インバウンド事例の徹底解説でわかる『成功するための6つのヒント』

訪日観光のイメージ
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  • 宮崎県高千穂では、2017年に過去最大となる約7万人の外国人観光客が来訪。
  • 東北観光推進機構が制作したPR動画は、YouTubeで再生回数2,700万回以上を記録。

インバウンド事例をまとめた情報は数多ありますが、具体的に「どのような点が優れているのか」「何がポイントなのか」を深く理解し解説しているものはなかなか見つかりません。

そこで本記事では、シンガポール市場で10年以上、日本の観光コンテンツや地域プロモーションに携わってきた弊社独自のマーケターとしての視点で、素晴らしい優良事例を8つをご紹介していきます。

事業の担当だが、何をすべきか分からない
具体的な事例情報を集めたい

このようなお悩みをお持ちの方に向けて、計画段階から実際のマーケティング施策まで、発想が斬新でありながら、参考として活用しやすい国内外の事例を、幅広い分野から厳選しました。

単に事例を真似するだけで成果が出るわけではありませんが、これらの事例から『インバウンドで成功するためのヒント』を学ぶことで、いますぐ取り入れられる視点に気づいたり、注意すべきポイントを理解することができるので、参考にしてみてください。

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インバウンドに関する国内外の成功事例

人口1万人ほどの町に年間10万人の外国人観光客が訪れる「宮崎県高千穂町」

高千穂町は人口12,205人(2018年10月1日時点)と、過疎化が課題の小さな町。その課題を打開しようと、徹底的なマーケット調査、観光コンテンツの刷新などを行い、2011年から2017年の6年間で外国人観光客数が700%伸長を実現しました。

こちらの「高千穂町観光協会 インバウンド事例調査レポート」には、そのプロセスが本当に具体的にまとめられています。

特に、ニーズを明らかにするための「アンケート調査」は実際のアンケート項目まで紹介されていますので、すぐに活用できます。価値の高いレポートなので、インバウンド関係者の方は要チェックです。

【出典】日本政府観光局(JNTO)「一般社団法人高千穂町観光協会インバウンド事例調査レポート」https://action.jnto.go.jp/wp-content/uploads/2019/02/takachiho_inbound_0314-1.pdf

再生回数100万回を超える動画を連発するYouTubeチャンネル「TOHOKU JAPAN」

東北の6県と新潟県などの連合でインバウンドを推進している東北観光推進機構。

2016年に開設したYouTubeチャンネル「TOHOKU JAPAN」では、100万回を超える再生回数を獲得する動画を続々と公開しています。

「東北の秋」をテーマに2016年12月に公開された動画は、なんと2,700万回以上(2020年9月時点)の再生回数を記録。

海外では見られない「四季」の美しさに焦点を当て、ドローン映像などの実際は見れない景色ではなく、旅行者と同じ目線からみえる景色を中心に収めています。

成功の背景には、きちんと明確化されたインバウンド誘致専用のロゴマークに込められたコンセプトの存在が伺えます。

震災復興を象徴するフェニックス(不死鳥)のロゴでは、「黄:黄金(歴史)・稲穂」「青:海・森・湖」「白:雪・食(米・酒)」のように、東北6県と新潟県を象徴する自然などのイメージと配色を関連付けています。

コンセプトを明確にすることは、コンテンツの方向性を統一するうえで非常に大切です。ぜひ参考にしてみてください。

【出典】一般社団法人東北観光推進機構 https://www.tohokukanko.jp/business/logo/index.html

心拍数を基準につくられた動画とコンセプトで誘客推進する「アイルランド」

アイルランドでは、2018年には過去最高となる1,100万人以上の外国人観光客の誘客に成功。

海外向けの観光プロモーションを担うTourism Ireland(アイルランド政府観光庁)が推し進める「Fill your heart with Ireland」という観光誘致キャンペーンが、その成功の背景にあります。

キャンペーンの一環で製作された動画の第1弾では、スウェーデン人のカップルに特殊なカメラを届け、アイルランドへの旅行に招待するという内容。

収録されているのは、なんとカメラと連動する心拍数メーターで心拍数が高く計測されたときに、彼らの視線から撮影された動画のみという、斬新な仕掛けと「Fill your heart with Irealand」というキャンペーンのコンセプトが連動している点が、非常に面白いです。

