シンガポールの市場調査|私たちが実際に何をやっているかお見せします
「シンガポールの市場調査って、何からすればいいの?」
シンガポール含め海外の市場調査となると、具体的にどうやって情報を収集し調査すべきかわかりにくいですよね。海外進出は多くの企業にとって大きなチャレンジ。できる限り投資リスクを最小化し、短期間で販売チャネルを確立したいはずです。
そのためには、事前の綿密な調査が鍵となります。日系のマーケティング会社としてシンガポールで創業し、15年以上企業様の進出サポートを行ってきた私たちは、市場調査の質で海外進出が成功するかどうかの9割が決まると考えているほどです。
ですが、実際に市場調査をした結果をお持ちになって弊社にご相談にいらっしゃる企業様のほとんどが、あえて言葉をストレートにすると、浅い調査結果で終わっていることが本当に多いです。
浅い調査や知見で終わっていると、表面的なデータしか見えていなく「調査したつもり」になってしまって、結果的にターゲットのニーズも、競合の動きも、現地流通の構造さえ把握しきれていないのが現状です。
本質的な市場ニーズなどが見えていなければ、まったく成果に結びつきません。
そこで今回は私たちが実際にやっているシンガポールでの市場調査の流れについてお見せします。「シンガポールに進出したけど結局うまくいかず撤退…」というケースをできる限り減らしたいという想いです。
具体的な調査に使うサイトやツールもご紹介するので、ぜひ参考になるとうれしいです。
まずは日本でもできることから!デスクリサーチ
【1】超基本:JETROのデータやレポートは絶対に確認する
「英語のリサーチは厳しい…」という方は少なくとも、JETROが公開している日本企業向けの市場動向レポートは絶対にチェックしましょう。
基礎情報として知っておかなければならないことはすべてJETROのウェブサイトにあるといっても過言ではありません。日本語で詳細にまとめられた情報が得られるので必ず目を通しましょう。
【出典】JETRO Webサイト
【2】シンガポール政府機関・公的機関の情報で深掘りする
シンガポール政府機関・公的機関は市場規模や経済動向、消費動向など、定期的にたくさんの市場データを公開しているので、これを活用しない手はありません。
もちろん英語でのリサーチにはなりますが、シンガポールの主要産業ごとの市場規模などの統計データを調べる際に絶対にチェックすべきなのは、シンガポール統計局(DOS)のWebサイトです。
政府公式の信頼性が高い一次データが豊富に揃っていて、業界別の事業運営支出の動向や店舗が出店しているエリアなどが把握できるようになっているので、シンガポール国内で自社の業界がどのような様子なのかを把握できます。
シンガポール統計局公式のYouTubeで解説されている動画がとてもわかりやすいので、英語にはなりますが参考までにぜひご確認ください。
客観的な数値データ(人口、産業、貿易など)はシンガポール統計局の情報で十分。
ですが、特定の業界の状況・トレンドをざっくり把握したい時は、Enterprise Singapore(シンガポール企業庁)のWebサイトを確認します。
Enterprise Singaporeはシンガポールにあるスタートアップから大企業までの生産性の向上や海外展開をサポートしている政府機関です。電子業界について状況を把握したい場合、食品製造業界の状況を把握したい場合、といったのように、各業界のトップページをチェックして内容を確認します。
特定の業界に関してより深く調査する場合は、Singapore Food Agency(シンガポール食品庁)やSingapore Economic Development Board(シンガポール経済開発庁)のWebサイトに記載されている各業界の市場レポートにも重要な情報がたくさんあるのでおすすめです。
例えば食品業界に関するレポートは、2025年4月の時点で9つ掲載されていました。
Singapore Economic Development BoardのWebサイトには、各業界・分野・産業の市場レポートが揃っているので該当する内容は確認しましょう。
- 産業分野
- 航空宇宙
- 消費者ビジネス
- クリエイティブ産業
- エレクトロニクス
- エネルギー・化学
- 情報通信技術
- ロジスティクス&サプライチェーンマネジメント
- 医療技術
- 天然資源
- 石油・ガス機器・サービス
- 製薬・バイオテクノロジー
【3】民間のレポート・情報でリアルな情報を仕入れる
政府機関・公的機関が発表しているもの以外のレポートは有料となる場合が多いですが、Euromonitor、Nielsen、Statistaなど、リサーチ会社が公開しているレポートやデータをチェックし、ざっくりとした動向を把握するのもおすすめです。
特にソーシャルメディアのトレンドについては、SNSやニュース記事の内容を収集し、PR・広報宣伝・マーケティングに関わるソリューションを提供しているMeltwaterが公開しているレポートは非常に役に立ちます。
また、以下の記事でご紹介した、シンガポール版のGoogleで使ってキーワード検索をしてみたり、The Strait Times(シンガポール最大手の新聞社)など、シンガポールの有力メディアで検索してみるのもおすすめです。
海外の競合を日本から調査する限界|現地に行かないとわからないこと
【4】ECサイトで競合商品チェック
特に、B2C向けの商品でシンガポール進出を検討されている方は、競合商品の価格やクリエイティブ、カスタマーの声(レビュー)等の情報を把握するために、シンガポールで利用者が多いECサイトの掲載内容をチェックしましょう。
RedMart、Shopee、Lazada、FairPriceなどを調査対象にすると市況がわかるので、シンガポール市場での自社商品の販路拡大が現実的なのか検討しやすくなります。
- どのような競合商品があるのか?
