「観光レップ」とは?海外にレップを置いて訪日旅行者数を増やそう
「どうしたら訪日旅行者数が増えるのか」
「海外出張でのセールスや現地プロモーションは単発で終わっている」
観光インバウンドを担当されている方は、悩まれている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、そんなお悩みを解決する「観光レップ」についてご紹介しています。
「観光レップ」とは、現地であなたの代わりに観光地を営業・PRするパートナーのことで、長期的な成果を目指し活動する主体のこと。
実際にどのような役割を果たし、訪日旅行者数の増加につながっているのでしょう?
実情が見えにくい分、具体的な内容がわからないかもしれませんが、「観光レップ」の意義と活動内容がわかってしまえば、今後の観光インバウンド戦略の有力な一手として考えられるようになります。
最近では、海外に観光レップをおく自治体が増えてきており、今後は新型コロナウイルスによる海外渡航規制の影響で、さらにニーズが高まると予想されます。
観光インバウンドで成果を上げる方法について悩んでいる方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
「観光レップ」の目的やメリット・デメリットを理解し、今後取り入れるべきか判断できるようになりましょう。
「観光レップ」とは何か
“レップ”とは「Representive」、つまり日本語で「代理」を意味し、代わりに業務を遂行するパートナーを意味します。「セールスレップ」や「PRレップ」という使い方もされています。
観光の分野で、自治体や事業者の代理として、商品の販売や誘客の増加を目指し、旅行代理店などへ商品の企画・造成をサポートをしたり、海外メディアなどと連携してPRしたり、現地の旅行博やイベントでプロモーションをすることが、「観光レップ」の役割です。

ここではもう少し具体的に理解するために、仮にあなたが「日本のある地域を東南アジアにPRし、東南アジアからの訪日旅行者数を増やすプロジェクトの担当者」になったとしましょう。
『東南アジア』とひと口に言っても、それぞれの国で経済・文化は異なるため、当然、旅行のトレンドやニーズも違います。
ですが、日本に住んでいながら、各国の市場への理解を深めるのは、とても難しいはずです。
そこであなたは、現地での様子を肌で感じ調査すべく、年数回に渡って現地へ足を運び、現地の旅行代理店や旅行業界関係者・エージェントなどを訪問しました。
現地で開催されている旅行博に参加することも、現地の生活者の声をヒアリングする良い機会だと感じて検討しはじめます。
このような方々は非常に多いと思いますが、実際このような取り組みを行ってみると、どのようなことが起こるでしょうか?
- 滞在中、1日に出来る限り多くの打ち合わせを詰め込むため、訪問先が限られるだけでなくかなりの負担になる。
- その後のフォローも十分にままならなく、機会を損失する。
- 運が悪ければ、多忙な旅行代理店からは営業を断られることもある。
…などなど、実際には限界を感じている方の声をよく耳にします。
自治体の場合には、担当者が変わることがあるため、現地の旅行代理店やエージェントと関係性を中長期的に築くことも、かなり難しいという点も抑えるべきです。
このような状況により、出張ベースに海外市場での観光PRを実施している段階では、現地に対する理解を深めることやネットワーク作りも不十分に終わり、単発的なセールスやプロモーションになってしまう傾向があります。

このようなケースで、「観光レップ」を担う現地パートナーがいると、非常に効果的かつ効率的に中長期的な成果に向けた取り組みを加速することができます。
「観光レップ」は、海外現地に常駐しているため、単発の海外セールスやプロモーションと違って
- 現地の旅行業界や生活者の習慣を理解したエージェントや個人が営業を担当できる。
- 定期的な営業活動や、現地関係者とのネットワークの構築が可能。
- 現地関係者と長期的な視点で商品販売やPR活動に取り組める。
- 現地の生活者の日本へのニーズ、旅行スタイルやトレンドなども把握しているため、その時々に合わせた企画設計が可能。
…などの、様々なメリットを得ることができます。
東京都は「観光レップ」を置いている事例のひとつです。
世界各都市に観光レップを置いており、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、オーストラリア、カナダ、中国、韓国、台湾、マレーシア、タイ、シンガポールまで広がります。
2004年から観光レップを始めており、海外在住の長い個人やエージェントに委託をしています。
