シンガポールのスーパーマーケットまとめ|価格帯やターゲット層とは
2020年は新型コロナウイルス感染症の影響で世界が一変しましたが、特に「食」に関連する消費行動の変容は著しいものでした。
シンガポールでは、政府が実施した「サーキットブレーカー(感染防止対策措置)」により外食などは厳しく制限される状況に。
結果として、比較的多くの人がスーパーへの買い物、ECサイトによる食材の注文、そしてGrabなどに代表されるフードデリバリーサービスを大いに活用するようになりました。
そのような変革期を越えて、シンガポールの消費者はどうやって食材を手に入れてるのでしょうか?
このブログでは、シンガポール市場にあるスーパーマーケット業界の15ブランドを整理・分析し、現地でしか体感できない店舗の特徴や、市場の最新動向を「現地レポート」としてまとめています。
一読すれば、シンガポール市場で日本産食材の価格競争を激化した要因や、近年から目立つオーガニックスーパーの特徴、多国籍国家ならではの文化圏別スーパーについて、一気に理解することができます。
今後、食品関連でシンガポール市場展開を見据えていらっしゃる方の参考になれば幸いです。
シンガポール市場のスーパーマーケット カオスマップ【2020年度版】
こちらが、シンガポールにあるスーパーマーケットを全てまとめた業界マップです。
コロナ後のスーパーを廻り、最新の情報から分類しました。

最近は、オーガニックスーパーなどの、価格よりクオリティー重視のスーパーが増えてきた印象があります。
ただ、その中でも低価格戦法で成功しているDON DON DONKIのようなケースも…。
ひと言では言い表せないスーパーマーケット業界の状況を、以下ではポイントを絞って各店ごとに特徴をご紹介させていただいています。
日本食材の輸出をお考えの方は、ご自身の商品を販売する際に、「どこで」「だれが」「どんな時に」「何のために」買う可能性があるのか想像しながら、ぜひチェックしてみてください。
スーパーマーケット15ブランドの特徴
情報収集に役立つ『シンガポールのスーパーマーケットまとめ』です。
シンガポールの国土はとても小さいので、もし実地調査をご検討されるようでしたら、うまく順路を組めれば1日で十分な視察ができます。
早速それぞれの特徴をみていきましょう!
現地生活者だれもが知る「地域密着型スーパー」
FairPrice/FairPrice Extra
- 価格帯・ターゲット
- 一般層向け。
- 普段使いで利用することがほとんど。
- 陳列の特徴
- FairPrice Extraは通常の店舗よりも面積が広く、日用品や電化製品も扱う。
- その他特徴
- シンガポール最大の大手スーパーマーケット。
- 果物や野菜は近隣のマレーシアやインドネシア、インドからが多い。
- 一角に日本食品コーナーもあるが、調味料やお菓子がメイン。
Cold Storage

- 価格帯・ターゲット
- 一般層向けだが、FairPriceより割高。
- 他国から来ている在シンガポール駐在員もよく使っている。
- 陳列の特徴
- 寿司やグリルチキンなどを販売する、少しの惣菜コーナーもある。(シンガポールでは日系スーパー以外でお惣菜はあまり見かけない)
- その他特徴
- オーガニックの商品や欧米からの輸入商品も多数取り扱っている。

Sheng Siong Supermarket
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- 価格帯・ターゲット
- 一般向け。
- 最も価格帯が低いスーパー。
- 陳列の特徴
- 生鮮食品が充実している。
- POPなどにこだわりはなく、雑多に陳列はされている印象。
- その他特徴
- 店舗数は60店舗で郊外にあり、ローカル感が感じられる。
現地レポート:各エリアに根付くスーパーの存在感
シンガポールの地下鉄の各駅に、生鮮食品スーパーがあります。
シンガポール最大規模のスーパーマーケットチェーンNTUC Fair Price(230店舗)や、Cold Storage(系列含め53店舗)、中華系の商品も多くスーパーの中でも低価格なSheng Siong Hypermart(60店舗)は国民の生活に欠かせないチェーン店。
これらのスーパーはどの駅の近くでも見つけることができます。
近隣の国からの野菜を仕入れており、価格帯も比較的安定しています。
観光客の方などは、シンガポール土産を探す際にはとても使い勝手が良いと思います。
日本商品を多く取り扱う「日系スーパー」
Isetan Singapore(伊勢丹シンガポール)