- いくらで販売されているのか?
- どのように販売されているのか?(ロット数、キャンペーン、セット販売など)
上記のような視点でぜひ確認してみてください。
【出典】RedMart Webサイト
【5】競合他社のSNSをチェック
ECサイトの調査などで競合企業が把握できたら、競合他社がどのようなプロモーションやイベントを実施しているのかもぜひ確認してください。
大抵の場合は競合企業のSNSアカウントに情報が全て集約されているケースが多いので、競合となる企業のSNSアカウントを見ればおおよそはすぐに把握できます。
以下の情報について、遡って1ヶ月分の内容を調査することができたら、かなりの情報を把握することができます。
- 各種の数値
- ファンまたはフォロワー数とその増減(1ヶ月ほど見ていると把握できます)
- 閲覧者のいいね数、コメント数、シェア
- リツイート、メンションといったエンゲージメント数
- コンテンツの種類・投稿頻度
- 画像なのか、動画なのか、ストーリーズ中心なのか?
- どれくらいのタイミングで投稿しているのか?
- 各SNSプラットフォームでのトップページの投稿に特色はあるか?
- クリエイティブのトーンとマナー
- どのような文章、文体でユーザーとコミュニケーションをとっているか?
- ただ単なる情報の羅列がメインか?PR的な要素が多いのか?
- ユーザーとコミュニティーを形成するような双方向コミュニケーションをしているか?
- ユーザーのコメントの質
実際に自社でSNSを運用する際には、このときリサーチして把握した情報をもとに、
- コンテンツの種類、投稿頻度、クリエイティブのトーンとマナーを変えることで、各数値はどう変化するのか?(しないのか?)
- 変化した場合、何が要因と考えられるか?
といった具合に、さらに深い仮説を立てたり、施策を検討することができるようになるので、市場の基礎データとしてぜひ競合のSNSをチェックしてみてください。

現地の生の声はやっぱり現地での調査に限る!定量調査・定性調査
デスクトップ上での調査は、海外展開の第一歩として欠かせないものです。しかし実際には、それだけで事前に調査して戦略を組み立ててみても「期待していたような成果が出ない」というケースは少なくありません。
弊社自体も日々様々な業界のクライアント様に伴走し、市場調査をサポートさせていただいていますが、どんなに情報が蓄積されていても、シンガポールのような変化の早い市場では、調査をご一緒するたびに新たな発見があるほどです。
現地に住んでいる我々でさえ新たな発見があるのですから、やはり現地で起きていることは、ネット上の情報だけでは追いきれないということを痛感します。

だからこそ重要なのは、
- デスクトップリサーチでなるべくたくさんの情報を調べる
- 仮説を立てる
- 仮説を現地視察で定量・定性調査を通じて検証・深掘りする
- 戦略を検討していく
というプロセスです。
特に顧客のインサイトや、現地ならではの肌感を得るには、現地調査抜きではほとんど不可能に近いとさえ言えます。シンガポールのような多民族国家では尚更そうで、とりわけ調査設計の段階から注意が必要です。
なぜならシンガポール市場には、年齢や性別、居住エリア、学歴、収入に加えて、言語(若年層には英語で十分でも、高齢層向けには中国語の選択肢も必要)、民族(中華系・マレー系・インド系など)、宗教など、日本と比べて考慮すべきセグメントがかなりたくさんあります。
調査対象が適切にセグメントされているかどうか、その見極めが成果を大きく左右します。
また、調査で実施する設問の設計段階でも「あれもこれも聞きたい」という気持ちを抑えて「この質問から得られる答えは、次の打ち手にどうつながるか?」という視点で、優先順位を整理することが非常に重要です。
仮説をもとに、必要最小限で最大限の「役に立つ情報」を引き出すことができる設問の設計かどうかで、今後の具体的な施策をどのようにしていくかを考えることにつながるからです。
例があった方がわかりやすいと思うので、以下のような事例を題材に仮説を考えてみたいと思います。
高級時計ブランドの富裕層向け調査(例)
高級時計の正規代理店でマーケティング責任者を務め、平均価格1万ドルの商品を扱っていると仮定します。
自社の顧客データでは「男性の超富裕層コレクター」がメイン顧客として浮かび上がる一方、最近は女性客や観光客(外国人)の購入も増加傾向にある、という状況です。
