グローバルキャリアから訪日インバウンドの現場へ飛び出した理由|Vivid Dialogue vol.2(前編)
皆さん、こんにちは。Vivid Creations 宮川です。
弊社と関わりのある方々と、対談形式でさまざまなトピックについてお話していくコーナー「Vivid Dialogue」の第2弾です!
今回は弊社で関わる機会が多い領域である「訪日インバウンド」をテーマにお話します。
対談するのは、日本国内のさまざまな地域で多拠点生活をしながら、弊社と協働しているパートナー、石原 紗和子さん・木次谷 紅子さんです。
グローバルキャリアからローカルビジネスの現場に転身し、日本各地で多拠点生活をしながら、弊社と協働しているお二人との対談を通じて、訪日インバウンドの現場のリアルな情報をお届けしたいと思います。
【 Vivid Dialogue:「訪日インバウンド」 】
石原 紗和子さん(イシハラ サワコ):Sawa
神奈川県出身。神田外語大学卒業後、旅行会社エイチ・アイ・エスへ入社。東京での勤務後シンガポールへ赴任。その後Vivid Creationsへ入社し、旅行関連のマーケティング事業に関わる。2018年に日本帰国後、福井県若狭町・島根県隠岐島・東京などを拠点に、地域のコミュニティと世界をつなげる活動に奮闘中。
木次谷 紅子さん(キジヤ コウコ):Koko
東京都出身。大学在学中に上海へ留学、卒業後、東京・クアラルンプール・シンガポールにて旅行会社に就職。7年間の東南アジア生活を経て、2018年に帰国。いつも旅行では観光地の景色よりも、その土地の人達とのふれあいが強く残ることを感じ、日本の地方部と海外を繋ぐことに興味を持つ。海外からの視点を活かしながら地域に関わり、島根県隠岐島・沖縄・東京を中心に多拠点生活中。
Vivid Creations 宮川:Genki
静岡県出身。運動大好き。大学在学中にカナダ・アメリカへ留学し、卒業後、広告代理店に就職。国内企業・地方自治体のPR事業に従事。Vivid Creationsに入社後は、様々な日系企業の海外PRに関わり日々邁進中。常にクライアント様・パートナーの皆様とともに未来を描くことを大切にし、寄り添いながら価値を共創していくことがモットー。
■「訪日インバウンド」シリーズ
・グローバルキャリアから訪日インバウンドの現場へ飛び出した理由|Vivid Dialogue vol.2(前編)(本記事)
グローバルキャリアからローカルビジネスへ! インバウンド事業の現場へ飛び出した理由
観光業界でのキャリアを中心とされてきたSawaさんとKokoさん。…あ、いつも通りSawaさん、Kokoさんと呼ばせていただきますね!(笑)
まずはお二人の現在の取り組みを紹介してもらいながら、話を膨らませられたらと思うのですが、どうでしょうか?
そうですね! まず私たちはお互いシンガポールにある日系旅行会社に勤務しており、その時現地で知りあいました。帰国のタイミングが重なり、2人とも『地域レベルの観光』に惹かれていたので、ユニットを組み各地でお仕事をいただくなかで、Vivid Creationsとの協働活動が始まりました。
現在は主に東京・福井・隠岐島の3拠点を軸にして、外国人観光客向け観光事業(訪日インバウンド)のサポートを行ってます。
海外勤務経験があったり、海外での地域観光プロモーションに従事していた人が、地域の現場レベルで活動しているって、日本ではまだ珍しいことだと思います。
地域の現場に近いポジションで、訪日インバウンドに関わりたいと感じたきっかけは?
シンガポールでの経験を通じて、地域内の現場で外国人観光客の対応ができる体制が、まだ十分に整っていない地域が多いと感じたことがきっかけです。
どんなに地域の魅力を海外にうまく発信できてても、実際外国人観光客が訪日してみると、ミスコミュニケーションが多々起きてると感じていました。
外国人観光客との『ミスコミュニケーション』とは、具体的にどういうことでしょう?
実際にお迎えしても、文化や習慣・価値観の違いが壁となって、満足いただける滞在が提供できず、がっかりさせてしまったり。
逆に外国人観光客に地域のルールをきちんと伝えられておらず、住民の生活に悪影響が出ていたり…。
なるほど。
現地と外国人観光客とのあいだを取り持つ役割、ということですね。
少し視点を変えると、そもそも地域側が考えている『魅力的なコンテンツ』が、外国人観光客にとっては必ずしもそうではない場合もあります。
こういったケースも完全にミスコミュニケーションを引き起こします。
というと、具体的にはどういう状況ですか?
たとえば、新鮮な生魚が『地域の魅力』だったとしても、海外の人のなかには、そもそも生魚を食べる習慣がなく、訪日して初めての経験となる場合もあります。
「様々なバックグラウンドを持つ方々をお招きする」というのが、訪日インバウンドの大前提です。様々なニーズにも応えらえるサービスやコンテンツの提供方法を考える必要性が出てきます。
なるほど。いまSawaさんが言った視点は、グローバルで地域PRに関わっていたからこそ培われる感覚かもしれないですね。
私もお客様とお話ししてて似たようなズレをよく見るし、実際にあるので議論することも、とっても共感します!

