実施後約6割が取り扱いを検討した「オンライン焼酎セミナー」|日本酒造組合中央会(JSS)
そこで2021年度、日本酒造組合中央会(JSS)はシンガポールのバーテンダー向けの「オンライン焼酎セミナー」を実施。
焼酎を熟知するバーテンダー出身の講師陣によるセミナーのほか、現地で人気のバーに「焼酎」や「焼酎カクテル」を実際に開発・販売してもらい、イベント参加者に周知しました。
結果、参加者の約6割が「焼酎の取り扱いを検討したい」と答えるという、大きな成果につながりました。
本記事では、「オンライン焼酎セミナー」の概要と、日本酒造組合中央会(JSS)が積極的にシンガポールで展開し、成果を出しているシンガポール市場での「焼酎」の普及活動について、ご紹介いたします。
海外では日本酒と比べて認知度が低い「焼酎」にとって、美味しい飲み方を訴求することは消費拡大に向けて、必ず必要なことです。
また焼酎に興味がある個人に対しては直接伝えればいいですが、焼酎について全く知らない人に対しては、飲食店やバーのスタッフが「焼酎」というお酒の存在を教えるきっかけとなります。
そのため、バーテンダーにこそ「焼酎の具体的な飲み方」を熟知し、提案できるようになってもらうべきであり、そのような支援を行うことで、海外での消費量の増加につながると考えられます。
オンライン焼酎イベントの背景と概要
日本酒造組合中央会(JSS)は2020年度に、JR東日本グループが主催のシンガポール初のオンラインイベント「JAPAN RAIL FAIR」内にて、オンラインの「焼酎セミナー」を開催しました。
弊社では企画・制作・当日の運営をご支援させていただきました。
2020年度 シンガポール市場におけるオンライン焼酎セミナー
イベント内で参加者から寄せられた要望が「焼酎の具体的な飲み方をもっと教えてほしい」ということでした。
実施した内容を踏まえて、2021年度には、焼酎に興味がある内にかかわらず、一般消費者との接点を担うバーテンダーを対象としたオンライン焼酎セミナーを、以下の概要で開催しました。
SHOCHU The Spirit of Japan

■日時:
2021 年 11 月 16 日( 火)
シンガポール時間 10 :00 〜 11 :30
■目的:
- バーでの焼酎の取扱いの拡大を狙い、シンガポールのバーテンダーをターゲットとして、認知度・理解度がまだ高くない「焼酎」にふれてもらうきっかけを提供すること
- 焼酎を知らない人、知るきっかけがない消費者にアプローチし、焼酎の認知度向上を図ること
■内容:
- 焼酎の基礎知識レクチャー
- カクテルデモンストレーション
- 焼酎ディストリビューターの紹介
- テイスティングセットのプレゼント(4 合瓶 x 5 種類)
■参加費: 無料
焼酎レクチャーに参加した店舗の約6割が取り扱いを検討
レクチャーの司会・講師陣に国際的に活躍するプロフェッショナルを招聘
バーテンダー向け「焼酎レクチャー」は、「Asia‘s 50 Best Bars」と「World’s 50 Best Bars」に選ばれるバー「Jigger Pony」でキャリアの大半を過ごし、2021 年にモダンクラシックなカクテルバー「Stay Gold Flamingo」をオープンしたMCJERROLD KHOO氏を司会として招聘。
講師には、 2018 年に日本醸造協会の文化賞を受賞し泡盛・焼酎文化を国際的に広めているChristopher Pellegrini氏と、アメリカで長年バーテンダーとして活躍し、現在はカクテルの技術やあらゆる経験・知識を得てミクソロジストとして活動するDev Johnson氏の2名を招き、それぞれのレクチャーをメインに実施しました。
講師のDev Johnson氏によるカクテルデモンストレーション
基礎知識については、講師による講義を主軸に、事前に配布したテイスティングセットでの試飲を行い、実際の味も含めてより深く焼酎の魅力を理解して頂いた。
「カクテルデモンストレーション」のコーナーでは、実際に講師がカクテルを作りながらレクチャーする形式をとった。
講師:
MCJERROLD KHOO(Bar Manager & Founder, Stay Gold Flamingo)【司会】
Asia‘s 50 Best Bars と World’s 50 Best Bars に選ばれる Jigger Pony でキャリアの大半を過ごし、2021 年にモダンクラシックなカクテルバー Stay Gold Flamingo をオープン。日本のバーテンダー技術に精通しており、完璧さと革新性に焦点を当て、すべてのプロセスの背後に意味を持たせ、カクテル作りをエレガントで芸術的な儀式へと変貌させる。
Christopher Pellegrini (Shochu expert)【講師】
2002年に来日し、 2003 年初頭から焼酎と泡盛を学ぶ。現在も東京に在住し、日本ではSSI から焼酎きさけしの認定を受け、アメリカでは SSA から焼酎アドバイザーの認定。両方の認定を受けたのは世界初2014年に “The Shochu Handbook ” 出版国際スピリッツ大会の審査員も務める。 2017年には日本政府から焼酎・泡盛のクールジャパン大使に指定され、2018 年には泡盛・焼酎文化を国際的に広めるための継続的な努力が評価され、日本醸造協会の文化賞を受賞。
Dev Johnson (Mixologist)【講師】
