代替食品の海外進出ならシンガポールがオススメな理由【現地市場レポート】

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シンガポールの代替食品市場は、日本産代替食品が進出して注目されるチャンスがあります。

なぜなら世界的に見ても特に注目が集まっていおり、政府が積極的に海外の企業を誘致しているため、日本からも新規参入しやすい環境になっているからです。

高品質で商品の種類も豊富な日本産の代替食品は、流通が日本国内に留まり、海外ではまだあまり流通しいないので、大変もったいないです。

本ブログでは、資金調達や投資家の紹介、科学技術系の研究開発などを全面的に協力サポートをしてくれる、シンガポール政府の経済開発庁「EDB」が2021年7月に開催したイベント「シンガポールを拠点とした代替食品市場でのビジネスチャンス​​」での発表内容について詳しくご紹介します。

シンガポールを拠点とし、世界初となる培養肉を開発したEat Just AsiaのCEO Saurabh Bajaj氏から紹介されたシンガポール進出の秘話や、EDBを活用したときのメリットなどを具体的にまとめています。

日本のパートナー企業を探しているそうなので、我こそはという方はぜひアプローチしてみてはいかがでしょうか?

関係者の皆様が、少しでもシンガポール進出に対して前向きにご検討いただけるようになったら嬉しいです!

■「シンガポール 代替食品」シリーズ

シンガポール経済開発庁「EDB」が主催した代替食品セミナーがすごい

繰り返しになりますが、シンガポール政府は代替食品市場に関連する海外の企業を積極的に誘致しています。

日本からも新規参入しやすい環境であるということは、以下の記事で詳しくご紹介させていただきました。

日本からの新規参入求む!シンガポールの代替食品市場を徹底解説

そのような盛り上がる市場背景から、シンガポール政府の経済開発庁「EDB」は、2021年7月に開催したイベント「シンガポールを拠点とした代替食品市場でのビジネスチャンス​​」というイベントを実施しました。

イベントでは、世界初となる培養肉を開発したEat Just AsiaのCEOであるSaurabh Bajaj氏や、シンガポール科学技術研究庁(A*STAR)の博士、シンガポール経済開発庁(EDB)のアグリフード分野担当部長らが登壇し、現在世界中から注目があつまる代替食品ビジネスの現状と未来について、最先端の事例をお話ししてくださいました。

私も実際に参加させていただき、代替食品市場をけん引するEat Just AsiaのCEOから直々にお話を伺い、本業界での展開をご検討中の日系企業にとって参考になる情報ばかりだったので、以下では弊社のインサイトを交えながらご紹介させていただきます。

EDBとの連携で生まれた「JUST EGG」成功事例の舞台裏

【出典】JUST EGG ホームページ

シンガポール政府の支援を受けて何をしている?

Eat Justは、2011年にアメリカで設立された法人で、EDBを中心に政府の支援を受けてシンガポール市場に参入している会社です。

ムング豆を活用したたまごの代替食品「JUST Egg」を開発しており、代替卵になる粉末をボトリングをする会社に販売して、その業者が水・砂糖・ソーダなど入れて代替卵を製造・販売するビジネス展開をしています。

アメリカで設立された外資系企業として市場に参入し、主にシンガポール経済開発庁「EDB」と科学技術研究庁「A*STAR」の支援を受けていました。

2つの機関については以下の通りです。

■シンガポールの経済開発庁「EDB」

相談主と親和性があり、潜在的に協働開発にむけて協働できそうなシンガポールのスタートアップ企業や関連会社、金融機関を紹介してくれます。またざっくばらんにEDBが相談主に対してどんな支援ができるか相談に乗ってくれるので、シンガポール市場進出を検討される方はぜひ連絡してみると良いでしょう。