< 仮説を立てると設問が変わる理由 >
①男性の超富裕層に注目した仮説
VIPラウンジや限定モデルの先行展示、アフターサービスへのこだわりを問う設問が増えるなど
②女性の超富裕層に注目した仮説
VIPパウダールームの重要性や女性向けイベントへの期待などを中心に聞く必要があるなど
③観光客(外国人)に注目した仮説
免税対応やホテル内のポップアップイベント、多言語サポートなどへのニーズを調べる設問が増えるなど
< アクションにつなげるポイント >
女性をターゲットとした場合の「VIPパウダールーム」のように、実現が難しい施策を思いついても、現実的に動かせないと意味がありません。
自社で行動に移せる施策(スタッフ教育、オンライン施策、イベント企画など)であるかどうかを踏まえつつ、市場のニーズを深掘りし、調査設計を組み立てることが大切です。
【参考】弊社が共催している「Sake Matsuri」で運営したおつまみブースの様子。想定していたターゲットに対して、選定した商品に対する仮設検証しました。
ここでご紹介した例をみてもわかるように、仮説によって聞くべき設問や深掘りするべき項目は変わります。
以下では、弊社が実際に手がけた調査事例を紹介するので参考にしてください。シンガポール市場を深く理解する一助となれば幸いです。
定量調査:展示会やイベント、オンラインでの事例
展示会やイベントにおけるアンケート調査
調査の第一歩は、「何のために、誰に、どんな情報を聞きたいのか」を明確に定義することから始まります。
たとえば、シンガポールの展示会やポップアップイベントの来場者を対象にアンケートを実施する場合、事前に質問項目を設計し、現場ではQRコード経由でGoogle Formsなどのオンラインフォームに誘導する形が一般的です。
【参考】実際に弊社でご支援したQRコード読み取り型のオンライン調査の現場の様子
ただし、日本でこのような取り組みを実施する場合も同様ですが、ターゲットの年齢層が高い場合は、オンライン回答が難しいケースもあるので、その場合は紙ベースでのアンケートに切り替えるなど、柔軟な対応が求められます。
一方で、シンガポールは高齢者であっても、日本よりもデジタルに慣れている方が多いので、デスクリサーチの段階で紙がいいのかデジタルがいいのか、あらかた見当がつけられるかと思います。回収するサンプル数は、弊社がご支援してきた実際の調査では、200件前後の回答を収集するケースが多く見られます。
またアンケートを実施する際には、以下のような点は事前に検討しておくべきだととても強く感じるので、ぜひ参考にしてください。
①調査目的と事後のアクションプランを明確にした上で設問を考える
- 誰から
- どのような情報を得て
- 何の意思決定に活かすのか
この3点があいまいなままでは、せっかく調査を実施しても終わった後の次のアクションにつながりません。調査で獲得したデータはただのゴミ同然になってしまいます。
例えば「◯◯を試食してみて、今度購入したいと思いますか?」という設問を設けた場合「購入したい」という回答が得られても、それをどうマーケティング施策に落とし込むか不明確です。
それよりも、たとえば以下のような設問にすることで、より実務的なヒントを得ることができます。
「◯◯を試食してみて、いくらなら購入しようと思いますか?」
→価格感の把握
「◯◯を試食してみて、特徴的だと思った点はどれですか?(複数選択可)」
→製品訴求ポイントの抽出選択肢例:
「甘さ」「舌触り」「香り」「酸味」「その他(自由記述)」

②自社のターゲットと現場にいる来場者が合致するか
展示会やイベントの現場で調査を行う場合は、必ずしも来場者が自社のターゲット層と一致しているとは限りません。
そのため「来場者が自社にとっての見込み顧客になり得るか」をスクリーニングできる質問を設ける必要があります。具体的には以下のような項目が考えられます。
- 年齢、職業、年収、居住エリア、購買頻度などを尋ねる
- 購入経験の有無、購買意向の強さなどを選択肢で把握する
これにより獲得したデータを事後にどう活用できるか、検討できる可能性が変わるので必ず事前に検討して、必要な項目を設計してください。
【参考】展示会出展をご支援させていただいたFrostiX社では、毎朝朝礼を行い名刺獲得やアンケート調査のサンプル数獲得に向けてスタッフの教育を実施されていました。こういうことも非常に重要です!
