拡大するノンアルコール市場!海外進出するならシンガポール市場からはじめるべき理由
ノンアルコール市場が世界中で拡大しています。
特にその場ですぐ飲める状態のノンアルコールカクテル「Ready to Drink Moktail」の世界市場は、2028年までに約128億円(94億3000万米ドル)を計上し、2021〜2028年で9.6%で成長するとも言われています。
シンガポールでもアルコールを飲まない若者が急増しており、新聞などの大手メディアでノンアルコールワイン、ノンアルコールスピリット、ノンアルコールカクテルなどが紹介されています。
この動向に対し、アルコール市場にも影響があり、シンガポールで人気の「Tiger Beer」を製造する会社は「アルコール度数の低いビールやノンアルコールビールにも注力する」と発表し、力を入れています。
シンガポールでは現在日本酒や日本のウィスキー、ジンなどが人気なので、この流れで日本のノンアルコール飲料もシンガポール市場で注目される可能性はあると感じています。
酒税もかからないので、こだわりの日本食材を使ったノンアルコール飲料を生産されている事業者にはぜひシンガポール市場進出をご検討いただけたらうれしいです。
このブログでは、シンガポールでのノンアルコール市場の実情や事例を、現地在住者ならではの視点から詳しくご紹介します!
日本のノンアルコール飲料がいますぐシンガポールに進出すべき理由
【1】レストランでの取り扱いが過去より増えているから
弊社はシンガポールに設立して今年で14年目を迎えますが、これほどまでに多くのノンアルコールカクテルが日常的にレストランメニューやお店で購入できるようになったのは、コロナ禍を経た顕著なトレンドだと感じています。
シンガポールのファインダイングでは、カクテルと同等の数のノンアルカクテルがメニューに掲載されています。
先日行った二つのレストランのメニュー。右側の写真は「Zero Proof」がノンアルのメニューです。
シンガポール市場のノンアルコールビールだけを見ても、収益は2023 年に 1 億 950 万米ドルに達し、2025年まで年平均成長率は14.28% で成長すると予想されています。
このようなノンアルコール飲料の市場拡大は、アルコール市場にも影響力を与えており、シンガポールで人気の「Tiger Beer」を製造する製造するアジア・パシフィック・ブルワリーズ・シンガポールは「低アルコールビール、ノーアルコールビールなどの大きなトレンドは、すべて私たちが最も情熱を注いでいる分野です」と話しています。
実際に、2019年にローンチした「Tiger Crystal」は、アルコール度数が5%未満で飲みやすく、現地の若年層から人気を得ています。
またNumeratorの調査によると、シンガポールのZ世代は、アルコールに対して「ほどほどに」と考えている傾向が強く、ミレニアル世代でも10人中4人が飲酒量に気を配り、10人中3人が飲酒量を制限するようになっています。
また、全体的にアルコールはZ世代にとってそこまで魅力的なものではなくなってきており、アルコールで気分がよくなり、SNS上のイメージが悪くなるのではないかという懸念から、アルコール飲料を買いに行く回数も消費する金額も少なくなっています。
割合で比較すると、ミレニアル世代の90%がアルコールを購入するのに対して、Z世代のアルコールを購入する割合は84%と明らかに差があります。
【出典】Numerator, Insights into the Gen Z Drinker: Alcohol Consumption, Drinking Habits & Trends, Sep 16, 2021
そのため今後もシンガポール市場ではノンアルコールの需要が拡大すると考えられます。
アジアのハブ「シンガポール」から他市場への展開が見込めるから
ご存知の方も多いですが、シンガポールは「ASEANビジネスのハブ」や「「アジアのショーケース」と呼ばれている市場です。
実際にビジネスのしやすさを順位付けした「Doing Business」では2位にランクインしており、低い法人税率だけでなく、シンガポールの積極的な市場参入支援などの後押しもあり、今でも外資系企業の市場参入が活発で後を絶ちません。
とはいえ、シンガポールは国土も人口も諸外国と比較すれば小規模なので、市場参入したとしても売り上げ規模には限界があるのは事実です。
