海外進出を成功させる経営者に共通すること|海外進出成功の秘訣
弊社ではこれまで200社以上の日系企業のプロジェクトに携わり、多くの経営者の方とともに海外市場進出に向けた取り組みを実施してきました。
その経験から、海外進出に成功する企業は、もちろん商品力なども大事ですが、海外進出に対する経営者の強い意志があることが多いということがわかりました。
なぜなら、海外市場進出そのものが日本とは全く勝手が違う「海外での取り組み」であり、新しい会社をひとつ立ち上げるほどのエネルギーが必要となるビジネスだからです。
商品力があっても海外市場で苦戦することはざらにあります。日本では考えられないほど多くの壁にぶち当たることも本当に日常茶飯事です。
そのような前提でみたとき、正直なところ少し躓いたくらいの失敗を取り上げて「やっぱり海外進出は難しい」と判断してしまう会社もあり、これは本当にもったいないことです。
本記事では、海外進出を成功させる経営者に共通する特徴をお話ししています。
- 海外進出を考える経営者が持つべきスタンスとは?
- 海外進出を成功に導くための準備とは?
より具体的にお伝えしてまいりますので、海外進出を考えている経営者や、海外事業担当・責任者の方のご参考になれば嬉しいです。
経営者が「海外進出」に強いコミットメントを持っている
そもそも海外進出を担う人材がいなければ「海外進出」は絵に描いた餅ですが、海外進出人材がいれば安泰かというとそうではありません。
会社のリーダーであり、経営判断を行う経営者こそが「海外事業を何としても成功させる」という気概を持つこと。
この経営者による強い意思表明が、海外進出の基盤としてなによりも重要なポイントだと感じています。
経営者による強い意思表明とは、様々な側面で発揮されるものではありますが、具体的には最低限以下のようなアクションに現れると考えます。
海外進出の方向性を自ら考えている
(海外事業に関係のない部署も含めて)会社全体から「海外進出」への理解が得られるように行動する
たとえば、コロナ禍では難しい点もありますが、「海外市場への現地視察」を例に経営者ができることを考えてみましょう。
- 経営者自らが出向いて現地を自分の目で確かめること
- 経営者同志でしか得られない現地のコネクションやネットワークを構築すること
- 展示会などで経営者自ら現場に立ってテストマーケティングを行うこと
- 現地に赴くことでしか得られない体感を基に、消費者やバイヤーを理解すること
上記のように、海外視察という限られた滞在でも、さまざまなことを通じて経営者本人の肌感で市場を理解・把握できる機会が得られます。
経営者が「積極的に海外進出に関わろう」とする姿勢を持って、このような視察中で得られる様々な局面で行動することができたら、得られる収穫も大きいことでしょう。
なぜなら、国内であれ、海外であれ、経営の意思決定は現場や現地のことを把握してなければできないからです。
ところが実際のところ、一度も経営者自ら現地に足を運ばずに、営業担当者に任せっきりにしているケースは多々あります。
なかには、海外担当者が現地での営業や販路開拓の大変さを感じながら、時間とお金の投資が必要とされる取り組みにもかかわらず、経営陣に理解してもらえないどころか「早く結果を出せ」と詰められてしまって、頭を悩ませているというパターンもたまに目にします。
実際の現場で何が起きているか、また担当者がどれだけ努力しているのかを理解せずに、掲げた「海外進出」への経営判断をしてしまうことは、大変もったいないことです。
もちろん、海外事業を推進するのは、経営者ご本人ではないことがほとんどです。ですが、海外事業の担当者に丸投げ状態の経営者のもとでは、どれだけ優秀な人材でも実力を発揮できません。
人任せでない当事者意識の強い経営者のコミットメントこそが、成功の鍵を握っています。
海外進出の方向性を自ら考えている
海外のことになると「わからないから」と後回しにしている日本企業の経営者の姿を、残念ながらかなり頻繁にお見受けします。
ですが、担当者に丸投げは絶対にダメ。
「会社として海外進出を目指す」と自ら旗を振っておきながら、「担当者にすべて丸投げ」という状況では、海外進出なんて成功するはずがありません。
