日本の豚肉はシンガポールで人気急上昇!輸入解禁で伸びしろだらけ
2019年に全面的に日本産豚肉の輸入が解禁されたシンガポール市場。輸出解禁からの3年間で輸出量が約90%増を記録し、今後の伸びも大いに期待されています。
日本産豚肉製品の輸出先としては香港が圧倒的に多いのですが、2021年はなんとシンガポールが香港に次ぐ第2位となり、輸出量全体の22%を占めています。
このブログでは、シンガポール市場における日本産豚肉の現状や流通事情、購入できる場所などを、シンガポール在住ならではの視点で具体的にご紹介いたします。
ぜひ参考にしてみてください。
シンガポールの豚肉市場は需要が拡大中
国内の消費量も日本産豚肉の輸出量も急増中
シンガポールと言えば「チキンライス」に代表されるように、シンガポール人は鶏肉が大好きですが、鶏肉に次いで豚肉もよく食べられています。
豚肉の消費量は年々増加傾向にあり、2011年から2020年で年間消費量が25%増えています。
【出典】Singapore Food Agency, Average yearly import quantity and import price (p.1)
日本産豚肉の輸出は、2019年に全面的に解禁となったばかりです。
新型コロナウイルスの影響で自炊する人が急増したことも重なったことから、2019年から2021年の3年間で輸出量は約90%も伸びており、今後の伸びも大いに期待されています。
【出典】独立行政法人農畜産業振興機構(alic), 日本からの畜産物輸出(輸出量) (p.1)
日本産豚肉のシェアは約1%で伸びしろだらけ
シンガポールの豚肉市場全体では、2019年から2020年の1年間で、輸入金額が約27%、輸入量は約14%増加しています(UN Comtrateのデータより)。
冷凍の豚肉が輸入数量・金額ともに最も多く、また2020年ではブラジルからが半数以上のシェアを握っており、輸入金額では55%、輸入量では62%を占めています。
ちなみに輸入国の上位5カ国(オランダ、ブラジル、アメリカ、ドイツ、スペイン)で、全体の輸入量・輸入金額共に約9割を占めています。
【参照】UN Comtradeより弊社作成
冷凍豚肉では日本よりも地理的に遠い地域からの輸入量・金額がとても多く、冷蔵の場合は2016年に遡っても、ほぼ全てオーストラリア産となっています。
【参照】UN Comtradeより弊社作成
日本からの冷凍の豚肉は、輸入金額3.5百万円で全体の1.3%、輸入数量0.29トンで全体量の0.3%と、まだまだ小さいことが分かります。
その理由としては、以下の2点が主な要因です。
- 2019年まで輸入規制があったこと
- シンガポール政府が認定した施設で処理した豚肉のみシンガポールへの輸出が可能なため、2022年5月時点では、北海道、秋田、岩手、埼玉、鹿児島の一部の処理施設のみからしか輸出できないようになっていること(認定施設の詳細はこちら)。
また、The Singapore Food Agencyによると、現在、日本からシンガポールへ輸出できる豚肉製品は「冷凍と加工品のみ」で、冷蔵と缶詰は不可となっています。(資料)
地理的に遠いスペイン産やアメリカ産の豚肉のシェアがこれほどあるということは、地理的に近い日本産豚肉には伸びしろがあると言えそうです。
対海外・シンガポール市場への輸出を日本政府も後押し
日本政府は海外市場全体に対して、日本産豚肉の輸出に力を入れています。
豚肉は「海外で評価される日本の強みを有し、輸出拡大余地の大きい27品目の重点品目」として、
とんかつ、焼き鳥など日本の食文化とあわせて海外の日本ファンにアピールすることで、今後の輸出の伸びに期待。
とはっきり明言しています。
【出典】農林水産省, 農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略(概要) (p.2)
またシンガポール市場に対しては、2019年の2億円の輸出金額を、2025年までに3億円まで拡大させることを目標としています。
【出典】農林水産省, 農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略 (p.24)
シンガポールでは日本食が非常に人気で、トンカツなどの豚肉料理もとても人気があります。
日本食を中心に、日本産の豚肉需要がこれから伸びていく可能性が期待されています。
シンガポール国内の「日本産豚肉」流通事情
スーパーでは北海道産や鹿児島産が人気
「DON DON DONKI」や「MEIDI-YA」といった日系のスーパーマーケットでは、日本産の豚ばら、しゃぶしゃぶ用豚ロース、ミートボールなどが購入できます。
特に北海道産や鹿児島産の豚肉が多く販売されており、豚ロースは100gで約500円〜750円(SG$5~8)で販売されていることが多く、日本と比べると倍以上の金額で販売されています。
対して、日系以外の現地のスーパーでは、日本産以外の豚肉が並んでいます。
例えば大手ローカルスーパーマーケットFair Priceでは豚ロース500g SG$10前後、つまり100g SG$2程度で、日本産豚肉と比べるとかなり安く販売されています。日本産は高いことがネックになりますが、販路拡大という点において、ローカルスーパーマーケットは大きな市場ではあるので、日本産豚肉の特徴、他国の豚肉との違いを伝えていくことで開拓していくことが今後求められます。
ローカルスーパー「NTUC」の豚肉コーナー
ローカルスーパー「Cold Storage」の肉コーナー
ちなみにシンガポールのスーパーについては、別の記事で詳しくご紹介しています。
さまざまな特徴を持つスーパーがあるので、ぜひ参考にしてみてください。