『訪日インバウンド』が盛り上がれば、地域の現場レベルで海外の文化や価値観を理解している人材は、必要不可欠になります。
加えて日本の地方部に行くほど、日本の原風景といえるような魅力的な場所が多い。だからこそ、外国人観光客と地域とのあいだの「橋渡し役」は、地方部にこそ求められています。
- 地域の魅力がきちんと外国人観光客に伝わり、満足した時間を過ごしてもらうこと
- 地域が潤って活力を得るだけでなく、観光公害といわれてしまうような地域へのインパクトを最小限にすること
これらを担える体制や人材を増やすことが、私たちのミッションだと考えています。

加えて、地元の人たちは、自分たちが持っているもののユニークさに気づいていないことがほとんど。地元にとっての「当たり前」は訪日する外国人観光客にとって、とても興味深い異文化体験になりうるのですが、地元の方々は当たり前すぎてその魅力に気が付けていないんですよね。

確かに、新しい観光の魅力を見つけようと思っていても、生まれ育った土地だと難しいかもしれないですね。
そのような埋もれた地域資産を地域の方々とともに発掘し、外国人観光客が体験できる観光コンテンツに組み立て、地域の方々が自力で運営できるように調整することも、私たちの役割の1つです。住民でない立場だからこそ気が付けることを、いつも探すようにしています。
旅行者と地域とのあいだに立つ前の段階ですね。「外部へ発信する魅力を考え、地域といっしょに形作っていく役割」でしょうか。
はい。これは実はとてもデリケートで奥が深く、場合によっては時間がかかります。
・地域に溶け込んで、価値観を理解すること
・抱える問題や想いをしっかりとヒアリングすること
・地域に既にある魅力を見える化すること
地域コミュニティの一員として活動させていただき、相互に関わり合いながら物事を進めるあたって、これらは非常に大切だと感じています。
我々もおなじ「訪日インバウンド」に関わる立場ですが、これぞまさに『海外でのPR業務に関わるだけでは、本質的に解決できない部分』に踏み込む、ということですよね。
その通り。そして、その地域が目指す方向に向かって、いっしょに汗を流すことはもっと大切です。
いっしょに動くことで信頼が得られるだけでなく、私たちのやりがいもまた大きくなります。

かなりタフな部分もあるかと思います。でも、だからこそ地域の方々と共有できる達成感も大きいはず。
Kokoさんたちとの関わりのなかで、地域や協力いただいている方々に変化が起きることもありますか?

地域に元からあった文化的価値を見出し、観光コンテンツとして提供することで、実際にコンテンツを体験してくれるお客様が生まれますよね。
これが観光コンテンツの良いところで、応募の数やお客様からの感想などを受けて、関わった地域の方々が自信を持ってくださるようになるんです。
そうなると、最後にはみんな楽しみながら喜んで参加・協力してくださって…。その瞬間、こちらも嬉しくなるし、いっしょに頑張ってこれてよかったな、といつも感じています。

