【2023年版】ポストコロナのシンガポールの食トレンド徹底解説
弊社ではコロナ禍の2021年にシンガポールのF&B市場に関する最新トレンドを紹介しましたが、シンガポール市場は流行に敏感なため変化しやすく、毎年のようにトレンドが変わっています。
2023年のキーワードは「健康」と「効率化」だと現地で生活していて痛感しています。
その理由はコロナ禍を経て健康意識が高まるとともに、飲食業界全体の人手不足から効率化にもより注目が集まっているようです。
このブログでは、シンガポールでどのような動向があり、何に注目が集まっているのか、最新のF&B市場に関するトレンドを紹介します!
飲料に対する新しい規制「Nutri-Grade」で更に健康志向が高まる予測
2022年12月30日からシンガポールの保健科学庁により、ボトルや缶に入った飲料等(ニュートリグレード飲料)への規制「ニュートリグレード飲料*の栄養表示(グレードラベル)義務化と広告規制)」が始まりました。
「Nutri-Grade(ニュートリグレード)飲料とは、以下の飲料を指しています。
- ボトル、缶、カートンなどの容器等の包装で販売できるようにあらかじめ包装された、または作られた、すぐに飲めるプレパック飲料。
- 飲料として飲む前に液体で再構成または希釈することを意図した粉末または濃縮物である包装された飲料(例:3in1インスタントコーヒー飲料)
- 自動飲料ディスペンサーから供給される飲料(例:飲料の購入希望者が飲料中の成分の量をカスタマイズする選択肢がない、ドリンクバーや自動コーヒーマシンから供給される飲料)
砂糖及び飽和脂肪酸の含有量に応じて、A、B、C、Dのグレードに分けられ、CとDの飲料は購入希望者に見えるようにパッケージの前面にグレードラベルを表示することが義務付けられています。
特にDの飲料については、広告での表示方法にも制限がかけられています。
弊社のスタッフが大好きというこちらの飲み物は「C」。ショックがっていました。
2023年の年末までにはパッケージ商品以外にもこの規制が適用されるようになります。
その場で淹れるスタイルのコーヒーやタピオカミルクティーなどや、小売店以外の職場や学校などでも規制が適用されます。
【出典】THE STRAITS TIMES, High-sugar drinks sold in schools, workplaces must carry Nutri-Grade labels by end-2023, 2023年2月13日
新型コロナウイルスの蔓延を経て、シンガポールでは確実に健康志向が高まっています。
シンガポールには甘い飲み物が好きな人が多いので、グレードがCやDになる飲み物がすぐになくなることはないと思いますが、私の周囲ではこのラベルを見て購入するかどうかを判断するようになっている人もいます。
実際に弊社のシンガポール人スタッフは、家族でスーパーマーケットに行き、飲み物を確認すると、多くの飲み物があまり健康的ではない「C」だったことを知ってショックを受けていました。
また、シンガポール人にとっての台所とも言える身近なホーカーセンターでも、以前より健康的なものを求める人が増えてきているようです。
飲食業界は飲料メーカーだけでなく全体的により一層健康志向な製品を積極的に開発する傾向が高まりそうです。
ノンアルコールカクテルの人気が上昇中
ノンアルコールまたは低アルコール飲料が世界中で伸びています。
2022年、世界の主要10市場において、ノンアルコールまたは低アルコール飲料の販売量は7%以上増加し、市場規模は110億ドル(約1兆4600億円)を突破しました。
世界中と同様、シンガポールでも、コロナ禍を経て、より多くの人々が健康やウェルネスを意識するようになった結果、ノンアルコール・低アルコール飲料を選ぶ人々が増えています。
私はお酒が好きでレストランやバーによく行くのですが、最近モクテルを提供するお店が増えたり、ノンアルコールのメニューの数が増えている印象があります。
英語ですが、シンガポール国内のノンアルコールを提供するバーの紹介記事があったので気になる方は参考までに是非ご覧ください。
【出典】Time Out, The best bars for non-alcoholic drinks in Singapore, 7 January 2023
また、コース料理を提供するハイエンドのお店では、これまで料理にペアリングする飲み物はアルコールが多かったのですが、ノンアルコールとのペアリングを提供するお店も増えています。
例えばミシュラン3つ星レストラン「Restaurant Zen」では、ノンアルコール飲料のオプションを用意し、お酒を飲む飲まないに関係なく幅広い人が料理を楽しめるようにしています。
先日行ったクラフトビールのお店や、イタリアンのお店でも、ノンアルコールのメニューが用意されていました。
先日行った二つのレストランのメニュー。右側の写真は「Zero Proof」がノンアルのメニューです。
シンガポール政府が国民の健康志向を後押ししていることも相まって、ノンアルコール・低アルコールを提供する場所は今後さらに増えていくと予想されます。
シンガポールには割烹などのハイエンドなお店からカジュアルな日本居酒屋まで多くの日本料理店があり大変人気なので、日本の素材を使ったノンアルコールカクテル等の商品を手掛けている日本企業は、シンガポール市場進出の可能性を検討してみるのもおすすめです。
ご興味をお持ちの方はぜひこちらのフォームよりお気軽にご連絡いただけますと幸いです。
植物性食品を販売するローカル企業が増加
代替肉をはじめとする植物性食品が多くのスーパーマーケットやレストランなどで販売されており、選択肢のひとつとしてもはや当たり前になっているシンガポール市場。
弊社では代替肉の食べ比べなどを含めて、植物性食品に関するトレンドを様々なブログでご紹介してきました。
シンガポールには外資系企業を含めて植物性食品の工場が集積しており、2023年も引き続き植物性食品に対する需要が高まっていくと予想されています。
