オンライン商談会の落とし穴!なぜ多くの企業が成約につながらないのか
海外への渡航が自粛されたことで広まっている、海外市場とのオンライン商談会。
残念ながら「やる(参加する)ことが目的」になっている方がとても多いのが現状です。
オンライン商談会は、やることが目的ではなく、成約につなげることが目的です。
特に海外市場向けのオンライン商談会で成約するかどうかは、実は99%が事前の準備で決まるといって過言ではありません。
「オンライン商談会は工数が削減できる」と言う声も聴こえますが、海外市場向けの場合、実際には事前にものすごく準備した人が成果をあげています。
弊社では10年以上シンガポール市場で日系企業の海外市場展開をご支援してきましたが、「オンライン商談会での成約率を上げるための準備」はとても奥が深いと感じています。
そのためには、参加する日本の企業の皆様にも徹底して事前準備を整え、共に目標に進むことが不可欠です。
今回はそんな切実な本音とともに、オンライン商談会で「やってはいけないこと」をまとめ、本当に成果を出すための準備の方法をお伝えします。
【NG】成約したいバイヤーや、商談会後の展開へのイメージがない
「とりあえず参加」の姿勢はやめましょう
商談会に臨む前に、商談会で出会うバイヤーと、商談後のビジネス展開について、具体的なイメージをしましょう。
日本国内で営業先を訪問して商談をするとき、事前に商談の場でどんな話の展開にしたいか、どういう取引をしたいか、考えないで訪問する営業マンはいないと思います。
海外市場相手の商談会となると、どうしても具体的なイメージを描きくいので、「とりあえず参加してみてから」という方も中にはいらっしゃると思います。
ですがシンガポール市場では、このようなスタンスでは逆に商機を逃してしまいます。
その理由は、シンガポールではビジネスの意思決定が早く、商談の場で具体的な内容を調整することまで求められるというのが普通だからです。
「具体的な内容」とは以下のような内容で、実際に商談で伝え漏れていて成約に至らなかったり、成約してもビジネス展開に至らにないケースが多々あるので、ぜひ参考にしてみてください。
- 商品の提供期間(シーズンごとの生産なのか、通年生産しているのか)
- 受注リードタイム
- JANコード情報
- 日本での希望小売価格、シンガポールでの希望小売価格
- シンガポールのディストリビューターとの取引の有無
- ロット数(特に最大・最小の注文数)
- ケースサイズあたりの内容量/サイズ
- OEMの有無
また、シンガポールのバイヤーは現在、オンライン商談会に参加する機会が増え、世界中から多くの商談が寄せられてきています。
そのような中で「オンライン商談会に参加する」というのは、例えるならオリンピックに出ているようなものです。
日本国内の競合以上に手ごわいかもしれない世界の競合相手にも勝ち抜いて、バイヤーとの成約にこぎつけなければなりません。
取引したいバイヤーや、成約後のビジネス展開を具体的にイメージしないことには、商談会の場で120%の力も発揮できないはずです。
事前にできる準備は確実に実施しましょう。
事前にイメージが描けるようになる2つの質問
事前にイメージを描くために問いかける質問は、たったの2つです。
- どんな取引先と出会いたいか
- 成約して、どんな取引(ビジネス)を一緒に進めていきたいか
事前にイメージを持つことで、商談で出会う相手(バイヤー)を吟味できるようになり、自社が望む展開になり得るパートナーとしての取引先を見つけやすくなります。
たとえば、食品関連の商材を取り扱っている企業の場合は、商談相手(バイヤー)として以下のようなパターンを事前に想定することができます。
- 一般消費者が普段使いするスーパーマーケットのバイヤー
- 現地の日本人が通う日系のスーパーマーケットのバイヤー
- 日本食品を扱うローカルレストランやホテルのバイヤー
- 日本食品を扱う日系のレストランやホテルのバイヤー
- 5つ星ホテルなどの大手ホテル
- 独創的なコンセプトを持つブティックホテル
- 日系の食品卸業者
- ローカルの食品卸業者
商談相手となるバイヤーのイメージがついたら、それぞれのバイヤーと商談で対面したとき、どのような情報収集・意見交換・交渉をしたいですか?