愛知県発の「Ma Maison」などのトンカツ専門店が人気
シンガポールにはトンカツ専門店が多数あります。
例えば、愛知県発の「Ma Maison(マ・メゾン)」は、シンガポールに9店舗を展開する日本食レストラン。
経営する9店舗のうち1店舗はカフェ、4店舗はトンカツ専門のお店となっており、トンカツは「Ma Maison」の看板商品と言えるほど大人気の一品です。
店内では約1,900〜3,800円(SG$20~40)でトンカツ定食などの豚肉を使った和食メニューを楽しむことができ、シンガポールでは大変人気があります。
【出典】Ma Maison ホームページ
その他にも、2011年には「Katsuya」、2014年には「Imakatsu」、2016年には「Hajime Tonkatsu & Ramen」などがオープンし、シンガポールで多くのトンカツ専門店を目にするようになりました。
ホーカーのトンカツ丼もハイレベルで大人気
ホーカーセンター/コーヒーショップ(屋台)で食べられる豚肉を使った「和食」のレベルも上がってきています。
「Maruhachi」というチェーン店では、アメリカ産やカナダ産の豚肉を使った本格的なトンカツ定食などが約960円(SG$10前後)というお手頃な値段で販売されています。
日本産豚肉ではないのが残念ですが、シンガポール人にも大人気で、在シンガポールの日本人からも「美味しい」と評判が高いです。
ECサイトでも日本産豚肉が販売中
コロナ禍を経て、シンガポールではECサイトから食品を購入する人が急増しています。
日本産豚肉は、日系のECサイトでも、現地企業が運営するECサイトでも販売されており、『KUROBUTA』『SHIROBUTA』といったようなカテゴリーで分けられています。
【出典】日系ECサイト「Shiki 四季」ホームページ
【出典】現地企業が運営するECサイト「MEATLOVERS」ホームページ
現地事業者とのコラボによる「日本産豚肉」流通事情
高級豚肉を使用したレストランキャンペーン
シンガポールで実施されている日本産豚肉に関するPRキャンペーンは、それほど多くはありませんが、レストランとタイアップしたプロモーションがいくつか実施されています。
2021年2月に開催された「Delicious Japanese Pork Fair」は、シンガポールにある6つのレストランが、北海道・熊本・鹿児島の高級和豚を使用したキャンペーン限定メニューを提供した取り組みです。
メニューは特別価格で提供される代わりに、QRコードをスキャンしてアンケート調査に答えてもらうという市場調査を兼ねた内容でした。
独自のECサイトへの導線があり、レストランでのキャンペーンは終了していますが、その後も日本産豚肉や和牛を販売しています。
料理教室・クッキングライブを合わせたレストランキャンペーン
2022年2月に開催された「Discovering Japanese Pork Flavours」では、シンガポール国内の11店舗のレストランで、日本産豚肉をメインにしたオリジナル料理が提供されました。
レストランでのキャンペーンと合わせて、
- シンガポールで有名な創作割烹料理の高級日本食レストラン「TAKAYAMA」の高山太郎シェフを招いた、日本産豚肉を使った料理教室
- 医師であり美食家でもある大人気インフルエンサーのDr Leslie Tay氏によるクッキングライブ配信
なども実施されました。
【出典】ieatishootipost Facebook, Discovering Japanese Pork – Live Cooking Coming Up!, 2022/2/27
(参考)認証マークを使った和牛の取り組み
日本産豚肉ではなく、先に市場に進出し広く認知されている「和牛」に関する取り組みも参考までにご紹介します。
「WAGYU(和牛)」はシンガポールで大人気で、レストラン、ECサイト、スーパーマーケットなど、至る所で「WAGYU」の文字を見かけます。
和牛は高級品として認知されており、シンガポール市場で主流となっているオーストラリア産の牛肉と差別化されていて、美食家を中心に根強いファンが多いのが特徴です。
日本産豚肉も他の輸入国とは異なる価値を市場に認識される必要があります。
なぜならシンガポールの国民性は食が娯楽のひとつでもあるので、美食家が多く食の情報には敏感。
そんな市場で差別化ができない食材を販売するのは至難の業だからです。
例えば「和牛」に関連する取り組みでは、世界に冠たる日本の和牛を世界中に正しく発信するために2007年に制定された「和牛統一マーク」と共にWAGYUをプロモーションしています。
以下のウェブサイトでは実際にそのマークを見ることができました。
認証マークがあることで、対シンガポール市場向けの商談会に出品した場合にバイヤーが安心して仕入れることが出来るため、輸出の際のポイントになり得ます。
豚肉も和牛同様、日本産豚肉であることを示す「日本産豚肉統一ロゴマーク」というロゴがあるので、今後、「日本産豚肉」の品質やイメージをわかりやすく保証する、このロゴマークを活用することがバイヤーへの一つのアピール材料になり得ます。

さいごに(まとめ)
シンガポール市場への日本産豚肉の輸出は始まったばかりで、地理的にも近いことから、輸出拡大の可能性が大いにあると考えられます。
ぜひ本記事でご紹介した内容を参考に、海外市場進出をご検討いただけるきっかけになったら幸いです。
日本産豚肉のシンガポール展開をご予定中の方や、ご相談をご希望の方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。