2018年12月に公開されていますが、視聴数は伸び続け現在では5万回(2020年9月時点)を突破。

臨場感を感じるだけでなく、実際にカップルの心拍数を基につくられた動画なので、誇張されたPRではなく等身大のアイルランドの魅力が伝わってきます。

長時間移動を好まないシンガポール人向けの長距離バス旅PR「長野県上高地市」

国内の移動がタクシーや車・地下鉄で最大1時間程度しかからないシンガポールの人々にとって、2時間以上の移動を伴う旅行は好まれないという調査結果があります。

そんなシンガポール市場をターゲットに、長野県を拠点とする長距離バスの運行会社アルピコホールディングスがPR動画を制作し、3万回以上(2020年9月時点)の再生回数を獲得。

成功を支えたのは、観光目的の理由として第1位に「食」があがるシンガポール市場のインサイトを捉えた点です。

よく見るとこの動画では、要所要所で食体験を軸に観光の魅力をアピールしていることが伺えます。

一見すると市場のニーズと相性があわない「長距離バス旅行」ですが、市場のインサイトをきちんと把握してPRすることで、弱点を克服した成功事例です。

ドローカルな田舎町の知名度向上に貢献する動画「カナダ・マウントパール」

人口約2.3万人のカナダの田舎町・マウントパール。

とてもマイナーなこの地域のPRを目的に制作された「マウント・パール アンセム(国歌)」というタイトルのこの動画は、公開から1年3か月でなんと8万回(2020年9月時点)を越える再生回数となり、小規模地域としては異例のヒットを記録しています。

地域に溢れているローカルなネタを、ユーモアたっぷりに紹介。

「人が少ないのでどこに車を止めてもOK」などの一見するとセールスポイントに見えないことも、地域独特の特徴として捉えなおして発信しています。

視点をかえて地域を捉えなおした事例として参考になります。

海外市場の有名飲食店とのコラボで県産品をPR「和歌山・紀の川」

フルーツ王国・和歌山県は、シンガポールで大人気のタルト屋「Tarte by Cheryl Koh」で、和歌山県産の自慢の果物をつかった商品をコラボ企画として提供することで、地域の特産品の素晴らしさと地域そのもののPRを実現しました。

バレンタインシーズンに当てたこともあり反響も多く、Instagramの投稿は通常よりも1.6倍を超えるいいね数(2020年9月時点)を獲得しています。

現地市場の飲食店とのコラボレーションを実現するのは簡単なことではありませんが、既存のファンに直接地域の魅力を発信できるため、認知度向上にはとても有効な手法と言えます。

海外市場にある旅行代理店との関係性を強化する「オーストラリア」

2011年から外国人観光客の訪問数を毎年増加しつづけているオーストラリアでは、2019年に前年比20万人増となる940万人を記録。安定的に来訪者数を伸ばしている理由は、オーストラリア政府観光局が提供する「Aussie Specialist Program」という、オーストラリア旅行の商品を販売している旅行代理店むけのオンラインコミュニティが一因として挙げられます。

旅行代理店にとって必要となる、オーストラリアの魅力をPRするための知識や、観光スポットに関する最新情報、スキル向上の機会などをオンラインで提供しています。現地市場の旅行代理店は、オーストラリアの観光の魅力を発信することへのモチベーションも上がるため、双方にとって良い効果をもたらしている点が魅力です。

【参考】Aussie Specialist Program https://www.aussiespecialist.com/ja-jp

需要ゼロを覆す戦略から学べる「スイス・グラウビュンデン」

いかにもハイジが住んでいそうな風景が広がるグラウビュンデンは、スイスの山岳地帯にある人口20万人弱の町。

そのグラウビュンデンをPRする目的として、2015年に公開された動画の再生回数は88万回以上(2020年9月時点)。

内容は、スイスの首都チューリッヒにある駅構内を行きかう人々の日常と、グラウビュンデンに住むおじいさんとの対話の機会を、オンラインを通じて提供する企画が紹介されています。

旅行を計画する前から、目的地の住人との出会いを提供し、日常生活の中で旅行先との強烈な結びつきを生み出すことで、まったくなかった旅行需要を喚起することに成功しています。