一方で、最近では植物性食品の開発・販売するローカル企業(外資系ではなくシンガポールの企業)も増えてきています。
例えば、2016年にシンガポールで設立し、現在国内に49店舗を展開する「Mr.Coconut」のココナッツシェイクは、100%植物由来の商品です。
シンガポールの暑さを和らげ、乳糖不耐症やビーガンの人にも最適とあって大ヒットしています。
また「Meat Zero Singapore」は、ひき肉麺の人気ローカル料理であるBak Chor Meeを植物性食品にアレンジし、植物性食品愛好家向けに提供しています。
「OTS Holdings」はシンガポールでは自宅でラーメンなどを作る際にトッピングとして人気のランチョンミートを、100%植物性で製造し、販売しています。
世界的なトレンドとあって注目が高まる一方で、フードテック業界からは価格や品質の点から今後大きく伸びていくのは難しいという意見も聞こえてきているのも事実です。
今後の市場の動向を引き続き注目したいところです。
食料品のオンラインショッピングとフードデリバリーは引き続き拡大
シンガポールでは新型コロナウイルスの影響で一気に食料品のオンラインショッピングとフードデリバリーが増えました。
Statistaのデータによると、2019 年から 2022 年までのシンガポールのオンラインデリバリーおよび食品配達サービスの総商品価値は徐々に伸びており、2025年には2019年の2倍になると予測されています。
【出典】Statista, Gross merchandise value of online transport and food delivery services in Singapore from 2019 to 2022, with a projection for 2025, Dec 12, 2022
現在のシンガポールでは、外出規制やマスク規制など殆どの規制が解除されているため、一時期よりは食料品のオンラインショッピングとフードデリバリーの利用率が下がっている印象がありましたが、新型コロナウイルスを機に確実に人々のライフスタイルが変わっており、これらのトレンドは引き続き成長しています。
また、実際にレストランでは多くのイートイン顧客がいる場合でも、テイクアウトとデリバリーの注文を引き続き受け付けている店舗も見受けられます。
オンラインでの食料品や食事の購入は、コロナ禍で一気に伸び、現在では日常的になりました。
今後もこのトレンドが継続するとともに、デリバリーフードの質やデリバリーサービスの質などが求められる傾向も高まりそうです。
メニュー提供時のオンライン化・キャッシュレス化が進む
新型コロナウイルスの影響を受け、QRコードをスマートフォンで読み取ってメニューを閲覧したり、注文ができたりする飲食店が、シンガポールではかなり一般的になりました。
モダンシンガポール料理レストランThe Kongseeのテーブルに貼られていた注文用のQRコード。決済まで済ませることができるお店も多いです。
実は、シンガポールでは外国籍の飲食店スタッフが多く、新型コロナウイルス流行中に母国に帰国してしまった労働者も多かったため、飲食店のスタッフ不足が課題となっています。
オンライン化・キャッシュレス化の取り組みは感染予防対策に加え、スタッフの工数削減にも貢献しているため、経営側にとっては不幸中の幸いだったかもしれません。
シンガポールでは文化的に常に「効率化」を求める気質もあるため、今後も恒常的なものとして、一般的になるだろうと考えられます。
人手不足を解消するテクノロジーの導入で作業効率アップ
話題性の獲得に加え、人手不足に対応するため、ロボットやオートメーションを駆使するお店も少しずつ増えてきています。
私自身、外食している際に時々、配膳ロボットを見かけるようになりました。
シンガポールで人気の火鍋レストラン「ハイディラオ」では作業の機械化を進めた「スマートレストラン」の店舗をオープンしました。
このレストランでは、iPadでお客様がオーダーすると、配膳ロボットが食事を運び、キッチンでも多くの機械が人間の代わりに稼働しています。
【出典】mothership, Haidilao opens first ‘smart’ outlet in S’pore with robot waiters, robot arms & other snazzy stuff, November 01, 2022
「Crown Coffee」は「Ella」とよばれるロボットバリスタが、職人技を駆使してコーヒーを提供するコーヒーステーションを、シンガポールのMRT(地下鉄)30駅で稼働させる予定です。
【出典】motthership, First look: 30 MRT stations in S’pore will have robot cafe serving coffee by end-2022, March 02, 2022
ロボットを活用した取り組みは話題作りの一環とも言われますが、業務の効率化はメニューのオンライン化やキャッシュレス化と同様に、人材不足の飲食業界において重要な課題となっています。
そのため、キッチンや配膳などの様々な場面で効率化を図るテクノロジーの導入は今後も進んでいくと思われます。
さいごに
以上、シンガポールの食の最新トレンド2023年版でした。
- 飲料に対する新しい規制「Nutri-Grade」で更に健康志向が高まる予測
- ノンアルコールカクテルの人気が上昇中
- 植物性食品を販売するローカル企業が増加
- 食料品のオンラインショッピングとフードデリバリーは引き続き拡大
- メニュー提供時のオンライン化・キャッシュレス化が進む
- 人手不足を解消するテクノロジーの導入で作業効率アップ
「日本産の食品」ということだけで売れる時代はもう終わっているので、このようなトレンドをキャッチしながら、シンガポールをはじめ海外の生活者が求めているものを提供していくことが大切です。
自社の海外市場展開を検討する上で、本ブログの内容がお役に立てることを願っています。