③選択式と自由回答のバランス設計
調査をご支援する中で、自由記述式の項目があまりにも多いアンケートを目にすることがあります。
確かに自由回答は、購買理由や本音、商品に対する具体的な感想を引き出すのに非常に有効ですが、現場では記入のハードルが高く、あいまいな回答や空欄になりやすいので、自由記述が多すぎるのはかえって逆効果です。
また、事後の集計コストも高くなってしまうので、調査では選択式と自由記述のバランスを考えて設計するようにしましょう。
仮説を持って予測できる項目は選択肢として提示し、さらに深掘りしたい部分を自由回答で補うという設計が理想的です。
こうした項目別の回答形式を選別するためにも、やはり事前にどのような仮説を持って調査を行うのかが最も重要なポイントになるので、デスクリサーチを元に検討してから設問を考えてみてください。
オンラインアンケート調査
300件以上の回答数を求めるような調査の場合、専門のリサーチ会社と連携し、オンライン調査を実施することもあります。
たとえば、弊社では「シンガポール在住の富裕層の食に関する嗜好を知りたい」というクライアントニーズに応え、GMOリサーチ&AI株式会社と共同で、高所得者層を対象にした定量調査を実施しました。
シンガポール在住の高所得者層を徹底調査!日本食に関するアンケートでわかったこと
この調査を実施するにあたって、シンガポールでは富裕層の間で「おまかせ」メニューが人気とかなり前から言われていたのですが、私たちの現場感覚では少しずつトレンドが変わりつつあるという仮説がありました。
そこで調査設計では、「寿司」や「ラーメン」などの代表的な日本食に加え、「おまかせメニュー」も選択肢に含めて比較ができるように設問を設計。
その結果、「おまかせメニュー」よりも、ラーメンや焼き鳥といった、いわゆる「B級グルメ」への関心が高まっていることが明らかになりました。
このように、現地の肌感をもとにした仮説を定量調査で検証することで、より精緻で実行可能なマーケティング戦略の立案につなげることができます。
定性調査:各種インタビュー、店舗等の視察
フォーカスグループインタビュー
共通の属性を持つ4〜6名ほどの消費者に対し、特定のテーマについて90〜120分かけてインタビューを行うのが「フォーカスグループインタビュー」です。
この手法は、仮説の検証や問題点の深掘り、消費者インサイトの把握に加え、実際に商品やサービスを試してもらい、改善点を探る目的で活用されます。
弊社では過去に、ある人気アニメの関連グッズ(文具・ぬいぐるみ・アパレルなど100種類以上)のシンガポール展開を検討するにあたって、現地消費者を対象としたフォーカスグループインタビューを実施したことがありました。
参加者は以下の2つの層に分けて実施し、商品を実際に並べてヒアリングを行いました。
- 小学生の子どもを持つローカル保護者
- そのアニメに親しんできた10代後半〜20代前半の若年層ファン
するとこのインタビューを通して、以下のような実際の現地の生活習慣や購買行動を知ることができました。
日本で人気の鉛筆グッズは、シンガポールの学校では使用機会がほとんどなく、実はボールペンやシャープペンシルが主流。
小型のリュックサックは、日本では日常使いに適しているが、現地の学校では教科書の量が多く、サイズ的に実用性に欠けるという声が多数。
水筒に関しては、学校指定の容量や仕様があり、特定の基準をクリアしない商品はそもそも選ばれない、という現地ならではの判断基準も明らかに。
こうしたリアルな声を事前に得ることが調査を通じてできれば、次の段階でポップアップなどでテストマーケティングを実施する際に「現地では売れない商品」は除外することができます。
海外市場への展開を成功させるうえで、初期段階でのリサーチは不可欠。とくに、フォーカスグループのような定性的調査は、数字だけでは見えない生活者のリアルを捉えることができるので、初期段階でのリサーチとしてはかなり有効な手段です。

インデプスインタビュー
特定の対象者に対して1対1でじっくり行う「デプスインタビュー(深層インタビュー)」は、約60分ほどかけて個人の意見や価値観を深く掘り下げていく調査手法です。グループでは話しにくいセンシティブなテーマや、回答に慎重さが求められる内容を扱う際に特に効果的です。