また、神奈川県は、以前まで「海外市場の旅行代理店の営業」と、「海外市場の旅行博への出展」を、別々に実施していました。
ですが、2016年からターゲット国に観光レップを置くことで、旅行代理店と造成した旅行商品を、旅行博にあわせてPRするという連携も図れるようになりました。(Link)
観光レップの事業内容とは
前述した観光レップの事業内容について、さらに詳しく説明します。
観光レップは、先ほど述べたようにセールスレップやPRレップとも言われます。単に観光レップと言っても、厳密には様々な役割があるので、もし海外に観光レップを置くことを検討しているのであれば、ターゲットとする市場や商品の戦略に合わせて、観光レップに求める役割を明確にすることが大事です。
観光レップの主な事業内容は、以下が挙げられます。
- 旅行代理店へのセールス・商品造成・プロモーションのサポート
- 旅行代理店の招請(ファムトリップ)・アテンドのサポート
- 旅行博や観光イベントでのPRサポート
- 現地メディアの招請(ファムトリップ)・アテンドのサポート
- 現地の自治体事務所やJNTOとの情報交換
- 現地の生活者のニーズやトレンドの調査
これらは、現地に拠点を置いているエージェントや個人でないと、対応が非常に困難です。旅行代理店やメディア、その他観光事業者とのネットワークが不可欠となりますし、現地のトレンドやニーズを肌で感じて理解している必要があります。
観光レップの役割については、ターゲット市場や自治体の観光戦略に合わせて、旅行代理店で商品を造成することも最も重点を置くこともあれば、認知度の拡大を求めてプロモーションに重点を置くこともあります。
自分たちが何を売りにすれば良いか分からない場合には、まずは「調査型ファム」と呼ばれるファムトリップを実施し、旅行会社やそのお客さんたちに何が刺さるのかを調査することから始める場合もあります。
- 長野県松本市へ招待(地元の酒蔵に興味を示す)
- 長野県松本市へ招待(善光寺を訪問する)
この「調査ファム」とは、呼び名との通り調査を目的としたファムトリップで、ターゲット市場の旅行代理店やメディア、有識者などを招請して様々な観光地・観光商材を体験してもらい、フィードバックをもらうことに焦点を当てたもので、その市場に大してどのように観光地を打ち出すべきか、観光地に旅行者が増えない問題な何かなどを調べることができます。
日本人に喜ばれるコンテンツと海外あるいは、それぞれの市場で喜ばれるコンテンツは必ずしも同じではないので、現地の人の声を聞くことは大変参考になります。
例えば、沖縄は日本人にとっては海のきれいなリゾートとして人気ですが、私のいるシンガポールや東南アジアでは、近隣に広大な自然と海があり、リゾート地も散在しています。さらに年中熱帯で暑いのと、飛行機や自動車で数時間で手頃に行けます。
したがって、シンガポールなどの市場に向けては、沖縄は海のリゾートではなく「沖縄のユニークな文化」を訴求しており、これが市場のニーズに合致しており、観光客が増えている理由にもなっています。

観光レップを今すぐ始めるべき理由
日本の自治体の訪日インバウンドのご担当者や事業者が海外セールスやプロモーションを実施する上で抱える課題について、観光レップがなぜ役立つのでしょうか?
私が担当する中で感じる「今すぐ始めるべき最大の理由」は、ずばり観光レップだからできる「現地での柔軟な連携」と「中長期的な計画」です。
自治体の場合は、海外でセールスやPRをしたい場合には、毎年4月に公示が出されます。
その公示の予算を申請するためには、おおよそ半年前から計画を立てています。
その場合、計画を立ててから実行に移すまでに長い準備期間が必要であるのと、一度具体的に決まった内容は変更ができません。
例えば、今年は旅行博がなくなった場合に、代わりに旅行関係のバーチャルイベントであったり、新しい機会が生まれています。
しかし、すでに計画が立てられているので、チャンスを逃してしまうことになります。

コロナ渦の影響を受けてプロモーションの場はオンラインへ。シンガポール初のバーチャル観光フェアを開催しました。
現地の観光レップをしていると、旅行代理店からは新しくこんなことを始めてみたい、など提案をいただくこともあります。
その際にすぐに実行ができるかが海外でのビジネスにおいて信頼を獲得するという意味でも極めて重要な点です。
今年造成したツアーを来年はどのようにプロモーションをするかなど、一緒に計画を立てることも可能です。
最初は小さな規模だったものが、次第に大きく膨らみ、結果として訪日旅行者の増加に繋がります。
このように、「観光レップ」を海外市場に置くことで、現地の旅行代理店や観光事業者と中長期な関係性を維持し、計画が立てられるという最大のメリットがあります。
観光レップを始めるべき理由について、他の理由も以下に挙げてみました。
