【売り方編】輸入フルーツ大国シンガポールで日本の果物を売るときに知っておきたいこと

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日本からフルーツを国外に輸出する際には、生鮮品なので輸送がコストが高くなり、どうしても販売価格も高額になります。

シンガポールでも実際に日本産フルーツは高級品として知られており、前回の記事では詳しくシンガポール国内での流通事情をご紹介しました。

輸入フルーツ大国で、世界的にもフルーツ消費量が多いシンガポールで、まだまだ流通量が少ない日本産フルーツ

流通量を増加させるには「差別化できる果物」と「価格を裏付けるストーリー」がポイントです。

このブログでは、シンガポール市場で差別化するためのポイントや市場に支持されるストーリーに加え、輸出拡大に向けて具体的にできる取り組みを段階ごとにご紹介しています。

ぜひ参考にしてみてください。

■「シンガポール果物」シリーズ

輸入フルーツ大国シンガポールで日本の果物はどう売られているのか

【売り方編】輸入フーツ大国シンガポールで日本の果物を売るときに知っておきたいこと(本記事)

付加価値があり、差別化できるものを売ろう

日本では古くから、果物は「贈答品」「お見舞い」など、ほかの人に贈るためのものと高級品として扱われてきました。

実際に今でも、国内の某高級青果店では、顧客の約8割が贈答品として果物を購入されているそうです​​。

このように、日本国内ですでに「高級品」である果物を海外に輸出する場合、輸送費が上乗せされ、販売価格はさらに高くなってしまいます。

実際にシンガポールではすでに、日本産のフルーツは「高級フルーツ」として認識されいています。

 

そのため、シンガポールの近隣諸国から安価で輸入されている果物と勝負することは、最初から考えない方が得策といえます。

特に、シンガポールへの輸入果物「トップ6」としてご紹介した以下の果物は、日本産果物が価格で勝負することはほぼ不可能です。

  • バナナ
  • スイカ
  • パパイヤ
  • オレンジ
  • りんご(ふじりんご)

これらの果物以外の「日本でしか取れないフルーツ」や「季節の旬の果物」などを、高価格で販売することを前提とすることで、他国からの輸入フルーツとの差別化を図ることができます。

たとえば、日本では「高級果物」とされるマンゴーやメロンは、シンガポールでは安価なフルーツに入ってしまうので差別化しにくい商品になります。

すでにシンガポール市場で「日本産高級フルーツ」として店頭に並んでいるのは、ブドウ(マスカット・巨峰など)、桃、イチゴです。

一房で500gほどのシャインマスカットが、約1万円(店頭価格)で販売されているケースもあります。

日本産果物の輸出を考える際には、輸出対象とする果物が適切かどうかよくご検討ください。

高額な理由をしっかり伝えよう

差別化できる要素は、シンガポールでの希少性や日本独自の果物であるという点だけではありません。

すでにシンガポール市場に他国産のものが流通しているケースでも、生産者の想いやストーリーは唯一無二です。

また、先進的な栽培技術・加工技術を駆使して作られているケースや、独独の生産方法(技術)も、十分差別化要素になります。

このような独自性をきちんとアピールし、高額であることを裏付けて、お客様に納得してもらえるような情報発信をしましょう。

たとえば、さきほどご紹介した高級フルーツのオンランショップ「888seasons」で飛ぶように売れた、1個2,500円の​​岡山県のシャインマスカットを使用した「Sweet Mamori」は、岡山県産マスカットを使用。

温室の中で特別に栽培された「高級品種」で、1本の木に1房しか栽培しない農家さんこだわりの栽培方法がアピールポイントとなっていました。

岡山県産シャインマスカットの栽培方法のこだわりが記事に掲載された事例。

【出典】today, Olinda Cho’s Petite $32 Japanese Grape Tart “Probably The Most Expensive In Singapore” (SEPTEMBER 26, 2021)

また、シンガポールではSDGsに配慮する事業者も増えてきています。

なので「環境に優しい製造方法をしている」「生産者が食料廃棄対策に取り組んでいる」などの、親和性の高い取り組みを行っている場合は、このような点も十分に差別化できる要素となります。

高価格な商品である理由を、現地にアピールできるポイントとして積極的に伝えられるようにしましょう。

シンガポールでフルーツを売るなら、まず最初に何をする?