2015年の事例とは言え、テクノロジーを利用してタビマエから地域交流を生み出している点がとても斬新で、国内需要の喚起にも役立てられるような発展性が感じられます。

成功事例から学ぶ『インバウンドビジネスで成功するためのヒント』」

これまで8つの国内外での取り組みをご紹介してきましたが、ここで改めて大事なポイントをお伝えします。

それは、これらの成功事例に倣って同じ取り組みをしても、絶対に成果は出ないということです。

理由は簡単で、地域によって状況も課題も、目指している未来も千差万別だからです。

繰り返しになりますが、「これをやっておけば絶対に成功する」という方法論は通用しません

一方で、インバウンドビジネスで成功するためのヒントは、事例から学び、地域に合うようにアレンジする方法を考えるなどの形で、今後に活かすことは十分にできるので、参考として今回ご紹介した事例から6つのチェックポイントを抽出しました。

  1. ターゲットとなる海外市場のインサイトを理解しましょう
  2. 地域の現状を定量的に正しく理解しましょう
  3. 向かうべき方ゴールとコンセプトを細部まで検討し、明確にしましょう
  4. ターゲット市場で活躍する事業者との関わり方を発展させましょう
  5. リピーターのニーズに応えられるような、認知されていない魅力を見つけましょう
  6. 地域とのつながりや、追体験ができる機会をつくりだしましょう

ターゲットとなる海外市場のインサイトを理解しましょう

国によって習慣や価値を置く傾向にあるものは異なります。どのような商材(地域、サービス、商品等)においても、文化や価値観の違いには十分注意しましょう。

特に現地生活者の声に十分耳を傾け、それらをきちんと理解することは非常に重要です。

商習慣に相反したり、打ち出すポイントがずれてしまうと、市場のニーズに応えられないだけでなく、価値として認識されなくなってしまうからです。

そのために、プロジェクトに現地の人や現地のマーケットを熟知している人を必ず1人は入れましょう。

上高地や高千穂の事例でみられるように、市場によって求められるコンテンツは変わります。

どの市場に対して、どのように地域の魅力を届けるべきなのか、市場を熟知したプロフェッショナルの意見をふんだんに取り入れて検討するようにしましょう。

以下の記事では、日本を愛してやまない訪日経験10回以上のシンガポール人(30〜50代)3名に独自インタビューをし、シンガポール人訪日リピーターの本音を聞き出した内容をまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。

なぜ10回以上来日するのか?訪日外国人リピーターの情報収集術と理由を独自インタビュー

地域の現状を定量的に正しく理解しましょう

海外市場をターゲットとする場合は特に、データを用いていないと、誤った思い込みや先入観が先行して、客観的な事実を見失ってしまうことがあります。

訪日外国人観光客への誤った思い込みを避け、正しく現状を理解するために、データを活用した検討や状況整理を行いましょう。

たとえば高千穂の事例では、事例では調査により、訪日外国人観光客が、日本人観光客のように風景をたのしみに来ているのではなく、ボート遊びを目的に来訪していることが明らかになりました。「日本人の来訪者と同じニーズをもって来ているはず」という思い込みを改め、施策を改善することができました。

過去に実施した調査結果などでも、改めて分析してみると、見落としている点が見つけられるかもしれません。

以下の記事では、「自分の地域に来ている訪日観光客が、どのような経緯で訪問に至ったのか」を調査してきちんと把握するためにできる自力の調査方法をご紹介しています。

訪日インバウンド増を目指し試行錯誤されている現場の方々が、今すぐにでもできることなので、ぜひ参考にしてみてください。

インバウンドの課題が見つかる!自力でできる訪日市場調査の3つの手法

向かうべき方ゴールとコンセプトを細部まで検討し、明確にしましょう

「ターゲットとなる市場のインサイト」と「地域の現状を定量的に正しく理解」したら、つぎに明確にすべきはゴールと企画のコンセプトです。

具体的には、どのような年齢・家族構成・収入・観光ニーズをもつターゲットを対象にするのか、企画で達成すべきKPI、ツールとして利用するもの(SNSやイベント、キャンペーンなど)などを洗い出しましょう。

