シンガポールの日本酒事情ガイド|拡大期はこれから到来【概要編】

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【更新日】2023.12.25

世界的なブームで市場が飽和状態になってきている日本酒業界。そんな中、シンガポールはいまだ市場の成長期であり人気も出てきています。

同時に、市場に参入する多くの日本酒や、韓国のソジュといった世界中のお酒との競争が強いられるのも確かです。

新規参入する場合は「いかに自社商品を差別化するか」が成功を左右しますが、シンガポールでは商品のうんちくを語るより、ストーリーが重視される傾向が強いです。

具体的にどんな戦略が、成功の可能性を高めてくれるのでしょうか?このブログでは、2つの記事に分けて詳しくご紹介していきます。

第1弾となる今回は、まずシンガポール市場の特徴をまとめ、シンガポールの日本酒事情をご紹介します。

文化や前提が異なる海外進出では、武器を持っているだけでは通用しませんし、相手をきちんと理解しないと戦略は立てられません。

簡単なことではないので、まずは本記事でシンガポール市場の特徴をご理解いただけたら嬉しいです。

シンガポールの「日本酒市場」は今後ますます拡大する!

シンガポールへの清酒の輸出量は前年比30%増で年々増加

シンガポールへの日本酒輸出金額は年々増えており、2022年には前年比30%増、総額約23億円を記録しました。これは、シンガポールのアルコール飲料の市場規模の約0.07%です。

まだ少なく感じますが、推定市場規模(消費者価格ベース)は約33億円といわれているので、今後ますます拡大するはずです。

【参考】引用元より抜粋して弊社にて作成230731-20.pdf (maff.go.jp)

東南アジアでダントツ1位のシンガポールに政府が支援強化

東南アジアの中では、シンガポールがダントツで1位であることがわかります。

【参考】国税庁, 2019年(令和元年)酒類の輸出動向について(P.4)【左】, 2020年(令和2年)酒類の輸出動向について(p.4)【右】

2019年には内閣府はシンガポールを東南アジア諸国への波及効果を見込める重要市場と捉え、対シンガポールの日本酒輸出量を6年間で8.6億円から20億円に拡大すると提言しています。

対シンガポールの日本酒輸出の方策は、

東南アジアの情報発信拠点であることを踏まえ、周辺国への波及も意識した販路開拓・認知度向上に取り組む

とあります。

たしかに、シンガポールで販路開拓に成功すると周辺国に進出しやすくなるので、東南アジア全体を見据える企業はまずシンガポールから進出するケースが多いです

実際、Forbesが2017年に発表した世界の公開会社上位2000社のランキングリスト「グローバル2000」で上位100の多国籍企業のうち、半数近い46%の企業がアジアの本拠地をシンガポールに置いていたという調査結果があります。

【出典】KPMG., The case for a Hong Kong RHQ tax incentive(p.9), 2017年10月

2022年の日本政府による日本酒輸出の支援内容には「日本産酒類のブランディング」「酒蔵ツーリズムによるインバウンド需要開拓」「オンライン商談会」や「ジャパンハウス等でのPR」など、総額28億円の支援内容が挙げられています。

2025年まで支援が続く予定なので、このタイミングでシンガポールへの日本酒輸出を考えない手はありません。

【出典】農林水産省, 農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略(令和3年12月改訂)

シンガポールは日本酒進出にベストな市場

食費を惜しまない国民性で「日本酒は高くても買う」

酒税が高いシンガポールでは販売単価が高くなる傾向にありますが、それでも日本酒の輸出量が伸びているのは、食費を惜しまない国民性が後押ししているものと考えられます。

シンガポールの一人当たりGDPは、2022年に82,794.000 米ドルを記録しました。前期2021の 77,680.000 米ドルと比べると上昇の結果となりました。

シンガポール | 一人当たりGDP | 1960 – 2023 | 経済指標 | CEIC (ceicdata.com)

ちなみに2022年の日本の1人当たりGDPは33,815ドルとなっています。

円安より数量ベースでの低迷が問題――GDP統計での日本の地位低下が顕著

可処分所得では、月収98万8000円(SG$12,000)以上の富裕層が全人口の3割を超えています。また、食費全体に占める外食費の割合が62%と、外食文化が根を下ろしている​​ことがよくわかります。

実際、中国・アメリカなどと比べて単価の差があるにもかかわらず、前年比30%増加の輸出量を記録しています。

【出典】国税庁, 2020年(令和2年)酒類の輸出動向について

また、実際に2023年4月に開催された第6回目の「Sake Matsuri Singapore 2023 | Spring Edition」では、2日間で1,800万円以上(約SGD$176,000)を記録。会場は熱気に溢れていました。