シンガポールで実際に日本産果物を販売する場合、どのようなことから始めていけばよいのでしょうか?

弊社では日系企業のシンガポール市場進出支援を10年以上ご支援させていただいており、認知度が全くないものから他国ですでに実績があるものまで、様々な日本産コンテンツのプロモーションに関わらせてただいています。

ここからは日本産果物のシンガポール市場進出に向けて、状況別におすすめできる具体的な取り組みをご紹介させていただきます。

ぜひ今後のご参考にしてみてください。

【準備段階】商品輸送の実証実験をする

生もので日持ちがしないフルーツの輸出を考える際に、まず最初に確認すべきは「鮮度を落とさずに高品質な果物を輸出する方法」です。

流通の安定性を担保しつつ、質の良い状態で搬送できる輸送方法をみつけるために、まずは実証実験をしましょう。

チェックするポイントは以下の通りです。

  • なるべく速く届けられる輸送方法は?
  • 荷傷み(衝撃)を少なくする梱包技術は?(廃棄率を下げる方法)
  • 鮮度を保持できる輸送方法・搬送環境は?(整備する必要性はないか)
  • 輸出物流の拠点は?(効率よく商品を届ける体制・パートナー)

たとえば2018年、静岡県はシンガポールへ輸出する県産農産品の鮮度保持技術の実証事業を実施しました。

8月の20日間、温度調整機能付きの高機能冷凍・冷蔵コンテナをつかって、清水港からシンガポール港に農産物28品目を海上輸送試験をする、という内容でした。

野菜類のほか、シャインマスカット・巨峰・メロン・桃・プラム・梨などが実証実験の対象となり、各品目に対して「MAフィルム」とよばれる鮮度保持フィルムの包装をしたものと、そうでないものの2種類を用意し、その比較分析も実施されました。

本実証実験では糖度変化や重量減少率が計測され、果物の重量減少率は「MAフィルム」の包装の有無で2~3倍程度の差がでることもわかりました。

重量減少率は、国内では「5%以内」が商品として販売できる最低ラインとされる場合が一般的だそうです。

 【出典】国土交通省, 農産物を清水港から世界へ ~第1回海上輸送試験の結果報告~(令和元年10月2日)

輸出を検討する際に、海上輸送するか、航空輸送するかによってコストがかなり大きく変動します。

フルーツの輸出の場合は生ものなので、実証実験を実施することで輸送にかかる懸念事項の解決法や、効率的な輸送方法の目途がたてば、事業者は想定される輸送コストを踏まえて具体的な価格設定を検討できるようになります。

また、商品の流通経路や形態によってもコストが変動するため、輸送に関する実証実験での結果を踏まえて、流通コストを検討することもできます。

流通販路は、以下のような様々なパターンがあるので、リスクが少ない輸送方法で、より低コストの流通販路を探しましょう。

  • 農家さんが直接シンガポールの事業者へ販売する場合
  • 商社などの多くの業者を経て販売する場合
  • 自社商品単独をコンテナに満載して輸送できる場合
  • 他社製品と混載して輸送する場合

このように流通販路を含めて全体にかかる輸送費を下げれれば、シンガポールでの販売価格も下げられます。

そのため日本からシンガポールまでの距離で、どのような輸送ルートを設計するかは非常に大事なポイントとなります。

本格的な市場参入を検討する前に、まずは輸送方法と流通販路に関して、準備すべきことへ徹底的に取り組みましょう。

【市場調査】ライブショッピングに出品する

シンガポール国内にどれくらいの需要があるのかを調査するには「ライブショッピング」がおすすめです。

新型コロナウイルスの影響で、外食文化が主流だったシンガポールでも自炊ブームに火がつき、巣篭もり需要を抑えたライブショッピングがFacebookを中心に急増しています。

ライブショッピングへの出品がおすすめできる方は、具体的には以下のようなケースです。

  • シンガポールで開かれているリアルな催事に出店できない
  • 「まずはテスト販売として現地の反応をみたい」と感じている
  • 食材の紹介だけでなく調理方法まで一緒に紹介してくれる場合もあるため、食材の活用方法から伝えないと魅力がわからない商品を販売したい

シンガポール国内で特に大きく成長しているライブショッピングコミュニティは「Singapore Home Cook」というFacebookグループです。

2時間程度の番組で、全70商品程度の食材を一挙に紹介しています。

注文はFacebookのコメント欄から行い、最後に精算を行う仕組みとなっており、翌日・翌々日には自宅まで配送されます。

ちょうど10/11に日本食材に特化した番組をやる前だったので、ヘッダーイメージが「SHC JAPAN NIGHT」になっていました。

【出典】Singapore Home Cook Facebookグループページ

日本産の商品を紹介した番組も実施されており、ここでも日本の「桃」や「マスカット」が紹介されていました。

【出典】Singapore Home Cook, No.1 Peach, FREE Shine Muscat! August Special!

