」が新設され、審査対象を拡大しています。
焼酎の分野では、芋焼酎、米焼酎、麦焼酎、黒糖焼酎、泡盛、樽貯蔵の全6部門に分かれており、それぞれプラチナ賞と金賞が与えられます。
評価方法は100点満点の加点方式で、フランス人とフランスの市場を想定した審査基準となります。
フランスをはじめとした欧州市場へのアピールに絶好の場となるので、我こそはという蔵元の皆さんはぜひ挑戦してみてください。
焼酎に関する海外メディア
Shochu Next
焼酎の価値と魅力を改めて掘り起こし、日本、そして世界へ伝えていくことを目指しているメディア。
焼酎等の和酒を中心とした酒類商社(南山物産)より発行されており、特に焼酎の「熟成」にフォーカスをあてて、さまざまな記事を発信しています。
このメディアには、熟成焼酎に焦点を当てた情報や蔵元のインタビューが多く掲載されており、さまざまな焼酎のたのしみかたを知ることができます。
また「海外でどのように焼酎が楽しまれているか」といったの記事もあるので、情報収集に役立ちます。
Sake On Air
Sake On Airは、2018年秋、日本の日本酒・焼酎業界の専門家たちが、オープンな対話を軸として新しい情報提供を目指してはじまりまった、英語で運営されるポッドキャストメディアです。
ビール、ワイン、スピリッツに加え、食事や料理に関するあらゆる情報を提供しています。
同様のポッドキャストが数多くある中で、日本酒と焼酎に特化して世界に発信しているのはこのメディアだけです。
「世界の人々を刺激する『日本の伝統的な食文化』の一部として、焼酎と日本酒の魅力を食をこよなく愛する世界中の人々へ届けたい」という情熱を感じます。
2020年の11月には「SAKE Future Summit 2020」という2日間のオンラインイベントを開催し、日本だけでなくシンガポール・台湾・ニュージーランド・ドイツなど世界中がホストとなって様々なテーマの分科会が実施されました。
たとえば、初日の最初の分科会では「The Pillars of Shochu Behind the Bar(焼酎の柱はバーの裏側にある)」と題して、世界的に活躍する日本人バーテンダーであり、ASIA’S 50 BEST BARS 2021にて「Roku Industry Icon Award」を受賞した後閑信吾さんと、世界的なバーアワードでその店舗が上位に名を連ねるSG Groupが監修した焼酎ブランド「The SG Shochu」のブランドマネージャーJoshin Atoneさんが対談しています。
司会を務めるのは世界中で「焼酎マスター」として活躍するChirstpherさんです。
【出典】Sake Future Summit 2020: Day 1 – Presented by Sake On Air, The Pillars of Shochu Behind the Bar (47:53)
Chirstpherさんが焼酎に目を向けるようになったきっかけを尋ねると、後閑信吾さんは以下のようにお話しています。(Youtubeビデオ 49:05~)
2018年に日本のお店をオープンさせてからも、主にニューヨークを中心に海外で活動してきたので、いつも西洋のスピリッツ(蒸留酒)を使ってきたのですが、日本を拠点にしはじめたときに、お店に来てくださった外国人観光客のお客様に「日本のホームスピリット(ご当地の蒸留酒)を届けたい」と感じたんです。
その時に、自分はなぜ今まで西洋のスピリッツばかりを使っていたのだろう、と疑問に感じて。
日本に住む、日本のバーテンダーとして、カクテルを作るときに「日本のホームスピリット(ご当地の蒸留酒)」を紹介したいと思い、「バーで焼酎を提供できる方法はないか」というインスピレーションがおりてきました。
このほかにも「SAKE Future Summit 2020」で開催されたすべての分科会は、以下のYouTubeで公開されています。
進行も寄せられているコメントもすべて英語となりますが、世界中の人々が日本の酒文化をどのように見ているのか、どのような想いを持っているのか、直接情報収集することができます。
以下よりご覧いただけるので、ご興味ある方はぜひチェックしてみてください。
- Sake Future Summit 2020: Day 1 – Presented by Sake On Air
- Sake Future Summit 2020: Day 2 – Presented by Sake On Air
さいごに
以上、海外市場における焼酎について、いかがでしたか?
焼酎の輸出額が伸び悩んでいるのは、「焼酎が海外市場に受け入れられていないから」ではなく「そもそも焼酎の魅力がまだ伝わっていないから」という、焼酎が秘めているポテンシャルを感じていただけたのではないでしょうか。
繰り返しますが、焼酎が該当するスピリッツの世界市場は拡大する見通しで、特に中国やインドなどのアジア圏の消費が高まる予想がされています。
今すぐに海外進出の予定がある方も、まだ検討段階の方も、この記事を今後の参考にしていただけるとうれしいです。