■科学技術研究庁「A*STAR」

「Singapore Institute of Food and Biotechnology Innovation (SIFBI)​」のことで、新しい食品技術の共同開発にむけて、イノベーションを協働で推進し得る潜在的なパートナーを、民間の研究機関や大学から探すお手伝いをしてくれる研究機関です。EDBと同様に相談を受け付けていますが、EDBと密に連携している期間なので、まずはEDBに相談をし、必要があればA*STARを紹介してもらうのが良いでしょう。

 

上記のような機関から支援を受けて、どのようなことを実施していたのかを、EDBで発表されたプレスリリースから確認しましょう。一部を日本語でご紹介します。

 

■プレスリリースの内容(一部抜粋)

JUST Eggを開発したEat Just, Inc.は、Proterra Investment Partners Asia Pte.Ltd.が率いるコンソーシアムとの提携を発表しました。

最大1億2,000万米ドルの投資により、製造およびオペレーションの構築と拡大を図り、アジア初かつ最大の植物性タンパク質生産施設を、アジアのより健康的で持続可能なフードシステムへの移行をリードする国であるシンガポールに設置・運営します。

このパートナーシップは、Eat Just, Inc.が開発した独自のタンパク質分離技術と革新的なビジネスモデルと、Proterra Investment Partners Asia Pte.Ltd.のアジア全域での現場経験を持ち寄って連携します。

最初の工場が建設されると、数千トンのタンパク質が生成され、北米とドイツにある既存の大規模なタンパク質施設に加えて、新たな工場が建設されることになります。これにより今後、アジアで建設が予定されている施設は、アジアにおけるタンパク質の需要が数十万トンに増加し、さらなる雇用とインフラを生み出すことになります。

シンガポール政府は、シンガポール経済開発庁(EDB)の支援を得て、このプロジェクトに環境を整えています。アジアにおける既存の販売パートナーには、SPC Samlip(韓国の大手食品会社)、Betagro(タイ最大級の食品会社)があり、中国本土ではまだ発表されていないパートナーシップがあり、JUST EggはすでにAlibaba傘下のTmallやJD.comといった人気の高いEコマースプラットフォームで販売されています。

米国では、JUST Eggは大手小売店で販売されており、Post Holdingsの子会社で世界最大級の付加価値卵の加工業者であるMichael Foodsとの画期的なパートナーシップにより、レストランなどの外食産業向けに販売されています。これまでにイートジャストは、植物由来の卵6,000万個分以上を販売し、22億ガロンの水、870万kgのCO2e、1,400万平方メートルの土地を節約してきました。

このパートナーシップは、「今後10年間で世界最大級の卵生産者になるための道のりをさらに加速させるでしょう」と述べています。Proterra Investment Partners Asia Pte.Ltd.の調達と製造に関する経験は非常に貴重なものです。Eat Just, Inc.の共同創業者兼CEOのジョシュ・テトリックは、「健康、食の安全、食の安心を求める消費者のニーズは、このユニークなパートナーシップに大きなチャンスをもたらす環境を作り出しています。

【出典】Singapore Economic Development Board (EDB), Eat Just & Proterra Asia Partner on JUST Egg Protein Facility & Expansion, 20 Oct 2020

シンガポール進出を決めた2つの理由

Eat Just AsiaのCEO Saurabh Bajaj氏から、以下のような具体的なお話があったのでご紹介します。

(以下、イベントでの発表より抜粋)

 

外部のコンサルティング会社に相談して、進出しえる海外市場を4カ国選定しました。

その後、シンガポールを最終的に進出先に決めた理由は2つあります。

【理由1】一人当たりの消費量が多いアジア市場を狙いやすい

卵の一人当たりの消費量が多いのはアジア市場です。

バリューチェーンを検討した時に、他の候補の国よりもシンガポールが有利だったので、進出を本格的に模索し始めました。

アジア市場でもっとフードテクノロジーを活用すれば、Eat Justが重きを置く「地球に対してのインパクトをどれだけ出せるか」というESGの観点で貢献度が高いと考えています。

また、ムング豆の需要が増えれば、生産農家にとって新たなビジネスチャンスにもなるので、小規模農家に対するBOPビジネスにもなりえます。

アジアは製造量も売り上げも伸ばせるポテンシャルがある市場なので、Eat Justとしては見逃すことはできませんでした。

ちなみに、アジアの中で最も卵の消費量が一番多いのが日本です。

実際に今、日本でもパートナーを探しているので、日本でJust Eatが出回る日も近いかもしれません。

日本で食べれる和食にJust Eggが使われる日も近いかもしれません…!