実施する際のメリットとデメリットをご紹介しますので、参考にしてみてください。

<メリット>

  • 「Singapore Home Cook」にはフォロワーが約8万人いるので、拡散力がある
  • 視聴者が即時でコメントしてくれたり、注文が入るので、実施したその場で反響がわかる
  • リアルな催事でかかる費用や出展費用・販売スタッフの手配などが不要
  • 生産品や加工品は、その場で調理してみせてくれるため、消費者に調理方法を具体的に伝えることができ、深く理解してもらえる
  • 司会者がシンガポールの方なので、現地の言葉で(英語と中国語の2カ国語で)紹介してくれる

<デメリット>

  • ライブショッピングが配信される時間(2時間)のあいだしか販売できない
  • 継続的な取引を生む場としては、効果が期待しにくい(商談会に参加する方が良い)
  • 配送などを実際に行うディストリビューターの手配が事前に必要
  • 消費者に対面で会うことはできないため、直接コミュニケーションが取れない(反応が見れない)

【市場調査】催事やオンラインショップで期間限定販売をする

伊勢丹や高島屋などのデパートで開催されている「催事」や「ECサイト」で期間限定販売することにより、どんな商品に需要があるのか、市場調査ができます。

特に催事に出店する場合は、ライブショッピングやECサイトとは違って、生活者と対面できる場になるため、以下のような方におすすめです。

  • まずはテスト販売として現地の反応をみたい
  • 消費者と直接コミュニケーションが取り、反応をみたい
  • 自分自身がシンガポールに行って、催事現場だけでなくそのほかの現地調査をしたい
  • 試食してもらわないと良さが伝わらない商品を持っている

弊社では海外での催事に出店した際に、その期間をより充実した有意義なものにするためにできることを以下のブログで詳しくご紹介していますので、参考にしてみてください。

海外での催事出店を「その場限り」で終わらせないためにやるべきこと

一方で、ECサイトでの販売に関しては、以下のような方におすすめです。

  • 催事やライブショッピングのような短期間ではなく、ある程度のまとまった期間で販売したい
  • すでに顧客がたくさんいる現地のECサイトで販売することで、認知度を高めたい

ECサイトでの販売を実施する際のメリットとデメリットをご紹介しますので、参考にしてみてください。

<メリット>

  • コロナ禍でも実施のリスクが少ない
  • 認知度を高められる
  • 催事やライブショッピングと比べて、販売期間を長くとれる

<デメリット>

  • 試食をしてもらえない(反応が見れない)
  • お客様に対面して直接セールストークができない(反応が見れない)
  • お客様にその場で直接感想が聞けない
  • 継続的な契約を受注するための取り組みにはなりにくい