担当者を孤立無援にしてしまっては、会社として海外進出を取り組む意味があいまいになり、方向性もゴールも定まらないまま、余計なコストだけが増えていくという事態にもなりかねません。
たとえ経営者本人が海外進出についてわからなくても、会社を最も理解している経営者が「海外進出」の事業にきちんと関わらないとどこかで必ずズレが生じます。
海外進出の方向性をしっかり社内に浸透させている
企業にとっての海外進出の意味を明確にし、自らマネジメント層や担当者に、海外進出の先にあるビジョンと具体的な青写真を示すこと
これは、海外のマーケット調査などの下準備よりも何よりも、一番最初に経営者が取り掛かる必要がある、大変重要なポイントです。
実際、弊社でお手伝いさせていただく中で、経営者のビジョンが社内にいきわたっていないことから、シンガポールのバイヤーが興味を示しても、経営者が示すビジョンが明確でないため、担当者がいちいち経営者へ判断を仰ぐことになり、結果的に具体的な案件や成約に至ることができなかった事例が多々あります。
経営者が描いたビジョンや方向性をきちんと担当者と共有し、担当者に寄り添いながら事業を推進していくことが、海外進出の成功のカギです。
また、事業を進めていくうちに様々な局面でビジョンとズレていくこともありますが、それを軌道修正するのは経営者の任務です。
具体的にはマーケティングやブランディングの方向性などでズレがないように見ていくべきです。
良い海外担当人材を確保している
優秀な担当人材が確保できるかどうかが成功の決め手とも言えます。
同じ新規事業の立ち上げでも、国内と海外では大きな違い。
どんな人材が海外進出の担当者として適しているかを後述しますが、もし「こういう人材は社内にいない…」という場合は、事前に人材課題は解決しておくべきです。
社内で時間をかけて育成するだけでなく、海外から多様な人材を確保・活用することも視野に入れて検討することを強くおすすめします。
海外進出プロジェクトの担当として適任な「海外人材」についての記事はこちらをご覧ください。
企業の海外進出を成功させる人材はこんな人|海外進出成功の秘訣
海外進出を成功に導く環境を整えている
海外進出プロジェクトを成功させている経営者の共通の特徴として、以下の2つの環境を事前に社内に整備していることが挙げられます。
詳しくみてみましょう。
失敗を許容しチャレンジ精神を評価する環境
「成果が出たかどうか」は重要な観点ですが、海外進出の場合は短期スパンで評価することはできない場合が多いです。
また、海外事業には失敗しても挫けずにトライし続けるような根気強さも求められます。
そこで、長期的な視点で「海外進出」そのものをきちんと捉え、あらかじめ様々な試行錯誤にチャレンジすることを評価する環境を整えることをおすすめします。
一概には言えませんが、日本の会社は失敗した人に対しての批判が厳しいと感じることが多々あります。
「それみたことか!」と言わんばかりに、みんな失敗したことや失敗した人を指摘する傾向を感じるのです。
そのような文化がある企業だと、様々な障壁が立ちはだかり、試行錯誤して取り組み続けなければならない海外進出にはチャレンジしにくいでしょう。
大阪の会社が東京で新しくチャレンジするのが大変と言いますが、海外進出はそれ以上に簡単なものではありません。
社外のやりとりだけでなく、海外担当以外の社員などの周りが海外展開に対する業務やミッションを理解し、多少の失敗を許容できる「環境作り」と、その環境の中で、失敗しても再チャレンジできるような「レジリエンス」が、社風として求められるように感じています。
ある程度の決定権を持つプロジェクト担当者
「経営者のコミットメントが大切」と言いましたが、逆に経営者がワンマンで介入しすぎてもあまりよくありません。
海外進出の方向性を担当者に浸透ができたら、現場での意思決定はある程度担当者に任せることも大事です。なぜなら海外、特にシンガポールではスピード感がなくては商機を逃すから。
担当者にある程度任せる、という本質的な意味は、意思決定者を行う人が介入すべきということです。
