海外進出を200社以上サポートしたプロが語る「成功させる人材」の共通点
シンガポール拠点の弊社はこれまで200社以上の日系企業の海外進出をサポートしています。その中で成功のために大事だと強く感じるのは、海外進出にぴったりな人材の選定です。少し前にジェトロ(日本貿易振興機構)様と共に「中小企業海外ビジネス人材育成塾」という取り組みも主催しています。
もちろん企業の商品力、経営者の強い意志なども大事な要素ですが、実際に現地でやりとりする第一線にいるのは「事業の担当者」です。
日本では当たり前なことでも簡単に通用しないのが海外の市場。過去に国内で新規事業の立ち上げを成功させた方でも、海外市場ではうまくいかず途中で帰ってしまうケースは多々あります。
海外事業の担当者に求められる「必要なスキル」がないと、成功するものも成功しません。
そこで今回、海外人材のポイントについてご紹介したいと思います。海外進出をご検討中の企業の方や、海外事業をご担当されている皆様は、ぜひご参考にしていただければと思います。
良い海外人材に共通するスキルとは?
今はまだ海外進出の経験がなくとも、将来的に「この人は大きく伸びるな」というポテンシャルを感じる方々がいます。その共通する突出したスキルについてご紹介します。
ここに挙げるスキルを持つ人材は、国内でも必ず成功するような人ですが、それくらい優秀な方を担当に据えないといけないくらい、「海外進出」はかなりのエネルギーを必要とするのです。
英語力より大事な「対話力」がある
海外ビジネスにおいて重要になるのは、もちろん「英語力」。ですが、それより大事になるのが「対話力」です。
- 自分と違う文化、考え方を受け入れること
- 相手の考えを引き出すために、聞き上手になること
- 質の良い問いを立てられること
- 自分の伝えたいことを相手の目線や相手がわかる言葉で伝えられること
などなど、、、様々な局面で「対話力」が求められるのが海外進出事業の日常です。
日本から来る人は、一方的に自分のことや会社のこと、商品のことを話して、現地で販売実績を上げることがビジネスだと思っている人がいますが、習慣も文化も異なる相手をまず理解する努力をしないと、海外ビジネス展開は成功しません。
現地生活者の存在を無視した一方的なコミュニケーションでは、商材の魅力や価値を伝えることは難しいのです。
相互理解を深めることができる「対話力」は、海外担当者に必ず求められるスキルです。

スピード感が抜群
様々なサービスがオンライン化したことにより、日本国内にいても海外取引が格段にしやすくなりました。
なかでもニューノーマルとして、遥か遠く離れた商談相手とも、様々なオンラインツールを使って商談を執り行うことが可能になりました。
そのような時代の中で、海外市場向けのビジネスでは「即レス・即行動」が成功のカギ。
特にシンガポールにはいかにして合理的にスピーディーにやるかを大事にしている国民性があるので、スピード勝負だと言わざるを得ません。
「大事な内容なので、次の出張でこちらに伺うときに…」などと言わずに、すぐにZoomで会話するべきです。最新のオンラインサービスを駆使して、どんどん積極的にコミュニケーションをとるようにしましょう。

ストレートな物言いでもダメージを受けない
日本と商習慣が違うので、日本で通用するやり方が通用しなかったり、コミュニケーションの仕方が違います。
そのため、意図していたように相手に伝わらないことは、本当によくあります。
「違って当たり前」くらいの気合で、柔軟性とタフさをもっていないと、海外進出を狙う事業はやりきることができません。
一筋縄ではうまくいかないことや、異質なものを受け入れる寛容性も求められます。
日本では簡単にいくことがそうはいかない、という状況さえも楽しめるくらいのメンタルを持つ担当者は、必ず成功するまで諦めずにやり遂げることができるでしょう。

海外市場を理解したマーケティング戦略を練れる
企業のマーケティング戦略において「ストーリー作り」が欠かせない時代になった、と言われています。