たとえば、今度は食品以外の商材を取り扱っている想定で、いくつか例を考えてみましょう。
- 新規オープンするお店のアメニティとして、自社の商品を使って欲しい
- 大手美容室チェーン店で利用する商品として、導入して欲しい
- ハイエンドのレストランのシェフやバイヤーと出会い、特注製品を作れることをPRしたい
- ホテルやレストランには積極的にアプローチし、コンセプトが合うところに自社の製品を採用して欲しい
商談会に臨む前に、商談会で話したい内容や目的を具体的にイメージできていないと、成約できてもその後のビジネスに結びつきません。
実際に、商談会で成約したあとになって、注文ロットや生産時期に関する問題が浮上し、ビジネス展開できなかった事例も、事前に注意していないとよく起きます。
バイヤー別にどんな商談をするか、事前にイメージしておくことで成約率が上がり、成約後にもビジネスを軌道に乗せやすくなります。
事前に準備したことを発揮する心構えにもなり、イメージ通りの商談相手に出会えたときにも対応しやすくもなるので、絶対に事前に準備しておきましょう。

【NG】全てのバイヤーに対して話す内容が同じ(一方的な商品PRをしている)
それぞれに異なるニーズを踏まえて話をする
商談相手とひとくちに言っても、状況や持っているニーズなどは点でバラバラです。
商談会では、きちんと相手の状況やニーズをヒアリングができるように準備しましょう。
バイヤーのニーズを理解することが、商談の成約可否に直結します。
限られた時間の中で「商品をしっかり説明しなきゃ!」と考える方も多いかもしれませんが、一方的な商品説明ではなく、相手が求めている情報発信をしなければ、成約には至りません。
事前に調べてもわかりずらい、バイヤーが困っていることや探しているモノを聞き出せるように工夫しましょう。
特に海外市場向けのオンライン商談会の場合は、通訳が入る場合は実際に商談できる時間は2分の1になります。
一般的な商談会の時間は40分間なので、半分が通訳となると、商談の時間は実質20分…。
通訳不要の場合は時間をかけて商談ができますが、通訳が必要な場合は「通訳込みの20分間」でどれだけ相手のニーズを理解し、話の流れを組み立てるかが、重要なポイントとなります。
通訳の方にも事前に資料や情報共有をして、自社の味方につけて対応してもらうように工夫しましょう。
また、商談会の進め方も、何を差し置いても「聴く」を第一とするような流れがオススメです。
- 相手が求めていることを聞き出す
- 得た情報を整理し、自社商品が合いそうなポイントを絞る
- ポイントを抑えられる自社商品の説明に入る
現地に協力者(コーディネーターなど)がいる場合は、その方にバイヤーの要望をヒアリングしてもらっておくと、効率よく事前に準備ができるでしょう。
実際に弊社でご支援させていただいた事例の中で、事前のヒアリングを実施した結果、本来提案予定ではなかった商品がバイヤーのニーズに合うことがわかり、成約に繋がったケースがありました。
商談が成立するケースとそうでないケースの違いは、バイヤーへのヒアリングが商談会中または事前にできているかどうかだとも言えます。
できるだけバイヤーのニーズが何か、把握できるように工夫して、バイヤーのニーズにあう商品説明ができるようにしましょう。

広く浅い話ではなく、ストーリーや価値を語る
商品の説明を行う際に、商品の情報を広く浅く提供することはやめましょう。
商品の基本的な情報や資料を読めばわかるような情報提供は、成約率を上げる効果的な方法ではないからです。
どのような情報が成約率を上げ、その後のビジネス展開に良い効果を発揮するかというと、商品の背景が見えるような情報です。
- なぜの商品を作ったのか
- こだわりはなんなのか
- 作り手(職人や工場で働く人)はどんな想いでつくっているのか
- 既存の取引先との感動秘話やエピソード
バイヤーはビジネスパートナーであり、商品を購入して利用する生活者ではありません。
売り場で接客するような商品説明よりも、ビジネスパートナーとして関わりたいかどうか、商談の場でチェックされているという意識で、商品や企業の背景やビジョンの共有することが大切です。
