海外進出の成功確率を上げる「バイヤーインタビュー」徹底解説!

シンガポールのスーパーの様子(イメージ)
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シンガポールは食料供給の90%以上を輸入している輸入大国なのですが、そんな中で日本からシンガポールへの食品の輸入額が過去10年間で年平均約11%のペースで大きく伸長しています!

弊社にも日本県産品のプロモーションに関するお問い合わせや案件が年々増加。

「日本県産品をシンガポールでプロモーションしたい」という内容はもちろん、「以前、実際にプロモーションを実施し、アンケートを実施したが、その結果をどうやって今後に生かせばよいか分からない」「具体的なアクションに繋がらない」というご相談をいただいたりもします。

そこで今回は、アンケートだけではなかなか把握できない情報が一気に手に入る、現地の「バイヤーインタビュー」についてご紹介します。

海外輸出を伸ばす一環としてシンガポール市場で何かしらの施策を行うことを検討している方にとって参考になれば嬉しいです。

海外進出するならまず「現地バイヤー」に聞け!

「シンガポールを重点市場として力を入れていく」となっても、実際限られた予算内で施策を検討する中、一体何からスタートするべきかわからないという声を聞くことがよくあります。

そのような方に全員お薦めしているのが、シンガポール市場の店舗に日本の商品を卸しているバイヤーの方々に直接会って話を聞くインタビューです。

彼らは日本産だけでなく、様々な国の商品が溢れていて、競争が激しいシンガポール市場で卸売業を行っているプロフェッショナル

商品トレンドや消費者ニーズ、輸送や保管における物流インフラの状況、輸出に必要な規制や手続きに関する知識など、幅広い知識を持っています。

現地バイヤーに直接会って、これからシンガポール市場に流通させたいと思っている商材に商機があるのか否か、アドバイスや成功のヒントを得ることができるのが「バイヤーインタビュー」です。

バイヤーインタビューを行うことでより効率的にシンガポール市場に合った商品を選定したり、販売戦略を検討することができるので、市場進出の成功率を格段に上げることがます。

そもそも「現地バイヤー」とは?

「バイヤーインタビュー」はシンガポールの現地で卸売業を行う人のことを指すのですが、もう少し詳しくより具体的に解説したいと思います。

野菜や果物などの青果物の流通に関するバイヤーは、以下の表の「ディストリビューター」もしくはスーパーマーケット、レストランなどの「エンドユーザー」の方々を指しています。

シンガポール市場におけるバイヤーの位置付け

【出典】JETRO, カントリーレポート:シンガポールの食品市場

シンガポールの食品流通において、レストラン、スーパーマーケット、小売店、セントラルキッチン、Eコマースなどのエンドユーザーの多くは、主に輸入業者や流通業者を活用しています。

大規模な輸入業者やディストリビューターは、通常、自社で物流を行っています。

バイヤーは、消費者のニーズや流行、競合状況に関する知識も豊富。品質、価格、量などを考慮した上で、シンガポール市場に適した製品を選定し、原産地の卸業者や輸入業者との交渉も行っています。

日本産の商品をシンガポールへ輸出することを考えた場合、現地のバイヤーは業界のプロフェッショナルとしてとても重要なキーパーソンなのです。

第一歩は「バイヤーインタビュー」から

バイヤーインタビューは市場調査の一環として、現地バイヤーに直接意見をヒアリングし、消費者のニーズや競合状況、物流条件、価格帯など、輸出戦略を策定する上で重要な情報を収集する場です。

実際に実施してみたいと思った場合は、通常以下のような流れで進めていきます。

【1】適切なバイヤー探しとアポ調整

シンガポールには日系の卸業者は少なくとも20社、ローカルの卸業者は100社以上、飲食店は29,000店、スーパーマーケットは690店あると言われています。

バイヤーインタビューを行う際、まず多数存在するバイヤーの中から、自社商品のカテゴリーに関して深い知識のあるバイヤーを見つけ、アポイントを取り付けることが大切です。

なかなか日本でデスクリサーチをして調べることは難しいのですが、最低限日本にいながらやれることを以下のブログにまとめているので、気になる方は参考にしてみてください。