市場が海外になっても、企業から顧客へコンセプトや価値観を共有し、理解を得るための「ストーリーテリング」と、それに基づいたマーケティング戦略や具体的な実施方法を考えられることができる人材は、海外事業の即戦力となるでしょう。
大人気チーズタルトを手掛けているブランド「Bake」は、海外市場のニーズや嗜好性に合わせていくような「ローカライゼーション」をせずに成功したパターンとしてお手本になるでしょう。
ありきたりですが、国内と同様に、自社がこだわり抜いていた商品をどう表現するか、企業理念やチームとして大切にしているをどう伝えるかなどを、現地の生活者にきちんと伝えられるかどうかが、海外進出においてもっとも重要なポイントです。
「海外現地を理解したマーケティング戦略」とはまさにこのことです。
「Bake」は、もともと国内で販売していた商品のコンセプトやブランディング自体が、統一された独自の世界観を放ち、国内でのマーケティング戦略を展開していらっしゃいました。
そんな「Bake」が、2016年にシンガポールへ初上陸した際には、言語や文化は違えど、ブランドとして国内で発信する確たるイメージやメッセージをシンガポール市場へきちんと届け、理解され、共感が得られるように表現したプロモーションを実施しました。弊社でもご支援させていただいており、一連の詳細はこちらの記事をご覧いただければと思います。
海外店舗のPRはどうする? BAKEシンガポールでのレセプションパーティーの様子をお伝えします!(THE BAKE MAGAZINE, 2016.05.06)
結果は大成功。その後も現地で「Bake」のファンになった顧客のコミュニティをつくって、エンゲージメントを高めていくことにも取り組まれており、戦略的に海外進出を展開されていました。
また、インスタ映えを意識したブランディングも、SNSでの拡散力をさらに強めていました。情報のキャッチアップが早いシンガポール。SNSの拡散力は瞬く間に多くの潜在顧客へとリーチする原動力になります。
以下の写真は第1号店オープンののち、「Bake」の新商品である「クロッカンシュー ザクザク」に特化したシンガポール第1号店のオープンイベントでの様子です。
シンガポールに既に芽生えていたブランドのファンやメディア関係者が、インスタ映えする写真を撮ろうと、撮影待ちの列が後を絶ちませんでした。
Bakeの「クロッカンシュー ザクザク」に特化したシンガポール第1号店のオープンに伴って開催された、メディア向けのプレス発表会およびファン向けイベント開催時の様子
練り上げたストーリーを、具体的にどのようにシンガポール市場展開したのかは、Bakeが手掛ける「THE BAKE MAGAZINE」に詳しくご紹介されているので、ぜひご参考までにご覧になってみてください。
海外店舗のPRはどうする? BAKEシンガポールでのレセプションパーティーの様子をお伝えします!(2016.05.06)
海外人材のための4つの成長ステップ
海外進出には、担当者が以下の4つの分野全てをクリアしなければなりません。
とはいっても、最初から全て出来てる人はいないので、事業を進めながら徐々に担当者自身が主体的に学び取ってスキルとしていくことが重要です。ぜひこのステップを参考に担当者が次に何をすればいいのか、参考にしてください。
【 ステップ1 】
海外市場を身近に感じ、海外ビジネスに対する視座を高め、自分が海外ビジネスを推進するセルフイメージを持つ。
- 現地の商談会・展示会(オンライン開催のものを含む)に参加することで、現地の消費者やバイヤーと直接触れあってみることで、「誰に向けて営業をしているのか」を具体的に理解できている
- 文化や商習慣・言語は違っても、相手は「同じ人間であることは変わりない」と言えるほど海外市場を身近に感じている
- 現地にいる日本人と触れあうことで、自分以外にも海外で頑張っている日本人がいると勇気づけらていれる
- 英語力に自信がなくても、なんとか通じることがわかり、必要なのは「完璧な英語力」ではなく「コミュニケーション力」であると気が付いている
- 相手や市場が具体的にイメージできているので、頭だけで考えるのではなく、行動することで得られる知見があると気が付いている
【 ステップ2 】