- 価格帯・ターゲット
- 富裕層の、普段使い用商品を中心に扱う。(比較的高級)
- 一般層も高品質なものや日本商品を求めて若干来店している。
- 日本人の来店客が多い。
- 陳列の特徴
- 地元スーパーとはちがい、丁寧な陳列とディスプレイで品格がある。
- その他特徴
- シンガポールに5店舗展開している。
- 日本産の生鮮食品や加工食品を扱う。

Meidi-ya(明治屋)

- 価格帯・ターゲット
- 富裕層~一般層向け。
- 幅広い価格帯の商品が多い。
- 在シンガポールの日本人がよく利用している。
- 陳列の特徴
- 丁寧な陳列とディスプレイが印象的。
- お惣菜コーナーがある。(日系スーパーならではの風景)
- その他特徴
- Great World Cityに1店舗。
Don Don Donki(ドンキホーテホールディングス)

- 価格帯・ターゲット
- 一般層向け。
- FairPriceと比べると値段は高い。
- 普段使いしているローカルも多数いる。
- 陳列の特徴
- 日本の店舗よりもゆったりとしている印象。
- POPは日本語と英語で表記されている。
- その他特徴
- 日本産果物のお値段がお手頃。
- シンガポール市場で日本商品の価格帯を変えている存在。

現地レポート:日系スーパーの価格を変えた「DON DON DONKI」
シンガポールでは、日本の商品の中でも生鮮食品はかなり高価で、特に大人気となっている桃はSG$60-80 (1パック2個入りで、約5,000~6,000円)で販売されていた時期もあったようです。
しかし、2017年12月にドンキホーテホールディングス(ドンキホーテHD)の新業態「DON DON DONKI」の進出により、それまで高価格帯だったシンガポール市場の日本産高級食材に、価格競争の波が押し寄せました。
結果、あの大人気だった高級日本産桃は、桃が1パック2個入りで約SG$11と、高騰時の1/5以下のお値段に!(2020年9月14日時点)
5年前には考えられなかったほど衝撃的なマーケットの変化です。
シンガポールは多くの日系スーパーが進出しておりますが、近年価格競争はとても激しくなっている印象です。

▼「Don Don Donki」の詳細はこちら
ライフスタイル・健康志向重視型スーパーマーケット
Scoop Wholefoods
- 価格帯・ターゲット
- 富裕層~一般向け。
- 一般向けの多店舗より価格帯は上がるが、富裕層向けほどは高くはない。
- 陳列の特徴
- 2013年、オーストラリア初でオーガニックや素材を量り売りで購入できる店舗として開業しているため、量り売りを基本とする商品陳列が特徴的。
- その他特徴
- スパイス、ナッツ、調味料、紅茶などの商品がメイン。
- 加工品の取り扱いは少ない。

CS Fresh(Cold Storage Fresh)
- 価格帯・ターゲット
- 富裕層~一般向け。
- 一般層向けだが、価格帯はFairPriceより割高。
- 陳列の特徴
- 日本食材コーナーが充実している。
- 冷凍コーナー、寿司、酒、お菓子、肉などのコーナーそれぞれに”Japanese”とつくスペースがある。
- その他特徴
- Cold Storageの新コンセプトスーパー(1店舗)がある。
- Korea, Thailand, India ,Taiwanコーナーがある。
- アジアの商品が手に入る品揃えになっている。
- 他のスーパーには見られない面白い仕掛けがたくさんある。
- Built your own Bento(自分で中身を選ぶお弁当)
- 惣菜コーナー
- オイスターバー
- 最先端の技術で作った野菜展示コーナー