弊社でもかなり頻繁に実施している手法なのですが、今回は以下の2つを事例としてご紹介します。
事例①:現地バイヤーに「日本製品はなぜ売れにくいのか?」をインタビュー
「シンガポールなら高価格帯の商品でも売れるのでは?」
そう考えて進出を検討する企業や自治体は少なくありません。しかし実際には、ただ日本産であるという理由だけで購買に結びつくほど、シンガポール市場は単純ではありません。
弊社では現地のバイヤーに対して1対1のインタビューを実施。どのような価値があれば高単価でも納得して仕入れてもらえるのか、逆に伝わりづらいポイントは何か。バイヤー視点から「差別化」や「魅力の伝え方」について具体的な声を引き出しました。
詳細は以下の記事にまとめているので、ぜひ参考にしてください。
事例②:富裕層業界に精通したスペシャリストへのインタビュー
シンガポールの富裕層は、広告ではなかなか本音が見えにくいセグメントです。
そこで、弊社では富裕層向け老舗メディア「Tatler Singapore」の編集長に直接インタビューを実施。現地ネットワークを活かしたアプローチで、以下のような深い示唆を得ることができました。
- パーソナライズ化された顧客データベースの重要性
- 商品説明よりも商品にまつわる物語を伝えるストーリーテリングの有効性
- 個人ではなく、コミュニティ単位でのマーケティングアプローチの必要性
インタビューの内容は以下に詳しくまとめているので、富裕層向けの情報収集をされている方はぜひ参考にしてください。
富裕層マーケティングなら老舗雑誌タトラーに学べ!編集長独占インタビュー
1on1のインタビューは戦略を立てる上で欠かせない視点であり、データでは見えない顧客の「当たり前」を明らかにする非常に有効です。インタビューの中で聞き出される情報をもとに「何を知らなかったのかを知ることができる手段」とも言い換えることができるかもしれません。
特定の業界や個人のインサイトに深く迫りたいテーマがある場合は、デプスインタビューは欠かせない調査手法だと言えるでしょう。
特に「なぜ売れないのか」「何に価値を感じているのか」といった問いに対して、確かな手がかりを得ることができるので、実施する場合はぜひ「深掘りするべきポイントが何か」を検討してから行ってください。
店舗・イベント視察
競合や販売環境を把握するには、現地店舗やイベントの視察が非常に有効です。
ただし、やみくもに視察しても意味はありません。重要なのは、自社のターゲット層や競合の文脈に即した視察対象を精査して、訪問すること。業界を限定せず、ターゲットが実際に足を運びそうな場所を幅広く選定することで、思わぬインサイトを得られることもあります。
また、ローカル事情に詳しいスタッフや通訳とともに視察を行い、気づいた点はその場で確認していくことが大切です。現場の販売員や出店者と積極的に会話を交わすことで、オンラインでは得られない一次情報が手に入ります。
以下の2つの事例は、弊社が過去に実施したシンガポールの店舗とレストランへのヒアリングの事例です。より臨場感が得られると思うので、ぜひ参考にしてください。
事例①:小麦粉商品の販路開拓に向けたベーカリー視察
日本産の小麦粉をシンガポールで展開するプロジェクトでは、「ふわふわ系の食パン」に適した国産小麦を、現地の高価格帯ベーカリーに提案するという方針で調査を実施しました。
まず最初に弊社でシンガポールにある「中〜高価格帯ベーカリー」をリストアップし、サンプル提供の打診メールを送付。返信のなかった店舗には直接訪問して、商品説明とサンプル提供の目的を説明し、いくつかのアポイントを獲得しました。
実際に商品を試してもらった後、再度ベーカリーを訪問し、製品の使用感や改良点などをヒアリングしました。
【参考】店舗にてヒアリング中の様子
事例②:日本酒の現地展開に向けたレストランヒアリング
日本酒の酒蔵のシンガポール市場展開を促進する取り組みとして、日本酒バー「Omu Nomu」の共同経営者であり国際唎酒師のAlex氏を訪問。
毎晩さまざまな顧客と接している現場視点から、各社の酒に対するリアルなフィードバックを得ることができました。