海外展開戦略の立案、情報収集や専門家とのネットワークを構築、海外での商談を行うことができ、販路開拓に必要な基本スキルを習得している。
- 具体的な数値を基に、予算や事業計画書などが作れるようになっている
- やるべきことと、それをやるリソース、タイムラインなどを具体的にイメージができている
- 現地海外出張を何回か経験している
- 海外出張に行く際は、事前に訪問する営業先の目途が何件かついており、現地で情報交換ができる人脈が作れている
- 現地の土地勘もついてきて、1人で積極的にいろんな現場を回れる
- 日本内で海外ビジネスについて相談できる専門家や、自分と同じような立場の人と知り合い、情報交換や励ましあえる仲間がいる
- 海外から問合わせがきたら自力で返信し、取引成立まで自分でフォローできる
【 ステップ3 】
社内の海外戦略の中核として、当事者意識を持ち、経営陣ほか社内関係者を巻き込み、自律的・能動的に海外ビジネスを遂行できるようになる。
- 現地に行ったことのない社員や経営陣に、現地の様子を説明できる
- 事業計画や戦略プランを、自社の経営陣やそのほかの社内にプレゼンテーションができる
- 自分の考えを理解してもらい、関心を寄せてくれたり「協力したい」と言ってくれる社内の協力者・支援者がいる
- 社内で成果が認められ、海外事業部としてスタッフが増えて、人員体制が強化される
- 取引案件に関しては、それなりの意思決定が任されている
- 海外からの大型の問い合わせや、パートナー候補などが現れてビジネスチャンスが広がってくる
- 現地のパートナーと定期的にコミュニケーションを取り、関係強化を行う(意思疎通も問題なし)
【 ステップ4 】
担当者が継続的に社内のコンセンサスを取りながら、海外のパートナーやバイヤーとエコシステムを構築し、中小企業の海外進出におけるサステイナブルな事業展開を行う。
- 海外事業の収益化ができており、社内でも評価され、より力を入れていく事業に成長している
- 海外事業に対して、これまで以上の予算やリソースを得ている
- 現地のバイヤーやディストリビューターとの信頼関係が構築されている
- 海外事業に関わるチームメンバーがそれぞれがタスクをこなせるようになり、各々やりがいを持って取り組んでいる
- 経営陣が海外事業に関して、関心を高く持っている
- 海外事業の担当者がさまざまなチャレンジに取り組める環境が整っている
さいごに
冒頭でご紹介したジェトロ(日本貿易振興機構)様との「中小企業海外ビジネス人材育成塾」という取り組みは、こちらで詳細をご覧いただけます。
(出典:JETRO主催「中小企業海外ビジネス人材育成塾(シンガポール開催)」企画・運営サポート, 2020.02.12)
海外事業担当者にとって最終的に大切なことは、「自分自身が自信を持って、自らアクションを取ろうとするメンタリティをもつこと」です。
「私でもできるかもしれない」
「そこまで難しく構えなくてもいいんだ」
「海外市場進出にチャレンジしたい」
「帰国しても半年以内にシンガポール出張を計画しよう」
そのようなポジティブなメンタリティを培うことを目的に実施され、実際に参加者からは
自社製品の可能性を感じた方と海外展開していくことの難しさを感じたが、自社の海外戦略を見直すことで海外進出を加速させていきたいとモチベーションを向上できました。
というフィードバックをいただきました。
こうした海外の現場のリアルな状況に踏み込んだ研修機会や、ノウハウの共有の場を運営して、海外進出担当の皆様のお力になれるよう、弊社ではご支援させていただいています。
また今後弊社では独自の「海外事業担当者の育成プログラム」を実施する予定ですので、気になる方はぜひこちらよりお問い合わせください。
本記事がひとつの参考になるとともに、1人でも多くの海外進出事業のご担当者が、前向きにかつスピーディーに海外事業展開に踏み出せることを、心から願っています。
ご相談はありますか?
弊社での取り組みに関して、具体的に相談したいことなどがございましたら、ぜひ上記のボタンよりお気軽にご連絡ください。
ご一緒に知恵とアイディアを考えて、伴走させていただきます。