海外の競合を日本から調査する限界|現地に行かないとわからないこと

商談会のイメージ

弊社がサポートさせていただく場合は、創業以来15年間で培ってきたネットワークを使って、より最適なバイヤーを選出し、ご調整させていただきます。

【2】バイヤーインタビュー実施日のスケジュール

バイヤーインタビューを実際に行う日のスケジュールは、インタビューの合間に現地の視察を行うようにしましょう。

ローカルのウェットマーケット(市場)やスーパーマーケットなどがお薦めですが、あまり欲張り過ぎてしまうと思った以上に移動に時間がかかってしまうこともあります。

最終的にクタクタになって、せっかくのバイヤーインタビューで集中力が続かなくなりかねないので、余裕のあるスケジューリングを意識して企画することが重要です。

弊社では、2泊3日程度の期間で、以下の2つのことを行うスケジュールをおすすめしています。

  • 午前・午後1件ずつ60分程度のバイヤーインタビューを実施する
  • バイヤーインタビューの合間に1日2〜3件、現地のスーパーなどを視察する

視察先の代表的な例は、以下の表にまとめたので、参考にしてみてください。

ローカルスーパー等 日系スーパーマー
  • Cold Storage
  • Fair Price
  • Haomart
  • ウェットマーケット(市場)
  • Don Don Donki
  • 明治屋
  • 伊勢丹

また、以下の記事ではより詳しくシンガポールのスーパー事情についてまとめているので、参考にしてみてください。

シンガポールのスーパーマーケットまとめ|価格帯やターゲット層とは

スーパーのイメージ写真

【3】インタビューの内容(質問項目)

インタビュー実施後に、より具体的なアクションに移せる有益な情報を得るには、事前に「何を質問したいのか?」を必ず詳細に準備しておきましょう。

例えば、以下のような項目についてはデスクリサーチでは絶対に手に入らない情報もたくさん出てくる可能性が高いので、バイヤーインタビューを行う際には絶対に聞くようにしてください。

  • 現在の市場の動向は?
    • シンガポールの生鮮食品市場における需要、消費者の嗜好、消費者行動など
  • いまバイヤーが求めている商品は?
    • 卸業者や小売業者それぞれがどのような生鮮食品を好むのか
  • 求められる品質と価格の基準は?
    • バイヤーが重視する品質基準や量、価格帯について探る
  • 日本からの仕入れにおける課題は?
    • 現在の仕入れ先に満足しているか、どのような課題があるかを聞き出す
  • 日本からの配送と物流の事情は?
    • 生鮮食品の配送、保管条件、リードタイムに関して、どんな課題があるか聞き出す
  • 季節性の需要予測は?
    • シーズンやイベントによる需要の変動について質問し、提供タイミングやボリュームについてのヒントを得る

このような質問項目を事前準備をしていないと、現地のバイヤーと対面するときに相手に残念がられてしまう危険性があります。

実際、「日本の会社と商談してもねぇ…(話が進まないし、ビジネスにならない)」というふうにぼやいている現地のバイヤーは少なくないからです。

現地のバイヤーが日本企業に対してどう思っているのか。弊社独自で取材した内容をまとめた記事があるので、バイヤーインタビューを実施したいと思っている方はぜひ事前にご確認ください。

海外バイヤーの本音|なぜ彼らが日系企業との取引をためらうのか

商談会のイメージ

現地バイヤーにインタビュー!「日本産」だけでは売れない時代の真実

先日、弊社で実際にシンガポールのローカルスーパーや日系スーパーに商品を卸しているバイヤーを複数名集めて、インタビューを実施しました。

具体的にした質問やもらった回答をたっぷりご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

シンガポールの消費者は、食に対してどのような特徴が?

シンガポール国内は全体的に食の質が高く、どこでも美味しいものを食べられるようになっています。

その水準に慣れているシンガポール国民は舌も肥えているし美食家も多い。

品質と見た目を重視する傾向があると感じています。

シンガポール人は「日本食」がお好き

国土が狭い分、娯楽が限られていることもあり、シンガポール人にとって「食」は娯楽として注目度が高い分野のひとつです。

訪日リピーターも7割近くと大変高い水準で、日本にわざわざ美味しい日本食を食べにいくという人もいるほど「日本食」の人気が衰えない市場でもあります。

実際、シンガポール在住の月収約113万円以上(SGD10,000以上)の高所得者を対象に、インターネットリサーチ事業を展開するGMOリサーチ&AI株式会社様と実施した共同調査によると「シンガポールで日本食を食べたことがある人」は約93%

世帯月収別にみると月収額が多くなればなるほど、日本食レストランに行く割合(経験率)も増える比例関係にありました。

調査の詳しい内容は以下のブログにまとめているので参考にしてください。

シンガポール在住の高所得者層を徹底調査!日本食に関するアンケートでわかったこと

GMOとの共同調査

消費者は日本産と海外産の違いをどう認識してる?