活動拠点となる福井県の「熊川宿」と 島根県隠岐諸島の「海士町」の事例が気になる…
私はシンガポールで地域のPRをする役割を担っていますが、実は「もっと現場に近づきたい!」と思うことがあるので、お二人のお話はいつも刺激的です(笑)
現在取り組んでいる内容について、もう少し具体的に紹介してくれませんか?
そうですね、現在は東京以外に主に2つの拠点で活動しています。
福井県若狭町「熊川宿(くまがわじゅく)」での事例
福井県若狭町にある「熊川宿」という地域は、江戸時代に若狭湾から京都へ鯖を運ぶ「鯖街道」の宿場町として栄えていた場所でした。
しかしながら現在は、120軒ある建物のうち、約40軒が空き家という状況。
そもそもの始まりは、私たちが実際に初めて旅行者としてこの場を訪れたとき、その美しさと魅力に非常に心を打たれたことがきっかけでした。
本当に昔ながらの日本の宿場町の風景と文化が息づいているんです。
「この場所をもっと世界中の人に知ってほしい」と思ったとき、空き家問題が深刻化し、かつての活気を失ったこの宿場町で、一生懸命まちづくりに取り組んでいらっしゃる方々と出会って…。
「いっしょにやらせてください!」とお願いし、実際に地域に住むようになり、今ではチームとして地域の方々とご一緒に活動させていただいています。



海外の人が心打たれるような、熊川宿の魅力はなにか? わざわざ足を運びたくなるような魅力を、どう発信しすべきか?
客観的な視点だけではなく、「外国人から捉えたらどうみえるのか」という視点も持ちながら考えています。
一方で、熊川宿は国内でもまだ知名度が低い。そこでターゲットは国内外関係なく「古民家が多く残る町並みや雰囲気に囲まれて、ゆったり過ごしたい人」と設定しています。
ひとの流れをつくる宿泊体験型事業の開発・運営を主な取り組みとしていますが、私たち自身が熊川宿の地域住人なので、現在ではチームとしてみんなで動くことで、活動の幅は限定的ではなく、自らもプレイヤーとして活動させていただいています。

また、地域活動をきっかけに、行政からの依頼で、熊川宿の『まちづくり計画』の策定にご協力させていただきました。
熊川宿のまちづくり、そして観光振興には長い時間がかかります。まずは一棟ずつ宿舎を再生する活動から。私たち自身、今後すくなくとも3~5年という長い時間をかけて関わらせていただく予定です。
島根県隠岐諸島の「海士町(あまちょう)」での事例
本州の港からフェリーで3時間弱でたどり着く、島根県隠岐諸島。
4つの島で成り立ちますが、そのうち中ノ島にある海士町(あまちょう)は、人口2,400名の小さな島。
『高校魅力化プロジェクト』を皮切りに、全国に先駆けて移住定住事業を推し進めてきたパイオニア的な存在なので、ご存じの方も多いいかもしれません。

隠岐島は、島根県のさらに北、フェリーや飛行機を乗り継いでやっと辿り着く場所です。
「観光客が減ってきている現状でありながら、これまでほとんど見られなかった外国人観光客も呼び込みたい。だけど、どうしたらいいかわからない。」というご相談を受けて、私たち自身も島に住まいを構えて、関わらせていただいています。
4つの島からなる隠岐諸島は、雄大な景観、美味しい島の食事、暖かい島民との交流など、外国人観光客にとっては唯一無二の体験ができるような、魅力溢れる場所です。
一方で、旅行商品やコンテンツがうまく開発されていなかったり、マーケティングも行われていなかった。手が行き届かなかった部分を、地域の方々とご一緒に進めさせていただいているところです。



そのほかにもVividと協働して、日本全国の地域に対する、訪日インバウンド事業の企画・運営・リサーチなどに関っていますね。
Genkiさん、いつもありがとう!(笑)
いえいえ、こちらこそ!
お二人の具体的な活動を聴くと、本当に協働できることの幅がまだまだあるんじゃないかと感じます。
シンガポールという、日本に一番近い多民族国家で、『観光』という切り口で「日本の魅力は何か」ということを肌で感じられる現場にいるのがVividです。私たちも、まだまだお互いにできることがたくさんあると感じています!
地域の訪日インバウンドに携わる現場と、海外市場でのPRを担う役割。双方が協働することで、より一層お互いの強みを発揮しあえますね。
今後益々、日本の各地にお届けできる価値を高めたり、新しい価値をつくりたいですね。これからもたくさん意見交換させてください!
■「訪日インバウンド」シリーズ
・グローバルキャリアから訪日インバウンドの現場へ飛び出した理由|Vivid Dialogue vol.2(前編)(本記事)