東北やアイルランドの事例では、ロゴに込められた配色のイメージやキャッチコピーなど、キャンペーンのコンセプトに関わる根幹と施策の内容が連動することで、統一感のあるコンテンツ提供を実現しています。

連続性のある取り組みを行う際には特に、ゴールとコンセプトを明確にすることでブレや迷いがないコンテンツをつくり出すことが可能になります。

実際にどうやればいいのか、方法がわからない場合は、専門家に頼んでアドバイスをもらいながら、ブレンストーミングを行うことをおすすめします。

客観的な立場から情報を整理することができるので、より効果的な施策のアイディアを練り上げることができます。

ターゲット市場で活躍する事業者との関わり方を発展させましょう

ターゲット市場で活躍する関係者との接点を増やす方法を考えましょう。

そうすることで、ターゲットとする客層により的確に情報を発信することができるからです。

たとえば和歌山県の事例では、現地市場で有名なスイーツブランドとコラボレーションをしました。これにより、ブランドの既存のファンに対して、和歌山の果物の素晴らしさを伝えることに成功しています。

また、オーストラリアの事例では、現地の旅行代理店むけのプログラムを実施することで、代理店のモチベーションを高めることに成功し、代理店を経由して間接的に需要喚起を推し進めています。

実際に日本でも、ターゲット市場にある代理店への取り組みは、ここ数年で自治体が取り組みはじめている「観光レップ」を通じて、リレーション強化に努める地域も増加傾向にあります。

施策を実施するにあたって、「現地のプレイヤーと協働できないか」「現地で協力にサポートしてくれるパートナーはいないか」など、幅広い視野をもって考えてみましょう。

以下の記事では弊社が観光レップとしてご支援している高知県の取り組み事例をご紹介しているので、参考にしてみてください。

シンガポールからの宿泊客を2倍以上に増やした高知県の新たなインバウンド戦略

リピーターのニーズに応えられるような、認知されていない魅力を見つけましょう

まだ認知されていない地域の魅力を発掘することに力を入れてみましょう。

なぜなら、2019年の訪日旅行客3,100万人のうち、全体の半分以上を占める「64%」がリピーターからです。

代表的な地域の観光地や体験は、だいたい1回目の訪問で触れるはず。

となると、すでにメジャーな地域の魅力を発信し続けていても、リピーターの心をつかむことはできません

カナダの田舎町マウント・パールの事例のように、まだ認知されていない地域の特徴も、捉え方や発信の仕方によっては魅力にみせることができます。

またアイルランドの事例では、心拍数が上がったシーンを軸に動画が構成されていますが、地元民では思いつかないような日常の風景もありました。

リピーターのニーズに応えられるような、地域に隠れている魅力を探してみましょう。

 

地域とのつながりや、追体験ができる機会をつくりだしましょう

具体的に旅行を検討していないときに、旅行感覚を追体験できる仕組みや、地域とのつながりを強く感じる経験をすると、需要喚起に結びつきやすくなります。

追体験や、地域との直接的なつながりによって、「自分事」として受け取りやすくなるからです。

スイスやアイルランド・東北の事例では、実際に地域とのつながりをタビマエに創出したり、追体験できる仕掛けを通じて、広告やPRと感じない等身大の良さが伝わってきました。

観光需要を喚起する施策として、地域とのつながりや追体験ができる機会を提供する方法を考えてみましょう。

さいごに

成功事例からアイディアを得ることは大切なポイントではあるものの、地域現状とターゲット市場の状況をきちんと把握していなければ、成果は絶対に出ません。

この記事ではインバウンドを成功するためのヒントは、以下の6つがあるとご紹介しました。

  1. ターゲットとなる海外市場のインサイトを理解する
  2. 地域の現状を、定量的に正しく理解する
  3. 向かうべき方ゴールとコンセプトを細部まで検討し、明確にしましょう
  4. ターゲット市場で活躍する事業者との関わり方を発展させる
  5. リピーターのニーズに応えられるような、認知されていない魅力を見つける
  6. 地域とのつながりや、追体験ができる機会をつくりだす

やれることをひとつずつ着実に実施していき、インバウンド施策を実施することによって、結果的に地域が盛り上がるような流れを生み出しましょう。


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