きちんと背景にある情報が伝わると成約率が上がるだけでなく、成約後にビジネス展開を進めていく際に、バイヤーも主体的に熱意をもって商品を売ろうと動いてくれます。
【NG】サンプルと資料だけ渡して現地パートナーに任せる
サンプルと資料の事前共有は、オンライン商談会に臨む際には最低限しなければならない当たり前の準備です。
これは、バイヤーに対しても、営業代行を依頼する場合の現地のパートナーに対しても同様です。
たとえ商談成立に至らなかったとしても、商材の現物や資料があると相互理解につながるので、今後のビジネスの可能性を探ることができます。
事前共有を怠るだけで、機会損失につながることもあるので、絶対に準備するようにしましょう。
加えて、営業代行を依頼して商談会に臨む際に重要なのが、「サンプルと資料の事前共有」以外の準備も事前できるだけすることです。
当たり前の準備を超えた部分に対して、事前にどれほど努力できるかが成約率を上げることにつながります。
具体的にどんな準備かというと、ぜひやってほしいことのひとつが「営業代行先との事前打ち合わせ」です。
事前に1度きちんとを時間を設けることで、商品の特徴や自社の強み・特徴を直接伝えて、セールストークを共有し、成約率を高める可能性を広げることができます。
現地での営業代行は、単なる外注業務として捉えるのではなく、営業代行する担当者を、自社の社員として教育をするくらいの熱量で巻き込むようにしましょう。
場合によっては、会社の今後の展望や企業理念などもきちんと説明すると、営業代行する担当者も商談会の現場で適切な情報収集や判断ができるようになることもあります。
またコロナ禍で昨今はオンライン商談会が数多く溢れるようになり、バイヤーも企業ごとの準備の差を感じる機会が多くなっています。
売上や今後のビジネス展開に直結する大切な取り組みの一部なので、営業代行を依頼する担当は、自社商品の営業マンであるというほどの認識で、事前の情報共有を図りましょう。

【NG】市場に関する事前リサーチを全く自力でしていない
なぜ自力で?どうやるの?海外市場のリサーチ方法
「市場のリサーチは、出来るだけ現地のパートナーにお願いしたい」と考える方も多いかもしれません。
もちろん現地パートナーに市場調査の依頼するのは準備を効率化するうえで良い選択のひとつです。
しかし、自社で全く調査をせずに現地パートナーに任せきりにすると、会社のノウハウとして得られる知見が蓄積しにくくなってしまうので、成約後のビジネス展開を見据えるとあまりオススメではありません。
調査段階のすべてを現地パートナーに任せるのではなく、競合がどれだけいそうなのか、競合の商材がどういったものなのかなど、インターネットで検索すればわかるような情報は、ぜひ自ら調べられるようにしましょう。
たとえば、シンガポール市場で販売されている日用品がどれくらいの価格で売られているのか知りたい場合は、英語で「daily necessities singapore」と検索すれば様々な情報が出てきます。
このひと手間を惜しまずに取り組むことで、市場の情報を直接理解し、市場にあうセールストークを考えるきっかけにもなりえるので、商談会参加前の準備としてとてもおすすめです。
英語が苦手というひとは、Google translatorやDeepl Translateなどの自動翻訳機を使えば、おおよその意味が分かってしまうような時代です。
商談会で成約後に、海外市場でビジネス展開をさせるには、目まぐるしく変わる市場のニーズを把握したり、現地の商習慣に合う戦略を練ったり、長期的にフォローアップすることが必要不可欠です。
このようなプロセスを商談会に臨む前から事前に理解し、自社で少しでも取り組んだうえで現地パートナーと協働すれば、まさに「鬼に金棒」です。
商談会の前に、市場調査は「自分たちができる範囲で、できるところまでやり切った!」と言えるほど積極的に実施していきましょう。
海外バイヤーの現状と事前に調査すべき項目
事前に調査しておくべきポイントを以下にまとめるので、ぜひ参考にしてみてください
海外市場での競合に関する情報
現地で利用されているECサイトは確認しましたか?