日本産のものは、質が良いという感覚は浸透しているが、日本産だから買うという現象は今殆どなく、日本市場向けに作ったものがそのままシンガポールで売れる時代は終わった。

日本産と外国産の青果物を比較した際に、値段の差以上の味の差が縮まってきているので、差別化が難しくなってきているのが現状。

どの国のものでも市場であまり出回ってない、特別感があるもの、他では真似できないもの、何かの要素が突出しているものは売れる。

限定感や希少価値がある商品が求められている

「特定の地域でしか取れない青果物」や「季節の旬の青果物」などの、限定感や希少価値があるものはお店も打ち出しやすいため流通しやすい傾向が高いです。

たとえば、「輝太郎」という柿は季節限定の商品で、「丸っこい形や大きさ、甘みが突出していることなど、かなり尖った特徴があって打ち出しやすい」と、バイヤーの方に教えていただきました。

毎年10月になるとこの柿が入荷したかを尋ねてくる店舗スタッフがいるとのこと。

輝太郎を販売しているWEBサイト

【出典】MomoBud Webサイト

日本産の青果物が人気だが何を基準に仕入れている?

日本産は単に「日本産」として扱っていて、日本国内の産地にまではこだわっていない。

日本産のものが品質が高いことは理解しているが、国内の産地までは理解しておらず、差別化もしていないので、細かくブランドを見て購入する消費者はあまり多くない。

いちごであれば「あまおう」、ぶどうであれば「シャインマスカット」といった、認知度が高くて顧客が手に取りやすいものを仕入れることが多い。

◯◯県産を打ち出すことがセンターピンではない

実際にこれは食に限らずさまざまな商品において言えることなのですが、日本市場の中では「◯◯県といえばXX」という暗黙の前提がありますが、シンガポールではそうではありません。

いくら訪日リピーターが多いシンガポール市場とはいえ「これ、◯◯県産なんです!」といったところで、それがどういう地域なのかピンとくる人は少ないのが現状です。

私たち日本人にとってもほとんどのケースで「これはオクラホマ産なんです!」とPRされてもピンとこないことと同じ。

消費者や、消費者と商品をつなぐ現地のバイヤーは「糖度が日本産の中で最も高い」「先日◯◯という賞をとった」などのよりイメージがつきやすくてわかりやすい情報を求めています。

海外のバイヤーとの商談会などの席では、アピールすべきポイントを間違えてないように気をつけましょう。

流通〜販売はどのようにしている?

輸出業者と話をして、輸入業者に市場とやり取りをしてもらうことが多い。

卸業者から毎週商品リストが来るのでその内容を参考にして発注している。

見た目やブランドが同じでも、生産者や収穫の際の気候が違えば、味も変わることもある事を念頭に選んでいる。

ただ店頭に並べるだけでは売れないので、付加価値に関するストーリー含めた販売の仕方が大切なので工夫している。

シンガポールでは消費者が商品を触ることも多いので、触られても商品が傷まないようパッケージのフィルムを工夫している場合も多い。

また長く保存できるものであれば、輸送方法の選択枠が増えるので、売りやすくなる。

最近あったクレームやトラブルは?

生産者が考える「良いもの」と、消費者が考える「良いもの」の認識には差があり、説明してもあまり分かってくれない事もある。

たとえば、シャインマスカットは黄色い方が甘いのだが、消費者は緑色のものを好んだり、「柿に白い粉がついている」のは糖分の結晶で、甘みが高い柿である証拠なのにクレームになったりする。

サプライヤー側が品質に厳しくなってきていて、日本産の農産品のみならず、全体として少しでも傷があると返品されることも多いので、安定した品質のものを購入したい。

さいごに

すでに日本食について認知度が高いシンガポール市場進出において、消費者のニーズや好みを肌で感じている現地のバイヤーへのインタビューは、もはや必須で取り組むべきとも言えるかもしれません。

このブログで実際にご紹介したバイヤーインタビューのやり取りでも分かるように、アンケートでは得られないような詳細な情報を収集できるのはもちろん、最新トレンドや事情をより詳しく把握し「何に気をつけるべきなのか」という具体的なアクションを検討できる可能性もあるからです。

特に、バイヤーインタビューだけでなく、同時に市場調査やテストマーケティングなどの施策も行うことができれば、より詳しくシンガポール市場を理解した上で進出戦略を練ることができます。

実際弊社のクライアント様にはシンガポール出張の限られた時間を有効活用していただくために、バイヤーインタビューと他の取り組みを同期間内に複数行うことをおすすめしています。

バイヤーインタビューの際には、どうしても高単価になりがちな日本産商品を裏付ける魅力をきちんと伝え、どのような差別化ポイントがあるのかを明瞭に分かってもらえるように工夫しましょう。

こうした情報さえきちんと提供することができれば、シンガポールのバイヤーはスピード感が早いので、即断即決で商談成立する可能性もあります。

これから海外進出、販路拡大を目指す方にとって参考になることを願っています。