【市場調査】現地事業者とキャンペーンを実施する

日本産果物をそのまま販売する以外にも、現地の飲食事業者とコラボを通じて商品を市場に提供する方法があります。

たとえば、シンガポールのスイーツ店に食材を提供し、輸出したい果物を使った新メニューを開発してもらう、というような取り組みです。

現地の事業者を巻き込むことで、もとからその事業者のファンである現地生活者に直接情報発信ができるため、認知度の向上と販売促進を両方を実施することができます。

現地事業者とのコラボレーションは、以下のような方におすすめです。

  • 業務用として商品の輸出・販路拡大を検討している
  • 現地の生活者に気に入られる料理方法や使い方を知りたい

たとえば、先程ご紹介したシンガポールの有名タルト店Tarte by Cheryl Kohと和歌山県産フルーツの期間限定コラボがその一例です。

和歌山県産の高品質なフルーツを、生鮮品として一般販売するのではなく、現地のプロのシェフ(パティシエ)に任せて素材の良さを生かしたメニューを考案してもらいました。

現地と日本産フルーツがコラボすることで、必然的に生産地にもスポットライトが当たり地域のPRにもつながるため、観光誘客のきっかけにもなりえます。

実際に自治体の協力(予算)を受けて、現地のメディアやインフルエンサーを呼び、積極的に情報拡散を実施した他の事例もあります。

単なる1つの商品の輸出・販路拡大施策としてではなく、より大きな視点で取り組むことも可能な打ち手であることを踏まえて、実施を検討すると良いかもしれません。

現地事業者とのコラボレーションを実施する際のメリットとデメリットをご紹介しますので、参考にしてみてください。

<メリット>

  • 現地の消費者視点で商品開発をしてもらえる
  • 販売スタッフを確保しなくても良い
  • 認知度を高められる
  • 話題性があれば、現地メディアに取り上げられる可能性がある
  • 売れ行きや反響がよければ、コラボ先のレギュラーメニュー化するチャンスがある

<デメリット>

  • 継続的な契約を受注するための取り組みにはなりにくい

【販促】シンガポールで開催される商談会に参加する

現地のバイヤーやチェフ(パティシエ)を呼んで、商談会を実施することもおすすめです。

もちろん、親和性が高い商談会がシンガポールで開催される場合は、現地の商談会に参加してみるのもおすすめです。

流通販路がネックなのであれば、商談会を通じてディストリビューターを探すことができます。

継続的な卸先を探したいのであれば、レストラン関係者などと直接取引ができるチャンスです。

一方で、ただ単に商談会へ参加するだけで成約が得られるケースはほとんどありません

事前にできる準備を徹底的にどれほど行えるかが、実際の商談会で成約を得られるかどうかを左右します。

弊社ではオンライン商談会に特化して、以下のブログで具体的なノウハウをご紹介しています。

リアルイベントとしての商談会でも役立てられることもご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

オンライン商談会の落とし穴!なぜ多くの企業が成約につながらないのか

【販促】現地のパティシエやシェフに直接ヒアリングする

シンガポールに実際に渡航できる場合は、輸出したい果物を扱ってくれそうなレストランやフルーツ店のシェフ・パティシエに話しかけて、実際にお話を聴いてみましょう

輸出予定のフルーツを試食用としてお渡しして、感想をヒアリングするのもおすすめです。

業務用としての需要がある・ないだけでなく、その場合の相場価格などを直接聞くことができますし、現場特有の課題や求めているものなどを伺えるかもしれません。

輸出拡大に向けたヒントが得られる可能性が大いにあります。

たとえば先日、シンガポールの高級レストランのシェフとお話しする機会があって、現在気にかけていることを伺うと「SDGsの観点から食材の仕入れから販売(レストランでの提供)までのトレーサビリティに重点をおいている」と仰っていました。

特に、商品を仕入れる際には「商社や卸業者を介さずに、直接農家とつながって、その日の生産地の天候や食材に関するエピソードなどを含めて仕入れたい」という想いを強く持っていらっしゃいました。

そこで弊社で岡山県の成果物農家をおつなぎしたところ、現在定期的な商品の仕入れ販売が行われているそうです。

シンガポールへの催事出店と合わせて、滞在できる間に実施するのもおすすめです。

ぜひ最前線の関係者に話を聴き、輸出拡大に向けたヒントを探りましょう。

さいごに(まとめ)

日本のフルーツは、「輸入フルーツ大国」シンガポールへの輸出量を増やせる可能性を秘めています。

もちろん生鮮品なので、輸送はコストが高くなることから、販売価格は高額な「高級フルーツ」としての販売が必須となるはず。

ですが、価格を裏付ける付加価値とともに、差別化をはかった商品を、最適な販路で提供することができれば、シンガポールで日本産フルーツの流通量は伸びる可能性が高いです。

ご興味がある方はぜひシンガポール輸出を検討ください。

一方で、本記事でご紹介した内容を海外市場を相手にご自身で手配するのは、ハードルが高いかもしれません。

シンガポールへの輸出に関しては、ご紹介させていただいた内容は弊社がすべてご相談に乗ることができます。

また他国での出店の場合も、弊社のパートナー企業をご紹介できる可能性があります。

日本産フルーツの海外展開をご予定中の方や、ご相談をご希望の方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

■「シンガポール果物」シリーズ

輸入フルーツ大国シンガポールで日本の果物はどう売られているのか

【売り方編】輸入フーツ大国シンガポールで日本の果物を売るときに知っておきたいこと(本記事)