現地レポート:新店ラッシュ!オーガニック系のスーパー
健康志向やオーガニック食材への関心が強まる中、Great World Cityモールには、ライフスタイルを提案するようなコンセプトのグローサリーショップ、スーパーが続々とオープンしています。
なかでも目立つのは「Ryan’s Grocery」。店舗数はまだ少ないですが、ローカルのスーパーとは一線を画した少しお洒落なスーパーです。
このスーパーのコンセプトは、サステイナブルな社会への適応。食材は、認定されたオーガニック農場や、自然に近い放し飼いでの生産管理を基本とする畜産農家から調達し、グルテンフリーやアレルゲン対応などが行える選択肢を必要とする地域社会に対応できるように考慮されています。
また、四季がないシンガポールですが、季節の農産物や肉類・高級乾物など、最高品質の商品を幅広く調達し、質の高い食材を提供しています。質の高いライフスタイルを求める人にとって魅力的な店舗です。
シンガポールは多民族国家なので、ヴィーガンやハラルフードなどの食の多様性があるにもかかわらず、実際は欧米やオーストラリアなどと比べて、レストランなどの外食の際にはそのような多様な選択肢がある訳ではありません。
Ryan’s Groceryのようなコンセプトのスーパーに対する需要は、今後も伸びていくと感じています。

多国籍国家ならではのニッチな「文化圏別スーパー」
シンガポールは多国籍国家なので、特定の国(文化圏)の方に支持されるモールがあります。
なんでも揃う超巨大インド系スーパーMustafa Center、タイ系のGolden Mile Complexなど、文化圏別という分け方もできることこそ、シンガポールのスーパーマーケット業界の特徴かもしれません。
早速ご紹介させていただきます。
Mustafa Center
- 価格帯・ターゲット
- 一般消費者向け。
- インド系スーパーであり、インド系の方の来店が多い。
- 陳列の特徴
- 生鮮食品、コスメ、衣料品、電化製品となんでも揃うスーパー。
- 端から端まで見ても、丸一日かけられるような大きな施設。
- カテゴリー別にぎっしりと様々な商品が置かれている。(日本のドンキホーテのような印象)
- その他特徴
- シンガポールのお土産探しにとても役立つ。

Golden Mile Complex
- 価格帯・ターゲット
- 一般消費者向け。
- タイ系モールなのでタイ系の方の来店が多い。
- 陳列の特徴
- タイの生鮮食品、コスメ、日用品が所狭しと陳列されている。
- その他特徴
- シンガポールの「リトルタイランド」と呼ばれる複合商業施設。
ウェットマーケット
肉・魚・果物・野菜等の生鮮市場である市場の総称です。
文化圏別というより、食材別に店舗がひしめき合っています。
水産物をお取り扱いの方は、「現地マーケターが伝えるシンガポールの水産品事情と輸出の可能性」と題したこちらの記事もご参考までにご覧ください。
- 価格帯・ターゲット
- 一般消費者向け。
- 価格に関しては店によってかなり幅がある。
- 価格の札がなく、言い値で販売が成立する場合も多い。
- 陳列の特徴
- 八百屋・市場のように所狭しと商品が陳列されている。
- その他特徴
- 早朝から営業しており、基本的に食材が無くなると閉店するお店が多い。
- 国内各所に存在し、規模は大小様々。
- Tiong Bahru地区にあるTiong Bahru Marketや、Little India地区にあるTekka Centreは規模も大きく、いつも賑わいがある。