そのため、シンガポール市場は多くの外資系企業にとって、東南アジア展開を見据えたゲートウェイ、つまり「テストマーケティング」の場と位置付けられているというのが正しい理解でしょう。
実際に日系の飲食業界から、エッグタルトで一世を風靡した「BAKE」、グローバル展開するラーメンチェーン店「一風堂」、シュークリーム専門店「ビアードパパの作りたて工房」が、シンガポール市場への参入を皮切りに他国への進出を展開しました。
また、ハイネケンのようなグローバルブランドは、シンガポール市場進出の後にタイに進出し、シンガポールから東南アジアに波及していった例もあります。
ノンアルコール市場も同様に、シンガポール市場進出はアジア市場への足がかりと捉えて、テストマーケティングの機会としてきちんと展開すれば、継続的な海外市場からの売り上げ創出を見込める可能性があります。
アジアでは今後市場が拡大すると予想されているから
Data Bridge Market Researchの調査によると、その場ですぐ飲める状態のノンアルコールカクテル「Ready to Drink Moktail」の世界市場が、2028年までに約128億円(94億3000万米ドル)を計上し、2021〜2028年で9.6%で成長すると分析しています。
「モクテル」とは、アルコールや蒸留酒を含まない、ノンアルコール飲料の一種で、通常さまざまなフルーツジュース、ソフトドリンク、アイスティーなどを混ぜて作られます。
カクテルのように見えるので「モクテル」と呼ばれており、アルコールが入ったカクテルよりも低価格で、アルコールを摂取しない人にも飲まれています。
北米ではさまざまなフレーバーのモクテルに対する消費者需要が高まっており、外出先での利用を目的とした製品が市場規模のほとんどを占めています。
アジア太平洋地域の市場はオンライン販売の増加により、2021〜2028年の予測期間中に最も速い成長を遂げると予想されています。
【出典】Data Bridge Market Research, Global Ready to Drink (RTD) Mocktails Market – Industry Trends and Forecast to 2028, Jan 2022
ノンアルコール飲料への注目が集まる中で、アルコール飲料の代替オプションとしてのノンアルコール飲料にも可能性があると考えられます。
東南アジア全域の市場への展開を見据えて、シンガポールでテストマーケティングを実施してみることは有意義な取り組みのひとつとなるでしょう。
シンガポール市場進出にあたって抑えておくべきポイント
【1】ノンアルコールだからといって安いわけではない
ノンアルコール飲料の価格は、ソフトドリンクとは全く異なり、そこそこいいお値段で提供されています。
たとえば、シンガポールで外食した際に支払う価格は、ソフトドリンクが$6程度、ノンアルコールカクテル(Mocktail)は$12〜15、カクテルは$18〜25が相場です。
実際、レストランではノンアルビール以外のノンアルコール飲料は、ほとんどノンアルコールカクテル「モクテル(Moktail)」というジャンルになることがほとんどで、価格帯はソフトドリンクよりも高めになっています。
モクテルがメニューにあるのはそれなりの価格帯のお店であることがほとんどなので、ノンアルコールカクテルは現時点ではある程度ハイエンドなレストランを利用する頻度が高い富裕層向けが想定しやすいと考えられます。
ノンアルコール飲料の価格は、アルコール飲料よりは高くありませんが、ソフトドリンクよりは高く、スピリッツのアルコールとノンアルコールは同じくらいの設定だと思っていいでしょう。
ノンアルコールだからといって安いわけでは決してないので、シンガポール市場に進出する際には、酒税を加味して適正な価格設定をすることが重要です。
【2】インスタグラムでの情報発信力を強化する
シンガポール市場において、ノンアルコールカクテルのプロモーションには視覚的にインパクトのあるブランディングやマーケティングが必要です。
なぜなら、シンガポール市場ではSNSが主要な情報源となっているためデジタルマーケティングは必須であり、ブランドの訴求にはデジタル上での商品の見せ方が欠かせない要素となるからです。
実際、現在シンガポール市場に流通しているノンアルコール商品はパッケージが洗練されている物ばかりです。
ぱっと見だけではノンアルの商品だとはわからないほど、クリエイティブで女子ウケしそうなおしゃれなラベルがあしらわれた商品が数多くあります。