そうでないと、せっかく得た商談の機会を利用してビジネスを推進していけません。これは海外事業だからということではなく、すべての事業や業務に言えることですね。
たとえば、弊社でも度々様々な産業に渡ってご支援させていただいている、シンガポールで開催される「商談会(ビジネスマッチング)」でのワンシーン。
現地のバイヤーから問い合わせや質問があっても、「一度会社に戻って確認してから折り返えさせてください」と返答してしまう担当者の方をよく見かけます。
ですが、海外、特にシンガポールでは、いかに合理的にスピーディーにやるかが重要。じっくり時間をかけて物事を進めるというのは商習慣に合っていません。
その現場では意思決定ができないという状況で商談に臨んでも、現地の商談先には「対応がスローすぎる」と言われるだけで、商機を逃してしまいます。
商談に関わっている人がある程度その場で意思決定できるような態勢で臨まない限り、海外のビジネススピードに合わせられません。
スピーディーな意思決定の仕組み
スピードが求められるのは商談会などの担当者がレスポンスるようなシチュエーションだけではありません。
会社組織の形態で、意思決定に毎度稟議が必要、稟議がおりるのは1週間くらいかかる…では遅すぎます。
稟議は必要だとしても、並行して担当者が動けるように便宜を図るなど、環境を事前に整えるべきです。
せっかく得た商機を無駄にしないように、海外進出案件に関しては日本的な慣習を捨てるくらいの覚悟で社内体制を整えることをおすすめします。
さいごに
海外進出を成功させる経営者に共通することとして、以下のポイントをご紹介しました。
- 経営者が「海外進出」に強いコミットメントを持っている
- 具体的には「海外進出の方向性を自ら考えている」だけでなく「海外進出の方向性をしっかり社内に浸透させている」ことが経営者には求められている
- 良い「海外担当人材」を確保している(「海外担当人材」として適任であるかを見極めるポイントは、こちらの記事をご参照ください)
- 経営者は、海外進出を成功に導くために必要な環境を事前に整えている
- 失敗を許容しチャレンジ精神を評価する環境
- ある程度の決定権を持つプロジェクト担当者を置く
- 社内稟議などが必要な場合は、海外進出案件に限ってスピーディーな意思決定ができる仕組みを整えている
「海外担当人材」の育成については、弊社ではJETRO様と共に「中小企業海外ビジネス人材育成塾」という取り組みを主催しました。
中小企業で海外事業を担当される方を対象に行った研修で、弊社が10年以上に渡って培ってきたエッセンスをふんだんに取り入れた内容を軸に実施しました。
(出典:JETRO主催「中小企業海外ビジネス人材育成塾(シンガポール開催)」企画・運営サポート, 2020.02.12)
海外事業の担当者にとって最終的に大切なことは、「自分自身が自信を持って、自らアクションを取ろうとするメンタリティをもつこと」です。
「私でもできるかもしれない」
「そこまで難しく構えなくてもいいんだ」
「海外市場進出にチャレンジしたい」
「帰国しても半年以内にシンガポール出張を計画しよう」
そのようなポジティブなメンタリティを培うことを目的に実施され、実際に参加者からは
自社製品の可能性を感じた方と海外展開していくことの難しさを感じたが、自社の海外戦略を見直すことで海外進出を加速させていきたいとモチベーションを向上できました。
というフィードバックをいただきました。
こうした海外の現場のリアルな状況に踏み込んだ研修機会や、ノウハウの共有の場を運営して、海外進出担当の皆様のお力になれるよう、弊社ではご支援させていただいています。
また2021年には独自の「海外事業担当者の育成プログラム」を実施予定ですので、気になる方はぜひこちらよりお問い合わせください。
さいごに、本記事が「海外進出」をテーマに情報収集されている日本企業の経営者の皆様にとって、ひとつの参考になるとともに、海外事業展開にむけて具体的に踏み出すきっかけとなることを願っています。
ご相談はありますか?
弊社での取り組みに関して、具体的に相談したいことなどがございましたら、ぜひ上記のボタンよりお気軽にご連絡ください。
ご一緒に知恵とアイディアを考えて、伴走させていただきます。