現地の生な情報をタイムリーに入手できる
主な課題の1つは、「現地で今何が起きているのかが分からない」ことです。現在、コロナの規制でこの課題はますます大きくなっていると感じます。現地で何が起きていて、どのように旅行スタイルやニーズが変わっているのかキャッチアップすることは、現地にいないとできません。ご自身の所属する県の県事務所などが現地にあれば情報交換ができますが、そうでない限りは現地ですぐに話に聞ける人はいないのではないでしょうか。長期で現地に出張することもできるかもしれませんが、なかなか現地ネットーワークを作るのは時間と労力がかかりますし、膨大な費用も発生します。なにより、数年単位の長い目線で考えた場合には継続が難しいです。
タイムリーに情報が収集できないことの最大の問題は、現地の状況に合わせて計画を柔軟に変更できないことがあります。先ほども述べましたが、コロナの発生によってこれまでの旅行業界や生活者のニーズは大きく変わっており、今後も変動していきます。旅行博も中止になり、今年度の計画が全て実施できなくなってしまい、どうしたら良いかわからないという自治体も少なくないです。
このような状況のなかで何が今できるのか再度計画を立て直すには、やはり現地の生の情報がタイムリーに入手できないと、ほぼ不可能なのではないでしょうか。したがって、観光レップをおくことには大きなメリットがあります。
商品造成や商品のプロモーションを長期にわたって継続できる
前述した通り、観光レップは現地で多方面のネットワークを築くことができるので、旅行代理店などと単年ではなく、来年以降も見据えて事業を推進できます。よくある課題は、今年は旅行代理店を招請して商品を造成することまではできたが、次年度以降の商品の販売が継続されずに終わってしまうことも多く見てきました。商品を作ったら、それをどのように販売するのかを一緒に議論し、必要に応じて旅行代理店をサポートすることで、旅行者数の増加に繋がります。
旅行代理店にとっても、単発なサポートは求めておらず、代理店の状況や目標(市場でのポジショニングや商品の強み)など彼らのビジネスを理解した上で、長期的にお互いの利益になるようなサポートを求めています。それは、他社とは違った特別なコンテンツや、これから市場で人気がでるだろうと期待ができる商品で、それを数年かけて一緒に育てていくようなサポートです。
自治体には限られた予算がありますので、例えば1年目は、旅行代理店を招請して商品を造成する。2年目は、商品のプロモーションをし、市場の反応をみて課題を見つける。3年目は、商品をブラッシュアップして新しいコンテンツを作ったり、別のターゲット層や旅行代理店にアプローチするなどができます。
観光レップを置くことで、上記のような長期的なプラニングができ、結果として旅行者を増やすことができます。

Japan Travel Fair 2019では旅行代理店とタイアップして観光プロモーションを実施。単発で終わらない継続した協業を目指す。
ローコストで現地の旅行代理店や観光事業者とネットワークを築くことができる
海外出張で年に数回、現地を訪問するだけで、現地の旅行代理店に覚えてもらったり、観光関係の事業者とのネットワークを作ることは簡単なことではありません。自治体だと数年で担当者も変わりますし、引継ぎもスムースにいかず、関係性を継続することも難しいと感じている方も多いのではないでしょうか。
観光業は海外でも日本の商文化と同じで人間的な信頼関係が非常に大切だと感じています。観光レップは、現地に常駐しているので、代わりにネットワークを構築し、長期的な視点で営業活動やプロモーションを実施するのにとても有効です。
また、訪日インバウンドのプロモーションだとしても、現地で協業できるのは旅行代理店だけでなく、現地の飲食店であったり、イベントであったり、メディアであったり、様々です。例えば、観光プロモーションの一貫で、現地のレストランと県産品を使ったコラボメニューを開発して、そのメニューを注文した人には、旅行した際に使用できる特別なバウチャーをお渡しするなど、企画次第では旅行者の増加につなげられます。
上記のような連携は、ネットワークのある現地観光レップのメリットでもあります。
観光レップを置く際の注意点
では、実際に観光レップを置くことになった場合、気をつけておくべき点を紹介します。観光レップは、長期のパートナー選びですから、期待値や目的、組織にあったパートナーを選ぶことが大切です。
「観光レップに任せたい業務」と「現地事業者の対応能力」を相互に理解すること