スーパーマーケット業界で躍進する「ECサイト」
実はシンガポールでは、コロナ禍以前からデリバリー文化が根付いていました。
とはいえ、国民全員に外出規制が課せられたことで、勢いをさらに加速したのは事実です。
フードのデリバリーサービスやECサイトに関するリテラシーが極めて高いシンガポール市場では、現在様々なプレイヤーが存在しています。
LAZADA
- 特徴
- モール型の総合ショッピングサイト。
- 東南アジア6か国で運営している(マレーシア、シンガポール、タイ、フィリピン、インドネシア、ベトナム)
REDMART
- 特徴
- 現在はLAZADAに統合された(LAZADA内にアイコンを見つけることができる)
- デイリーユースの生鮮食品が販売されている。
- デリバリーできるので、コロナ禍では多くの家庭の生活を支えた。
- 2018年には、JETROがREDMART内で、日本製品を特設ページを開設し販促を手掛けた。
Zairyo
- 特徴
- 日本の生鮮食品や加工品を扱うECサイト。
- 牡蠣・うに・いくら・ほたてなど、一般のスーパーでは手に入れづらい日本の生鮮食品を扱う。
- 価格帯は食材によって高価格帯のものから、手頃な商品まで様々。
現地生活に寄り添う「コンビニスーパー」
日本と同じく、シンガポールにもコンビニスーパーが存在します。
多国籍ならではの工夫と戦略をもつブランドもあるので、ご紹介させていただきます。
HAO mart
- 価格帯・ターゲット
- 一般消費者向け。
- 陳列の特徴
- HAO Halal Hubでは、ハラルフードが中心。
- 日本食材のみりんなどにはお酒が入るため販売できず、他国産の酒無しのみりん風調味料などが販売されている。
- Eccellente by HAO martは、インターナショナルな品揃え。
- 価格も通常のHAO martよりも高く、シティホールやマリーナエリアなどの都心に店舗を構える。
- HAO Halal Hubでは、ハラルフードが中心。
- その他特徴
- 2016年にオープンし、現在47店舗。
- 勢いがあるコンビニスーパーで、HDB近辺に開業するパターンが多い。

セブンイレブン
- 価格帯・ターゲット
- 一般大衆向け。
- 価格は日本のセブンイレブンで購入する際と同様程度。
- 陳列の特徴
- 基本的にドリンクやお菓子、加工食品が中心。
- 日本とほぼ同じだが、サンドイッチやサラダなどの惣菜のコーナーはかなり少なめ。
- その他特徴
- 携帯電話のSIMカード(プリペイド式)が購入できる。

さいごに
シンガポールのスーパーマーケット業界事情、いかがでしたでしょうか?
各ブランドにはそれぞれ特徴や取り扱う商品の違い、また日本の商品のラインナップの違いがあります。
加えて生活者は、以下のようなシーンや検討項目の組み合わせによって、ブランドを使い分けています。
【 シーン別 】
- 普段使い
- ハレの日
- 贅沢
- ギフト
【 検討項目 】
- 鮮度
- 価格
- 店舗までの距離的な近さ
- 時間の短縮
- 手に入るまでの時間
- 商品を運ぶ手間
- ブランド
- 情報(SNSや口コミ)
- コンセプト
- ライフスタイル
- 品揃え
最近ではFacebookを利用したLIVEショッピングが人気を博すなど、新たな商流があります。
また、シンガポール市場のスーパーに商品を卸すまでの方法は、実際にはディストリビューターが関わるなど、手段がいくつもありかなり複雑です。
商品によって異なるアプローチができるケースもあるので、気になる方は、是非お気軽に弊社へご相談ください。
弊社では、日系企業のシンガポール市場展開に際し、事前のリサーチから、現地プレイヤーとの商談会、商品PRのストーリー設計など、プロセス全体を伴走し、10年以上サポートしています。
現地の情報を取り入れながら、商品にあう販路開拓をご一緒に検討させていただきます。
以上、シンガポールの最新のスーパーマーケット事情でした。
今すぐに海外進出の予定がある方も、まだ検討段階で商品を企画段階の方も、この記事を参考にしていただけますと幸いです。