Liquor Lab のパートナーとして活躍。1995 年に地元ロサンゼルスで最も人気のあったフルサービスバーであるChayaVenice でキャリアをスタートさせる。11年間の経験の後、ニューヨークに移り、バーテンダーとしてのキャリアを磨く。世界中を旅してバーテンダーの精神、ホスピタリティ、カクテルの技術やあらゆる経験・知識を得てミクソロジストとして活躍中。
16店舗・48名の参加者のうち約6割から「取り扱いを検討」
参加したのは16 店舗から48名と、目標を大きく上まわる数になりました。
それほど焼酎への関心がバー業界・バーテンダーの間にあるということが改めてわかりました。
アルコールのプロフェッショナルであるバーテンダーとはいえ、焼酎の基礎的な知識や認識は十分ではなかったようで、本イベントがそのニーズとあい、焼酎の普及を図る絶好の機会となりました。
参加者向けの事後アンケートでは、事後アンケートで「取扱いたい」「条件次第で取扱いたい」と回答した店舗は、回答が集まった14店舗中約6割の8店舗にのぼった。
中には、「Asia‘s 50 Best Bars」と「World’s 50 Best Bars」に選ばれたこともある影響力のある店舗も参加しており、今回を契機に来年度以降の継続した取引につなげられる可能性があります。
実際に、参加した店舗のうち3つのバーでは、本イベントでメニュー開発したものを常連客へ提供し始めていたり、ディストリビューターと取引を始めるなど、具体的なアクションに移ることができました。

今後のシンガポール市場における「焼酎」事業展開のポイント
酒類提供者が「焼酎」をより深く理解することを、継続的に支援すること
一般消費者に「焼酎」の認知を拡大させるためには、その提供者となるバーテンダーに訴求し、「焼酎」への知識理解を深めていくことが重要です。
そのため、今回の取り組みを1度で終わらせるのではなく、今後も引き続きバーをターゲットとした認知拡大施策を継続していくことがポイントだと考えられます。
今回の取り組みを通じて、焼酎の取り扱いを検討するバーが約6割いたことから、焼酎のポテンシャルを感じてもらえた人たちが多かった一方、バーテンダーであっても「焼酎」への理解がまだ低い水準にあることが改めて浮き彫りになりました。
酒類提供者のコミュニティの中で「焼酎」への理解促進が進むことにより、結果的に消費量・輸出量拡大が見込まれると考えられます。
酒類提供者のニーズにあう情報提供と、発展的な関連施策を行うこと
今回のイベントに対して、想定以上に参加者が多くあつまり、酒類提供者コミュニティ内に「焼酎」への関心がある人が多いということが伺えました。
また、関心がある背景には、バーテンダーにはクリエイティブな人が多く、流行が常に移り変わることから、新しい情報や素材・酒類を求めている方が多いということが明らかになりました。
特に今回のイベントでは、バーでの豊富な経験を持ち、「焼酎」に関して知識が豊富な講師を招くことができ、参加者のニーズに合致したお話をしていただくことができました。
また、ニューヨークから経験豊富な有名バーテンダーにも参加いただき、その場でカクテルを数種類を作って「オリジナルレシピ」を参加者に提供することできました。
今後も焼酎カクテルレシピの開発など、酒類提供者が求めている情報をきちんと提供していくことが重要だと考えられます。
また、関心の高い複数店舗で「Shochu Week」などのイベントを実施し、バーコミュニティー内だけでなく、消費者に対しても「焼酎」の認知度の向上と消費体験を提供する取り組みも考えることができます。
バーテンダーのニーズに合う情報を提供して焼酎を扱い、応援してもらえる体制をつくりつつ、より発展的な取り組みが実施できると相乗効果が生まれる可能性があると考えられます。
講師のChristopher Pellegrini のInstagramストーリーズ
シンガポール国内に流通経路がない焼酎への対応
今回のイベントでは、試飲用の焼酎を、各参加者にまるまる1銘柄1本づつ提供することができ、大変喜ばれました。
ただし、講師陣が使いたいという焼酎がシンガポール国内では流通していないケースもあり、試飲用の焼酎を手配する際に少し苦労しました。
また、講師が使いたい焼酎で、シンガポールに流通しているものは在庫がなかったため、日本から送ってもらわなければなりませんでした。
本イベントでは、シンガポール国内で焼酎を扱うディストリビューターにも参加・登壇してもらい、自社紹介をしてもらいました。
通常はこういったイベントで、ディストリビューターの登壇があることは稀ですが、焼酎のシンガポール国内の流通拡大には、ディストリビューターの存在は欠かせません。
イベントで紹介した商品を「取り扱いたい!」と思ったらすぐに連絡ができるように、ディストリビューターをご紹介させていただけたことはとても良かったと思います。
今後も焼酎の認知拡大だけではなく、販路の整備支援も実施できたらより一層焼酎の輸出量は上がることと考えられます。
さいごに(シンガポールの焼酎事情)
日本だと「安くて強いお酒」というイメージがある焼酎ですが、シンガポールでは高級レストラン・高級バーで取り扱いされていることが多いです。
シンガポールの焼酎事情に関しては以下のブログにより詳しくまとめているのでぜひご覧ください。
ここ数年、対面での展示会やイベントが開催できていなかったことから、オンラインを駆使して何か施策ができないかと思案されていました。
今回の取り組みをきっかけに、シンガポール並びに諸外国での焼酎のさらなる輸出量拡大に向けて、日本酒造組合中央会(JSS)がますますご活躍されることを心より願っています。