観光レップ事業者は海外現地の法人や個人ですが、法人や個人では、対応できる業務範囲には大きく差があります。例えば、観光フェアを企画したい、メディア向けにPRをしたい、など個人では対応しきれない場合もあります。したがって、自分がどんなパートナーを求めているかを明確にし、観光レップ事業者と相互の期待値・業務内容のすり合わせが大切です。「他の自治体の観光レップはこんなことまでしてくれているから」という一方的な期待ではなく、お互いの理解が必要だと考えます。もし、公示を出して募集をするのであれば、公示を出す前に現地の観光レップ事業者などと情報交換などをして、期待値をすり合わせることも有効でしょう。
観光レップは「チームメンバー」!全て任せきりにしないこと
観光レップは、あなたの代わりに現地にいる仲間と捉えると良いでしょう。観光レップは業務内容が幅広く、実際のところは線引きが難しい業務も山ほどあります。そのような状況でも、観光レップには自発的に現地での課題を発見して、提案・遂行をして欲しいものです。そのためには、契約される自治体・事業者は、観光レップをメンバーの一員として扱い、相互の尊重・信頼関係を築くことに心配りをするべきだと思います。海外ですので、どうしても日本のように全てが完璧に行くことは稀です。常に変わる環境で、お互いにサポートしあいながら同じゴールを目指せる関係が理想です。
長期的な成果を出すことを前提に考えること
観光レップをおいたからといってすぐに成果が出るとは思わずに、最初から数年単位で計画を立てましょう。これは観光レップに限った話ではありませんが、旅行代理店もそれぞれの目標・戦略・スケジュール・フローがあります。旅行代理店によっては1年後の商品を造成していることもありますし、年間を通して特定の地域をプロモーションすることが決まっている場合もあります。商品を旅行博までに造成して販売したい、期末の3月までに成果を出して欲しい、など、自治体からは頻繁に依頼があります。これは、確かに目安として目指すべきではありますが、思い通りにならないことも初めから心得ておくと良いと思います。
また、旅行代理店のゴールは、彼らのお客様に販売して喜んでもらえ、利益が出ること。その視点が忘れずに、長い目で成果を目指していきましょう。
どうやって観光レップを設置するか
観光レップの設置を決めたのであれば、以下のステップで準備を進めてください。
- 担当エリア・商品の観光戦略に合わせて市場を決定する
- 決定した市場で、現地の事業者や他県のレップ事業者にヒアリングする。(現地にJNTOの事務所があれば、JNTOに直接紹介いただくのも良いでしょう)
- 目的を整理して、観光レップに求める役割と期待値を明確にする。
- 観光レップの目標を設定する。
Vivid Creations が提案する観光レップ
弊社Vivid Creationsはシンガポールに本社をおくマーケティングエージェンシーです。シンガポール市場は、訪日インバウンドが成熟しており、日本旅行のリピーターは訪日客の7割にあたります。1度の訪日旅行で7日〜10日ほど滞在し、1日あたりの消費額がアジアでも上位です。現地の旅行博などでシンガポール人の話を聞くと、次の新しいデスティネーションを求める声をよく耳にし、今後はますます地方へと流れていくと想定されています。
さて、Vivid Creationsが提案する観光レップは、旅行代理店へのセールスだけでは終わらない、総合的な観光プロモーションです。例えば、私たちは弊社の日本拠点スタッフとシンガポール拠点スタッフで、自治体の観光資源資材を見直すところから始め、旅行会社やメディアの招請を通じて、コンテンツに磨きをあげをします。招請後には、ツアー造成のフォローだけでなく、旅行会社のスタッフ教育や販促方法を一緒に計画をします。これによって、旅行代理店との関係を築ことができ、お互いに長期的なwin-winを実現させられます。
- 和歌山県のフルーツと著名パティシエによるタイアップ
- 地元カフェで栃木県のフラワーパーを造作した観光PR
そのほかに弊社が取り組んでいるプロモーションには、「食」起点の観光プロモーションがあります。訪日旅行で最も人気な旅行の理由として「日本食」があります。例えばシンガポールでは、「日本食」を食べることが、一番の訪日旅行理由でもあります。食を起点とした観光プロモーションは、例えば現地の人気レストランで県産品を使ったコースを提供したり、物産展を開催したり、様々です。
このように、弊社ではシンガポール現地で多分野で活動しているため、分野を超えたコラボレーションができ、分野を超えた観光プロモーションを実践しています。
シンガポールからの宿泊客を2倍以上に増やした高知県の新たなインバウンド戦略
以前、弊社が観光レップとして、シンガポールから高知県への訪日インバウンド客増加をサポートいたしました。
具体的な戦略と成果について、高知県観光コンベンション協会さまにインタビューした内容をまとめましたのでぜひご覧ください。