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見た目がものを言うインスタグラムをうまく運用し、ファンを獲得しているブランドもたくさんあります。
シンガポール市場に進出する際には、ビジュアルで美しく商品を見せるマーケティングが重要なポイントとなるので、ぜひ合わせて以下の記事を参考に進出に向けた戦略を検討してみてください。
【2022年最新】シンガポールのSNS事情|こんなアプリが今人気
【3】ハレストラン等でペアリングメニューが提供できる可能性を理解する
今までコース料理にはワインとのペアリングが主流だった高級レストランでも、ノンアルコールドリンクのペアリングを提供するお店が登場しています。
以下では2つのお店の取り組みについて具体的にご紹介させていただきます。
お店の目玉となるような新しい企画を積極的に行うレストランやソムリエに対して、自社商品(ノンアルコール飲料)を提案することは、シンガポール市場進出の一歩として非常に有効な取り組みです。
ノンアルコールカクテルのペアリングメニュープロモーションなどを検討できる時代になってきていると感じますので、ぜひ参考にしてみてください。
■ミシュランレストラン「Marguerite」
ミシュランの星を獲得した「Marguerite」では、ノンアルコール飲料のプログラムが、1人あたり約8,900円($ 88ドル)で提供されています。
ノンアルコール飲料は、清澄なジュースや発酵した純茶などで、ワインと同じ複雑さと特徴を反映したラインナップが厳選されて提供されています。
オーナーシェフのマイケル・ウィルソンは、伝統的なワインのペアリングからヒントを得て、まず料理を考えることから飲み物のペアリングを構想しています。
彼は、「特定の料理と相性が良いと思われるワインの優勢な風味特性を調査し、それに対応する果物を見つけてから、これを中心に節制した飲料を開発している」と話し、さらに食材同士の相性や、伝統的に相性の良いものを調べ、食材同士の完璧なマッチングを実現するといいます。
たとえば、ガラリンゴとヴェルジュース(未熟なブドウやカニリンゴなどの酸味の強い果汁)をセロリとともに調理した飲料も彼が提供するノンアルコールドリンクのひとつ。
清澄な果汁にオーク材のチップを混ぜた飲み物で、ノンアルコールのシャルドネに似ており、通常、魚と一緒に出されています。
■3つ星レストラン「Restaurant Zén」
ミシュランの3つ星レストラン「Restaurant Zén」は、シンガポールでいち早くノンアルコールプログラムを提供しはじめたレストランとして知られています。
1人あたりの価格は約2万5000円($250)で、シェフのトリスティン・ファーマーが独創的な季節のメニューを提供しており、ドリンクメニューには、ニュージーランド産の桃、ネクタリン、ローズアップルなど、季節の食材を利用しています。
桃は5日間かけて、温かいアイスクリームのような質感になるまで熟成させ、甘さを強調するため、すぐにジュースにし、発酵させた後、低温で保存して使用しています。
桃の果汁とオキザリスの茎の組み合わせに、北スマトラとサラワクのバタック産の胡椒を煎じ、より複雑な風味を作り出しています。
11月1日からはノンアルコール飲料のボトル販売も開始しており、白ワイン、赤ワイン、オレンジワインの3種類をリリースしており、白ワインは、発酵させたカリン、リンゴ、洋ナシ、レモンに、トーストしたピーカンとクルミの水分が加えられています。
ジェネラルマネージャー兼ビバレッジディレクターのアーロン・ジェイコブソンは、
白ワイン用の一次発酵の後、ヨーグルトのホエーとブラウンバターで二次発酵を行うのですが、これは白いブルゴーニュのような味を目指したものです。
と話し、ノンアルコール飲料に対するこだわりが伝わってきます。
【4】日本のノンアルドリンクはまだほぼ流通してない
シンガポール市場には、オーストラリアで生産されたノンアルコール商品が多数流通しています。(そのほかはイギリスなど)
日本のノンアルコール飲料は、Asahiの「All Free」などの大手のノンアルコールビール以外、残念ながら見たことがありません。
日本からのノンアルコール飲料の進出や流通が少ないということだと思いますが、シンガポールでは現在日本酒や日本のウィスキー、ジンなどが人気なので、この流れで日本のノンアルコール飲料もシンガポール市場で注目される可能性はあると感じています。