【理由2】EDBが他国の窓口と比べて優秀で前向きだった

それぞれの国へ展開し、製造・加工・販売するビジネスモデルで行っているので、各市場での展開には、実際にどのように世界各国の様々な現地の食生活に馴染ませていくかを、パッケージやPR方法などを検討してローカライズしていくという課題が付きまといます。

EDBではプレスリリースで公開しているように、シンガポール進出に際して必要な大小さまざまなサポートをしていただいています。

各国の規制を管理しているレギュレーターとやりとりをしていますが、正直新しいテクノロジーを軸にしたビジネスとあってか、あまり前向きに取り組んでくれないところもあるのが現状です。

しかし、世界で初めて培養肉の商用流通を認めた国、シンガポールのEDBはレギュレーターとして優秀で前向きなので、2-3年前から一緒にプロジェクトをして支援していただいています。

具体的には、ランニングコストや立ち上げコストの分析から、それらに対してどれだけのサポートが必要かを検討してもらったりしています。

 

  • 一人当たりの消費量が多いアジア市場を狙いやすい
  • EDBが他国の窓口と比べて優秀で前向きだった

他にも細かくは様々な理由がありましたが、大きく上記の2つがシンガポールを進出先に選んだ決め手になりました。

ちなみに、シンガポールでの人件費が高いことは、確かに市場進出への懸念事項になりました。

しかしながら、それ以外の項目で総合的に評価が高かったため、シンガポール市場への進出を決めました。

最も気を付けるべきことは「IPの保護」

Eat Just AsiaのCEO Saurabh Bajaj氏が、最も重要なポイントだと何度も仰っていた点があります。

それは「IP(知的財産)の保護」でした。

「IP」は、企業が保有し、競争力の源泉となる目に見えない資産のことで、技術やネットワーク、ブランドなどのことを指します。

自社の「IP」を保護するには、日本であれば特許庁に申請することで、特許法に基づき、その権利や内容を国が保証してくれることになります。

しかし、申請された特許権の効力は、特許庁が認定したことになるので日本でしか認められません

日本で商品を製造販売したり、海外へ輸出または海外から輸入する際には適用されますが、海外での製造・販売を実施するときには無効となり、進出先の国で特許の申請が必要になるため、日本政府は外国出願に要する費用の補助などを行っています。

新しいフードテクノロジーを基盤とする代替食品市場では、各社の技術開発がものいうので、お金や時間、リソースをかけて開発した技術を真似されてしまうリスクがあります。

Eat Justも例外ではなく、海外展開する際には必ずその国で「IP」を保護する必要がありました。

Eat Just AsiaのCEO Saurabh Bajaj氏は、「シンガポールでは、EDBがIPの申請まできちんと支援してくれるため非常に心強かった」と仰っていて、IP保護に関する手厚いサポートが受けれたこともシンガポール市場進出を可能にしたひとつの大きな理由だったのかもしれません。

イベント中には、EDBからもコメントがあり、IP申請について「(展開先の市場での申請手続きなしに)当然のように『IPは守れている』と思い込んでいる企業が多い」とのこと。

「外資系企業が市場に参入する際に、どのように自社のIPを保護すれば良いかわからない企業も多いと思う。EDBを通じてサポートできるので、気軽に相談してほしい。」と仰っていました。(心強いですね!)