自社商品に似ている日本企業の商品が取り扱われている場合は、ぜひ価格や規格などをチェックしておきましょう。
「3C」「4P」でわかること
マーケティングの世界でよく唱えられる「3C」と「4P」は、事前に調査する項目としてとても参考になります。
「3C」とは
- 自社(Company):自社の売上やサービス、市場ですでにあるイメージ
- 顧客(Customer):自社のサービスや商品を利用する生活者や、生活者のニーズ
- 競合(Competitor):自社にとっての競合となる企業
「4P」とは
- 製品(Product):生活者のニーズとあうか商品か
- 価格(Price):商品の価格、コスト
- 流通(Place):商品を流通させるための販売経路や卸先、生活者との接点
- プロモーション(Promotion):生活者に情報提供するための手法
商談会を実施する対象国の商習慣などは、JETROのWebページなどから情報収集できるようになっています。
また、先の日用品の例のように、英語で商材に関するキーワードと国名を検索することで、ある程度バイヤーとなり得そうな企業や場所を調べることもできます。
自社の商品分析と相手国の市場調査をできる範囲で行い、自社の強みが生かせそうな分野や、うまくいく営業先の仮説を立てておくことまでできたら、申し分ないですね!

優良事例から習う成約のポイント
事前準備が成約につながったタオルメーカーの事例
とある日本のタオルメーカーの商談会では、事前準備が功を奏して成約に至りました。
成約に至った理由を商談先のバイヤーへインタビューしたところ、以下のようなポイントが洗い出されました。
- シンガポールでの販売価格帯やポジションなど、バイヤーがイメージがしやすい情報提供がされていた
- 担当者のみとのやりとりだと、中長期的なビジョンが見えづらく、成約に繋がらないケースが多いが、今回はは、担当の方にもきちんと中長期的なビジョンが共有されており、きちんと伝わった
- バイヤー(商談先)のビジネスモデルや特徴を、SNSやウェブサイトなどをよく見て理解していることが伝わった
多くの商談会は、メーカー・バイヤーともに、目的やゴールが不明瞭なまま参加するケースが多いです。
ですが、裏を返せばきちんと事前準備で目的やゴールを明らかにして臨めば、今後につながる結果は返ってきます。
本事例では結果的に、「今後一緒に商品を企画開発しましょう」「他の商品の販売も考えましょう」などと話が盛り上がり、商品ありきの取引ではなく、その後のパートナーシップにつながるきっかけを得ることができました。
なお、「中長期的なビジョンを担当者に伝える」等の、海外進出を成功させる経営者に共通することについては、以下のブログで詳しくご紹介しているのでぜひご参照ください。
付加価値が成約につながった水産加工品の事例
また、日本食材に関する商談では、提供できる付加価値が大きなポイントであると感じる事例がありました。
なぜなら、シンガポール市場に流通する日本食材は、すでに多岐にわたり手に入れやすい状況のため、商談先にはすでに既存の取引先があるケースが多いです。
商談会で成約にこぎつけるには「現在取引している企業よりも(自分たちの会社は)良いものが提供できる」という付加価値が伝わるかどうかが、カギを握っているからです。
水産品を扱う日本企業の事例では、「今日、日本は潮の流れが強いなかでしたが大きな魚はとれました。状態がいいです!」などの、水産品を卸すひとから直接、日々食材の状態を伝えられる体制があるということをアピールしていました。
商談先だったシンガポールの高級レストランは、食材の質が良いことは当たり前だが、食材とともにコメントやその土地の季節の情報が添えられてくるサービスは、レストランの顧客満足度に関係する重要なポイントだと感じていたため、新規の取引に向けた検討が始まりました。

さいごに(まとめ)
以上、オンライン商談会で「やってはいけないこと」、4つのポイントでした。
- 【NG】成約したいバイヤーや、商談会後の展開へのイメージがない
- 【NG】全てのバイヤーに対して話す内容が同じ(一方的な商品PRをしている)
- 【NG】サンプルと資料だけ渡して現地パートナーに任せる
- 【NG】市場に関する事前リサーチを全く自力でしていない
これから海外向けのオンライン商談会を実施する予定の方はぜひこれらのポイントを押さえて、商談の場で成約を勝ち取る準備を進めていただけたら嬉しいです。
一方で、ゼロから自力で準備して、海外の取引先とオンライン商談会で成約を得るのは、かなりのパワーがいることは事実です。
弊社では創業から10年以上、200社を超える日系企業のシンガポール市場進出をご支援させていただいています。
具体的なご相談がございましたら、以下のボタンよりいつでもお気軽にご連絡ください。