酒税もかからないので、こだわりの日本食材を使ったノンアルコール飲料を生産されている事業者にはぜひシンガポール市場進出をご検討いただけたらうれしいです。
シンガポール市場に流通するカクテルとプロモーション事例
世界初のノンアルコールスピリッツ「Seedlip」
ロンドンで誕生した世界初のノンアルコール蒸留酒(ノンアルコールスピリッツ)です。
価格帯は約$70で、小売店(デパートや酒屋さん)やECから購入ができます。
アルコール・砂糖・カロリーがゼロなので、運転するドライバーや妊娠中の女性、健康志向の人々のニーズに応えられ、現在シンガポールではよく見かけられます。
以下の記事では「飲まずに飲む」というキャッチーなタイトルで紹介されています。
【出典】Food Navigator ASIA, ‘Drink without drinking’: Non-alcoholic spirit brand Seedlip riding discovery and health trends in APAC,10-Aug-2022
おしゃれなパッケージを生かしたSNSの見せ方も非常に上手で、特に自宅での楽しみ方を紹介する動画を積極的に配信しています。
シンガポール市場への展開を目指す飲料メーカー企業にとって、参考になります。
オーストラリアのノンアルコール飲料「NON」
おしゃれなワインバーで、シンガポールの中心街で働いているビジネスパーソンが、友人との会食で飲んでる印象があるノンアルコール飲料「ノン(NON)」。
オーストラリアで誕生した商品で、フローラル、タンニン、塩味、酸味などの風味をベースとした複雑なバランスでラインナップが作られています。
「NONラボラトリー」という専門の施設が、美食の中心地といわれるオーストラリアのメルボルンにあります。
ここでは、シェフ、バーテンダー、食品科学者、ワインメーカーなど、あらゆる分野の専門知識を持つ人々が結集し、フード&ビバレッジの専門家チームによって商品の設計されています。
シンガポールでの販売価格は$30程度で、小売店・レストラン・ECサイトで購入できます。
Instagramでは動画を積極的に投稿しており、製造工程や食事シーンなどの様子を臨場感が感じられるように届けています。
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Heinekenのノンアルコール飲料プロモーション
【出典】Carblicity, Campaign Details – Heineken 0.0% Hanger
大手アルコール飲料メーカー Heinekenは、2017年からノンアルコールビール「Heineken 0.0」を製造しており、現在は世界の50以上の都市で販売されています。
2022年には「Heineken 0.0」の販売に支えられて、全世界で前年比7%の販売数量増加を記録し、過去10年間で最高の成長率を達成しました。
シンガポール市場では今後3〜5年で「Heineken 0.0」の発売によって総売上が5〜10%増加するのではないかと予測しており、現在積極的にプロモーション活動が行われています。
そのうちの一つが、東南アジア地域で人気が高まっているタクシー手配サービス「Grab」が提供する「GrabFood」でハイネケン製品のプロモーションを実施するという取り組みで、Grabでタクシーを手配した乗客にドリンクサンプルを配布するプロモーションキャンペーンでした。
2019年9月末からシンガポールとベトナムで開始され、その後、フィリピン、ミャンマー、カンボジア、タイで開始される予定です。
私も実際、Grabでタクシーを手配した際にこのプロモーションの恩恵を受けて、とても面白いなと感じたのですが、実際にはレストランなどで「Heineken 0.0」を飲んでいる人を見かけたことがあまりありません。
周りにいないだけかもですが、プロモーションの効果がどのように測られるのか、今後のHeineken の売り上げや動向などに注目したいと考えています。
さいごに
ここまでカクテルの代替オプションとなり得る「モクテル」を中心にシンガポールのノンアルコール市場についてお伝えしてきました。
シンガポールでは現在日本酒や日本のウィスキー、ジンなどが人気なので、この流れで日本のノンアルコール飲料もシンガポール市場で注目される可能性はあると感じています。
酒税もかからないので、こだわりの日本食材を使ったノンアルコール飲料を生産されている事業者にはぜひシンガポール市場進出をご検討いただけたらうれしいです。