 

また、シンガポールでは特許庁「Intellectual Property Office of Singapore(IPOS)」が中心となり、シンガポール国内でのイノベーションを活性化し更なる経済成長を実現するために、IP保護に関連する取り組みを積極的に行っています。

シンガポール国内での特許申請だけでなく、インドネシアやマレーシア、ヨーロッパや中国の窓口を紹介することもできるようなので、EDBを通じて様々な国での特許申請に関しても相談に乗ってもらえそうです。

シンガポール国内のIPに関する5つの取り組みをまとめたEDBの記事。特許庁(IPSO)とも連携が取れるので、EDBに相談すれば様々な情報が手に入るかと思います。

【出典】Singapore Economic Development Board (EDB), 5 Intellectual Property initiatives businesses should tap in Singapore, 23 Apr 2021

もちろん、IPの申請にはお金も維持費もかかります。

日本弁護士会で実施された平成18年のアンケート調査結果によると、日本で標準的な特許申請をする相場はおよそ25~35万と言われています。さらに出願後も中間費用と呼ばれる審査結果に対して準備すべき書類を作成する費用や、弁護士に頼む場合は成功謝金が必要な場合もあります。

海外での特許申請も同様に経費が必要で、シンガポールではおおよその相場で約15万円〜25万円かかると言われていますが、きちんと会社独自の資産を保護しなければ将来的に模倣されるリスクが多く、事業展開しても意味がありません。

進出先の国でIPをどう保護するか、研究開発や海外市場展開に向けた取り組みを考えるよりも前に、十分検討しておくべきポイントかもしれません。

EDBに相談すると受けられる2つのメリット

全世界に広がるネットワークを活用できる

EDBを頼り、シンガポール進出をすることの最大の理由は、アジアを中心とした世界中のネットワークを惜しみなく利用させてもらえるからです。

一概には言えませんが、海外進出する際に日系のコンサルティング企業に頼りきりの状態が続くと、事業を展開する基盤が日系由来のコミュニティや人脈に偏ってしまうことがよくあります。

ご紹介したEat Justへのサポート内容や体験談からわかるように、EDBを頼れば世界中のリソースを使って支援してくれるため、シンガポール進出の後の「次の海外市場」への展開を検討しやすくなるはずです。

EDBは市場進出に関わるあらゆる側面で協力にサポートしてくれるので、気になる方はご相談してみてはいかがでしょうか。

商業化までの道筋も強力に支援してもらえる

「催事への出店」や「海外のバイヤーとの商談」をきっかけに海外市場展開を狙う取り組みが数多く行われていますが、そのように初めの1歩を踏み出しても、実際はその後に事業を進められる企業はそれほど多くありません。

実際に海外市場への展開を進めていくためには、現地市場を熟知し、あらゆるネットワークを活用してサポートできる現地の強力なパートナーが必要不可欠です。

なぜなら、海外でのビジネススピードは日本の比ではないほど目まぐるしく変化し、業界内でのネットワークや状況も刻一刻と変わるため、そのような最新情報を基にビジネス展開をするには、現地にいるパートナーとの連携が必要不可欠だからです。

EDBは、最新の情報が集まってくるようなシンガポール国内の研究機関や投資家、実証実験を行うための施設などと密に連携しているため、実際に事業を展開する際には心強い味方になってくれるはずです。

さいごに(相談先について)

日本産代替食品は、シンガポールの経済開発庁(EDB)を窓口に市場進出することによって、シンガポールだけでなく世界各国への輸出量を増やせる可能性を秘めています。

EDBには日本語のウェブサイトもあり、相談にあたってのステップや資料を確認することができます。

日本にも東京にオフィスがあるようなので、Eat Justのような規模ではなくとも、現在技術開発中で海外市場への展開も見据えられている日本企業は、一度EDBへご相談してみてはいかがでしょうか?

シンガポールへの市場進出に関しては、10年以上日系企業のご支援をさせていただいている弊社でもご相談を承っています。

またシンガポール以外の国への進出の場合も、弊社のパートナー企業をご紹介できる可能性がありますので、ご相談をご希望の方は、ぜひお気軽にご連絡ください。

■「シンガポール 代替食品」シリーズ