詳細は以下の記事にまとめているので、気になる方はぜひご確認ください。

シンガポール最大級のイベント「Sake Matsuri」Japan Exclusivesブース|2023年秋出展者募集

日本酒を取り扱えるポテンシャルのあるレストランが多い

日本食レストランでは日本酒を取り扱っているところがほとんどなので、シンガポールに進出している日系レストランのバイヤーや酒類担当にアプローチするのも販路開拓に向けておすすめです。

また、近年は日本食以外の料理と日本酒のペアリングが注目されていることから、日本食レストランや日系の小売店以外への販路拡大も大いに期待できます。

シンガポールの日本食レストラン数は、アジアの中でも圧倒的な数を誇っています。

タイのほうが店舗数の絶対値は多いですが、人口に対する割合で考えると、シンガポールにおける日本食レストランはタイの約2.7倍、マレーシアの3.6倍もあることがわかります。

 

富裕層向け日本酒ペアリングの需要が高まっている

実際に、富裕層向けの高級レストランでも、日本酒とのペアリングへの需要が高まってきています。

ミシュラン1つ星の日系イタリアンレストランは、顧客の90%が日本人以外の方々ですが、ワインよりも日本酒とのペアリングを求められることが多くなったとのことです。

弊社では以前、日本酒をスペイン料理、フランス料理、欧州料理、インド料理、アジア料理などの料理とペアリングし、新しい日本酒の楽しみ方を提案するJFOODOのプロジェクトをご支援しました。

2020年に非日本食料理と日本酒とのペアリングを実施したJFOODOイベントは多くの現地メディアにも取り上げられました。

その際に印象的だったのは、富裕層の方々が日本食以外の料理と日本酒がこれほどマッチするのかと驚く姿だけでなく、料理を提供していたシェフやレストラン関係者さえもが感心していた点でした。

日本食レストラン以外での日本酒の取り扱いも増加傾向にあり、ワインリストの中に「SAKE」として入るようになってきたので、今後の広がりは大いに期待できると考えられます。

ローカルによる日本酒専門のバーが続々と登場

レストランでの日本酒の取り扱いが増加傾向にある一方で、日本酒をよりカジュアルに楽しめるバーの人気が急上昇しています。

いくつかご紹介しますので参考にしてみてください。

Sake Labo

ビジネス中心街に位置し、スペインのタパス、日本の食材、そしてシンガポールのアクセントを融合させたバー。

店内にある日本酒セラーからお酒を選んだり、日本酒ソムリエがお客様にあった日本酒を提案してくれたります。

日本酒はボトルで約6,500円〜20,000円。お食事などをすると、客単価は約10,000円になると考えられます。

■Webサイト:https://www.rlasia.co/sakelabo

【出典】Sake Labo, Instagram 投稿

Kabuke

和牛と日本酒の2種に特化した専門店です。

和牛を使った食事では、ウニ、フォアグラ、ホタテ、ウニなどが乗った丼物が楽しめます。

日本酒はボトルで約6,500円〜20,000円。お酒リストの中には7万円するお酒もあります。お食事などをすると客単価は10,000円くらいと見込まれます。

日本酒は、グラス、カラフェ、ボトルのいずれかで注文でき、テイスティングフライトで飲み比べもできます。日本酒初心者でも気軽に日本酒を楽しめるお店です。

日本酒が陳列されたカウンター席があり、そこで直接日本酒ソムリエがおすすめのお酒を提供してくれます。

■Webサイト:https://www.kabuke.sg/

【出典】Kabuke, Instagram投稿

Boruto

シンガポールでも人気の純米大吟醸をはじめ、100種類以上の日本酒を取り扱う日本酒バー。

日本酒はボトルで約6,500円〜20,000円。日本酒リストの中には7万円するお酒もあります。食事も含めると、客単価は上記2店舗と同じく約10,000円ほどと考えられます。

トリップアドバイザーの口コミにはスタッフの接客に対する高評価が寄せられており、接客きっかけに日本酒を楽しむことができたという日本人以外の利用客の声が多数見られます。

■Webサイト:https://boruto.com.sg/

【出典】Boruto, Webサイト

Shukuu

店内の内装からもメニューからも本格的な日本の居酒屋を楽しむことができるお店。

日本食のおつまみが多数あり、お手頃な価格で提供されているので、地元の人に愛されているお店です。

日本酒はボトルで約6,500円〜20,000円。食事を含めると客単価は約7,000円ほどと見込まれます。

2019年までは3年連続で独自のテイスティングイベントを実施していました。

Webサイトには日本酒に関するブログ記事を公開しており、お酒の楽しみ方や瓶の色に関する紹介などが投稿されています。

■Webサイト:https://shukuu.sg/

【出典】Shukuu, Webサイト

さいごに(まとめ)

以上、今回はシンガポールの日本酒事情について紹介してきました。

次回は、市場のど真ん中で活躍している日本酒ソムリエの方に独占インタビューをした内容を紹介します。

より詳しくシンガポールの日本酒市場を知ることができるので、参考にしてみてください。