- 顧客の好みの傾向
- 初心者向けに伝えるべき特徴
- メニューでの見せ方や提供温度の工夫
上記のような実務的なアドバイスを得ることで、オンラインでは拾いきれない販売訴求のヒントが得られました。
【参考】店舗でのヒアリングの様子
そのほか参考情報:シンガポールでの候補視察先リスト(小売店と展示会)
小売店(カテゴリ別)
最低限押さえておきたいシンガポールの視察先は以下のとおりです。
- スーパー:FairPrice、Cold Storage、Don Don Donki、Isetan、Meidi-Ya
- コンビニ:7-Eleven、Cheers
- 薬局:Guardian、Watson
- 百貨店:ION Orchard、Marina Bay Sands、Takashimaya
- 家電量販店:Lion City Company、Mega Discount Store、SG Appliances、Best Denki
少し古い記事ではありますが、シンガポールのスーパー・小売店については以下の記事で詳しくご紹介しているので、あわせて参考にしてみてください。
シンガポールのスーパーマーケットまとめ|価格帯やターゲット層とは
展示会・イベント(2025年開催予定)
以下の主要なイベントが開催される時期に視察が可能なのであれば、より充実した調査ができるはず。該当する業界のイベントをぜひチェックしてみてください。
- 食品関連:Food & Hotel Asia (FHA)、Specialty & Fine Food Asia (SFFA)
- スキンケア:Beauty Asia
- ヘルスケア:World Ageing Festival
- アイウェア:SILMO Singapore
- テック系:Asia Tech x Singapore
- ジュエリー:Singapore International Jewelry Expo
- 観光系:ITB Asia
- 製造業:Industrial Transformation Asia-Pacific (ITAP)
- 水産業:Seafood Expo Asia
- 繊維・ファッション:ITMA Asia + CITME Singapore
- ゲーム:Gamescom Asia
- 富裕層向け商品:Boutique Fair
- アルコール関連:Sake Matsuri
- フィンテック:Singapore FinTech Festival
- 教育:Edutech Asia
- アニメ・カルチャー:Anime Festival Asia
- 日系プロモーション:JAPAN RAIL CAFE(定期的な日系PRイベント)
展示会に出展する場合は、圧倒的に事前準備を徹底した方が価値を最大化することができます。以下の記事で詳しくご紹介しているので、合わせてご覧ください。
海外展示会の出展費用を回収せよ!事前にできる7つの準備【永久保存版】
さいごに
海外市場への進出は、企業にとって大きな転機となる一方で、リスクも伴う挑戦です。だからこそ「進出前にどれだけ精度の高い調査ができているか」は、成功確率を大きく左右すると言えます。
特に、海外市場は文化が異なるだけではなく、シンガポールでは業界ごとに異なる市場の状況や課題、消費者ニーズは目まぐるしく変化していくので、市場を把握するためには事前に市場進出の目的を明確にして、その目的を叶えるために必要な調査を実施することが不可欠です。
弊社は、シンガポールを拠点に15年以上、現地に根ざした調査・マーケティング支援を行ってきました。現地ならではの視点とネットワークを活かし、クライアントの業界や目的に合わせた柔軟なリサーチ設計が可能です。
シンガポール進出に向けて予算はある程度確保できそう。
でも、何から始めればいいのか分からない…
そんな段階にいらっしゃる方には、業界動向の把握から、具体的なニーズ調査まで、戦略設計の前段階でしっかりと土台を固めるサポートができるのできっとお役に立てるはずです。
具体的にご相談ご希望の方はぜひ下記フォームより、お気軽にご相談ください。
本記事が日本企業のシンガポール市場、海外市場進出にあたり、参考になることを心から願っています。
















